【コラム】銀行と信用金庫のそれぞれの目的と裏の顔まで知ってますか?会社が大損する前に見てください。
適切な金融機関との連携は、企業の安定した成長と持続的な経営のために不可欠です。
しかし多くの経営者は、銀行と信用金庫との関係性について、あまり深く考えずに適当に進めていることが多いです。これは後々の経営上の問題につながる可能性があります。
信用金庫は地域密着型で中小企業や個人事業主のサポートに特化していますが、一方の銀行はより広範なサービスと資本力を持っています。これらの違いを理解し、どちらとどのように関係を築くかは、ビジネスの成長段階に応じて異なります。
今回の話では、銀行と信用金庫のそれぞれの目的や両者との上手な付き合い方、さらに裏の顔までを深掘りします。適切な金融機関との関係構築において非常に重要ですので、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしてください。
銀行と信用金庫の違い
経営の目的
銀行: 銀行は一般の株式会社と同じく、株主の利益を追求することを主な目的としています。つまり、営利目的の機関であり、株主に利益を還元することが重要です。
信用金庫: 一方、信用金庫は株式会社ではなく、会員制度を採用しています。会員の利益を追求し、地域社会に貢献することを重視しています。会員になるためには出資金を支払う必要があります。
活動エリア
銀行: 銀行は全国的に視点があり、国内外で広範な取引が可能です。大規模な取引も対応できます。
信用金庫: 信用金庫は活動エリアが限定されており、地域社会に焦点を当てています。特定の地域内での取引が主です。
メリット
■銀行のメリット
大口案件への対応力
銀行は大口案件に対応する能力を持っています。例えばメガバンクでは数億円、場合によっては10億円以上の大規模な取引にも対応可能です。これは銀行の規模によるもので、信用金庫のような小規模な金融機関ではできないことが多いです。会社が成長するにつれ、銀行との取引が必要不可欠になるケースもあります。
低金利での融資
銀行は平均的に低い金利で融資を受ける可能性が高く、利息負担を軽減できます。特に大規模な銀行ほど、融資の利率が低くなる傾向にあります。これは、財務状況が良好な企業にとって大きなメリットとなります。
対応エリアの広さ
銀行は対応エリアが広いため、地域に拠点を持つ企業にとって便利です。例えば、全国に店舗を持つチェーン店のように、全国どこでも取引が可能です。これにより、ビジネスの拡大や多様な地域での活動が容易になります。
■信用金庫のメリット
中小企業への寄り添い
信用金庫の最大のメリットは、特に小規模な会社に対して親密な関係を築き、会員の利益を優先する点にあります。特に創業初期の企業にとって、信用金庫はスモールスタートをサポートする重要なパートナーとなるでしょう。
新設法人へのサポート
法人口座を開設する際のハードルが高い現状では、信用金庫は新設法人に対しても柔軟に対応してくれることが多いです。これにより、ビジネスの立ち上げがスムーズに進む可能性が高まります。
不要な提案をしない
信用金庫は、会社に不必要な商品やサービス(投資信託や保険など)を売り付けることがありません。これは、株主利益の追求ではなく、会員企業の利益を重視しているためです。
厳しい状況でもサポート
信用金庫は、会社が困難な状況にある時でもサポートしてくれます。これは、会員同士の助け合いの精神に基づくもので、一般的な銀行とは異なる特徴です。
銀行と信用金庫との上手な付き合い方
決算書を磨く
金融機関との取引において最も重要なのは、決算書の質を高めることです。決算書は毎年作成され、金融機関はこの決算書を基に、あなたの会社にお金を貸すべきかどうかを判断します。決算書が示す会社の業績や財政状態は、融資の条件、特に金利に大きく影響します。だからこそ、決算書の内容を常に良い状態に保つことが重要です。
決算書を「磨く」とは、単に見た目を良くすることではありません。決算書が正確かつ最適に構成されていることが重要です。適切な決算書の作成方法については、このチャンネルの動画でも解説していますので、復習としてご覧いただくと良いでしょう。
経営計画書を作る
金融機関との取引において、経営計画書の作成は非常に重要です。これまで金融機関は過去の実績を基に融資を判断していましたが、現在は将来性を重視する傾向にあります。過去の業績が悪くても、将来が明るければ融資を受けることが可能です。逆に過去が良くても将来に不安があれば融資が難しくなります。経営計画書によって、あなたの会社の将来性を明確に示しましょう。
経営計画書の作成は手間がかかりますが、将来の事業計画を明確にすることは、会社を大きくする上で必要なステップです。数字をしっかりと見て、計画を立て、管理することが成功の鍵です。
会社の状況に応じた金融機関の選択
金融機関との取引においては、会社の規模や状況に応じた適切な金融機関を選ぶことが重要です。間違った選択をすると、会社の成長が阻害される可能性があるため、会社のステージに応じた金融機関を選択しましょう。
定期的な報告の重要性
金融機関との良好な関係を築くためには、定期的な報告が必要です。多くの会社が年に一度の決算時のみ報告することが多いですが、これでは金融機関からすると、会社の実態が不透明になります。
少なくとも四半期に一度は報告を行いましょう。金融機関の信頼を獲得し、将来的な融資の可能性を高めることができます。
融資を返済できるだけの利益を出す
企業活動の本質は、金融機関から借りたお金を効果的に運用し、事業活動を通じて利益を生み出すことです。この利益を使って融資を返済し、さらに会社にも利益を残すことが重要です。つまり、借りた金額以上に事業から利益を生み出す経営状態を目指しましょう。
注意点として、最初から大きく投資するのではなく、小さく始めて事業がうまくいくことが確認できた段階で、大きく投資を行うことが賢明です。一気に多額の融資を受けて全額を投資するのはリスクが高く、ギャンブルに近い行為です。
担当者が変わったら1から説明する
金融機関との関係構築には、長期にわたる取引が重要です。新規の取引よりも、長く取引を続けている会社の方が金融機関にとって安心感があります。良好な関係性を長期にわたって築くことが、双方にとって重要です。
金融機関では、担当者が定期的に変わることがあります。多くの人が、担当者が変わっても過去の情報が引き継がれていると勘違いしていますが、実際にはそうではない場合が多いです。新しい担当者に対しては、初めから丁寧に会社の状況を説明することが必要です。これにより、より良いサポートを受けることが可能になります。
多少金利が高くても信用金庫と取引は続けていく
会社が成長し、より良い条件で銀行から融資を受けられるようになっても、信用金庫との取引を継続することは重要です。信用金庫は特に困難な時に支援を提供する可能性があり、このような取引は「保険」としての価値があります。特に小規模な企業では、信用金庫との取引が倒産を防ぐキーになることもあります。
金利が高くても、信用金庫との取引は継続すべきです。信用金庫は小規模な企業に対して融資を行い、リスクの高い取引をサポートしています。会社の状況が良くなったからといってすぐに取引を切ると、将来的に困った際に支援を受けにくくなる可能性があります。長期的な視点で、今まで支援してくれた金融機関との関係を維持することが望ましいです。
銀行の裏の顔
お客さんが損しても関係ない
銀行は企業に対して融資を行いますが、必ずしも企業の利益を最優先に考えているわけではありません。特にコロナ融資は保証協会によって保証され、銀行にとってはリスクなしで金利収入を得られるため、銀行は必要ない会社にも積極的に融資を行いました。
融資を受けた会社は返済猶予期間(2年から3年)が設けられ、その間は元本の返済も利息の支払いもなく、自由に資金を使うことができました。
しかし、返済期間が始まると、返済能力のない「ゾンビ企業」が増加し、返済のめどが立たない問題が顕在化しました。
銀行はリスクを最小限に抑えるために、保証協会の保証がある融資を積極的に行いました。この結果、返済能力のない多くの企業にも資金が提供され、不良債権が大量発生しました。最終的には、保証協会がその責任を負うことになり、銀行は損をせず、国が損害を負うという状況に陥りました。これは国民全員にとってマイナスの影響を及ぼす事態です。
信用金庫の裏の顔
寄り添ってくれるが利益は出したい
信用金庫は中小企業の味方ですが、信用金庫も企業と同様に利益を出さなければ活動を維持できないため、利益の追求は必須です。
信用金庫は、中小企業を支援する一方で、そのリスクを考慮して利益を確保しようとします。そのため、普通の銀行よりもやや高い金利を設定することがあります。しかし、困った時に救いの手を差し伸べるという点では、中小企業にとって貴重な存在です。
まとめ
金融機関の選択の重要性
中小企業経営において、初期段階での金融機関の選択は非常に重要です。間違った選択をすると、後になって大きな苦労や、困難な状況に直面する可能性があります。多くの経営者が、この選択で後悔するケースが見られます。
正しい金融機関の選び方
金融機関を選ぶ際は、地元の最寄りの銀行に行くといった行き当たりばったりの方法ではなく、自社の状況に最適な金融機関を選ぶべきです。信用銀行、普通の銀行、政府系の金融機関など、様々な選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、適切に選択することが、企業の成長を支える鍵となります。
中小企業経営者の皆さん、金融機関の選択は経営に大きな影響を与える重要な決定です。適切な金融機関を選ぶことにより、企業の成長と安定を促進することができます。金融機関の種類と特性を理解し、自社に最適な機関との関係構築を目指しましょう。
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