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花火大会の座席有料化〜スウェーデンとの比較【小論文の時事】
【1】 コロナ禍明けの花火大会
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新型コロナウイルス対策がある程度落ち着いたとされている2023年は様々なイベントや風物詩が3年ぶりに再開されています。その中でもこの夏は花火大会が各地で開かれ賑わっています。
そのような中、例えばびわ湖大花火大会では、普通席が6,000円、エグゼクティブシートが25,000円、床几席という特別席が60,000円などと、約50,000人分の有料観覧席が用意されました。特にびわ湖大花火大会では前回よりも有料観覧席の数を増やした上でその座席料金が値上げされています。これは前回大会よりも各種諸経費が上がったことが理由だということです。
【2】 座席有料化に対する見方
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このように全国の花火大会で座席有料化の動きが進んでいます。これに対して「花火ですら」お金を持っているか持っていないかによってどのように見ることができるかという格差が出てくるということで批判的な意見も多く上がっています。またそのような完全な反対意見ではないものの、お金を多く払えば払うほど綺麗に見える場所を借りられるというのは良いとしても、そのことによってお金がまったくなければ事実上花火を見ることができないとされる雰囲気であることに問題提起をする意見もあるようです。
この辺りの論点については、花火大会のみならず資本主義社会における格差の問題、また「区別か差別か」という微妙な論点のラインなど、同じような軸での思考が必要になってきますから、あらかじめある程度自分自身の基軸を固めておきましょう。
【3】 案の比較
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課題: 花火大会の座席有料化
賛 成 案
● 資本主義社会において料金に比例したサービスを受けるのは当然
● 有料化により秩序が乱れにくくなり事故の可能性が下がる
● 座席の販売であって花火そのものの有料化ではない
● 無料観覧自体を排除しているわけではない
反 対 案
● 人は皆平等であり花火を見る権利は平等
● 世界情勢もあり値上げラッシュの中、花火くらいは無料で見られるべき
● 有料座席に対してまた転売等の不当取引が発生する
● 花火という平和・平等の象徴に対して金銭というのはそぐわない
折 衷 案
● 資本主義社会とはいえあまりにも座席料が高額
● 無料でも有料席のように見られる場所を確保すべき
● 庶民にもチャンスが与えられるように制度を設計すべき
● 子供や社会的弱者に対する特別席も設置すべき
【4】 論述の流れ
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題: 花火大会の座席有料化
仮説の段落
<意見提示>「私は〜だと考える」
賛成反対等の方向性を設定
<根拠提示>「なぜなら、〜だからである」
設定の主たる根拠について概要通知
論理展開の段落
<譲歩>「確かに、〜」
自分が選択しなかった案の理論を分析評価
<対比>「しかし、〜」
自分が選択した案の理論を説明
<例示>「例えば、〜」
自分が選択した案の理論を具体例で証明
結論の段落
<結論>「従って、〜」
具体的な議論を経て至った結果の総括
【5】 攻めの選択と守りの選択
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小論文試験やグループディスカッション試験を受ける際の状況に合わせて、攻めの選択と守りの選択をしていかなければなりません。
一次試験や事前提出の書類でなんらかの失敗をしてしまい合格点までかなり遠い状況になっている場合、また他にも受験者数に対して合格者数がとんでもなく少ないような試験になっている場合は、一発逆転を狙うべき状況である以上、ある程度のリスクを背負ってでも「攻めの選択」をする必要があります。
逆に、例えばあらかじめ結果が出ている共通テストで有利な状況になっている場合、提出済みの志望理由書において自己アピールがうまくできているような場合、また受験者のほとんどが合格できるような種類の試験である場合は、無難な「守りの選択」をする必要があります。
原則としては自分自身にとって書きやすい案を自分の主張として展開していくわけですが、賛成案でも反対案でも折衷案でも、どの案でもある程度同じような勝負で、どの文章でもある程度書けそうだという場合は、上記のような試験の状況に合わせて選択するというのも1つの重要な戦略です。今回の課題である「花火大会の座席有料化」というテーマにおいては、攻めの選択と守りの選択は下記のようになるといえるでしょう。
<攻めの選択> 折衷案
<無難な選択> 賛成案
<守りの選択> 反対案
【5】 スウェーデンの花火大会
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スウェーデンでは10年15年前までは日本の規模ようにとまではいかないものの、夏にも1つのイベントとして花火大会が開催されることもありました。しかし、近年では年末年始のカウントダウンの時にサラッと花火が上がる程度で、それはあくまでも自宅マンションの窓を開けてバルコニーに立って、家族や友人と見て少し盛り上がるといった程度のものになっています。
なぜこのようになってきたかといえば、それは(1)環境への悪影響と、(2)事故リスク負担、の2点が主な要因です。簡単に言えば、花火大会というイベントを開催することによって観覧者の大移動や設備設置等の副次的な事象を含め、環境を破壊し、大きな事故のリスクを背負うほどまでして、そこまでしても大規模な花火大会を開催したいのかという計算をしているということです。その結果もう10年15年も大規模な花火大会は行われていないというわけです。コストやリスクに対してのパフォーマンスとしては非効率だという判断がなされています。
冬が長く厳しい北欧諸国では特に夏に対する熱い想いがあり、夏到来の喜びは日本人のそれと比較にならないほど大きなものです。特に冬の夜は暗い時間が非常に長く、逆に夏は白夜と呼ばれるように1日中明るいような状態が続くため、夏という「明るさ」に対する喜びが大きいわけです。しかし、それでもなお花火大会については特に夏という季節との連動がどうこうというよりも、環境への配慮や事故のリスクという観点の方が重視されるということのようです。スウェーデンらしい発想です。
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