その凄さが伝わりにくい居合

たまに知人などから、自分の普段使っている居合刀をちょっと持ってみたいと言われて、渡すことがあるが、決まって皆、「え、けっこう重い」と言う。

材質にもよるが、居合刀の重さは一般的に650g~900gぐらいで、真剣だと1kgを超える。(ちなみに自分の使用している居合刀は820gぐらい)

この重い居合刀(または真剣)を使用して行うのが居合であり、その刀の重さを知らない人(体感したことがない)が多くいるのが実情である。

時代劇などで使用されるジュラルミン刀や竹光は400~600gで、そこで行われるド派手なアクションは、軽い刀だからこそできる技であり、居合刀や真剣で同じ動きができるかというと、ほぼ不可能である。

実際に居合刀などを持つとその重さに驚くのは、この時代劇の殺陣で軽く振り回している印象から来ているのかもしれない。
(ちなみに竹刀は400gぐらい、木刀(稽古用)は500~600gぐらいである)

YouTubeで居合の演武などを見ると、かなり動きがゆっくりしている印象を受けると思うが、それはやはり刀の重さが影響しているからだろう。
重い居合刀(または真剣)になると、腕の力だけで操作するのが容易ではなく、身体全体で扱わないと、逆に身体が刀に持っていかれてしまい、危険である。
身体全体で刀を操作すると簡単に言うが、実際は相当難しいし、それで素早い動き・抜刀を行うとなると、相当な鍛錬が必要になってくる。

ただ、見ている人からすると、そんな重い刀をもっているのも知らないので、居合の動きはただただ遅い印象を受けるだろうし、なかなかその凄さが伝わらない。
また、居合の演武は基本一人で行うので、対人がある殺陣や剣術と違い、型がどういう状況でどのような敵の想定でやっているかは、知っている人ならともかく、知らない人からすると理解しづらいし、それに加えてゆっくりした演武をされたら、なかなか魅力や凄さが伝わってこないだろう。

では、その凄さや魅力を伝えるためにはどうすればいいか。
それは、重い刀でも素早い動き・抜刀をする、できるようになる。
これが一番の伝える方法であると思う。

YouTubeで何処かの大学居合が、新歓パフォーマンスで、理解しやすいように相手をつけて居合型を披露していたが、想定を理解させるにはいいかもしれないが、個人的には一人演武でもいいので修練した技を見せてほしい。
なぜなら、それが居合の武術的本質(身体操作の鍛錬・刀の自在性)であるから。
もし、一人演武が「地味」に見えるという理由で、相手をつけて型を理解しやすいようにパフォーマンスしたのなら、それはもはや居合ではなく、殺陣になる。
相手をつけて寸止めで行うのは、型の説明の時だけでよくて、それをパフォーマンスとして行うと意味合いが変わってくる。

一人演武で凄みを見せられるのが居合である。と信じている。

ただ現状、一人演武、一太刀で凄みを見せれる達人クラスの居合・剣術家はほとんどいないので、自分もそこに近づけるように修練していきたいと思う。

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