「アウティング(outing)」とは【小論文の用語】
小論文の添削指導の際によく間違いとして見受けられるフレーズや、外来語由来の用語があります。その中でも、最近頻繁に海外・国内メディアで取り上げられている「アウティング(outing)」の意味や用語に対する考え方について解説していきます。
【1】 「アウティング(outing)」の意味
「アウティング(outing)」とは、下記の通り。
つまり、人のSOGI(性自認、性的指向)を、LGBTQ+当事者の了解を得ずに、他の人に言いふらしたり、SNSなどに書き込みむなど秘密を暴露する行動のことをいいます。
【2】 英語「outing」の意味
英語で「遠足・遊覧・行楽」「(野球)出場、投手の登板」「野外活動日」などの他にも、「(本人の意思に反して)ある人が、第三者が当人の意向を無視して勝手に性的指向(性的マイノリティであること)などを暴露すること」との意味の「outing」。現在、日本で使用されているのと同じ意味が英語にもあります。
【3】 注目を集めた「一橋大学アウティング事件」
日本で「アウティング」との用語が広がったことのひとつに、「一橋大学アウティング事件」と呼ばれる裁判があります。
Aの遺族は、アウティングした学生と大学を相手に2016年3月に提訴。同年8月の裁判に関する報道は、大きな注目を集めました。2018年1月に、遺族と学生は和解。
遺族側は、Aがアウティングの被害を申請した後、大学側がクラス替えなど適切な対応を取らなかったと主張。大学側はAの転落死は突発的なものであり予見できず、対応に落ち度はなかったと主張。遺族側と大学側が争っていましたが、2020年11月、東京高裁は「大学の安全配慮義務違反は問えない」と結論づけ、一審の東京地裁に続き遺族の請求を棄却しました。
遺族側の請求は棄却されたものの、4年間にわたる一連の事件と裁判は広く報道されました。2018年には、一橋大学がある東京都国立市では全国で初めて「アウティング禁止」を条例に盛り込むなど、「アウティング」との言葉、その意味、対応策を考える大きな契機となりました。
【4】 小論文.comの対策
ただカタカナ用語を暗記したり、「なんとなく」みんなが使っているから、ニュースで聞いたからと、言葉の本質を捉えずに使用するのは避けたいところです。その言葉の語源を探り、正確に意味を理解した上で自分自身の「言葉の引き出し」に落とし込みましょう。
また小論文においては、その用語が使用されている時事問題にも目を通し、その問題に対して「自分はどう考えるのか」を常に頭に入れておくようにすると、自ずと小論文対策にも繋がります。海外でどのように報道されているのかも確認できれば、それぞれの問題を比較することが可能になります。できる限り日本で報道されているニュースだけではなく、海外のニュースにも目を向けて広い視野で物事を捉えるよう意識しましょう。
小論文.comでは、小論文.comのX(旧twitter)【小論文の時事】において特に最新の海外時事情報(特にイギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデン)を中心に速報でお送りしています。すべて日本語訳でお送りしておりますので、ぜひご利用ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?