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【コラム】絶対倒産しない社長ができることはコレ。現役会計士が黒字経営に必要なことを教えます。

中小企業を経営する皆さんにとって、数字への理解は絶対に欠かせません。「経営者は数字に強くなるべき」というのは、成功への必須条件です。確かに、数字に対する苦手意識は多くの経営者に共通していますが、この障壁を乗り越えることが企業を繁栄させる鍵となります。

特に中小企業では、CFOのような財務専門の担当者を置くことが難しいため、経営者自らが数字を読み解く必要があります。税理士が税務の相談に乗ってくれても、財務や経営全般の理解は経営者自身が担うべきです。実際、専門家のサポートを受けている企業は少なく、多くの場合、経営の要となる数字に十分な注意が払われていません。

この記事では、経営をする上での数字の必要性や数字に強くなる方法を解説します。経営の数字を正しく理解し、活用することで、倒産のリスクを減らし、持続可能な事業を築くことが可能になります。この内容をしっかりと身につけ、実践に移すことが、成功への第一歩です。ぜひ、最後までご覧いただき、繰り返し学んでください。

なぜ数字に強くなる必要があるのか

会社を守るため

会社を倒産から守るためには、毎月、毎年、必ずお金が残るような状態を作り出すことが重要です。基本的に、会社が倒産するというのは、お金がなくなってしまうことが原因です。ですから、いくら赤字が出ようとも、お金さえあれば倒産は避けられます。これを達成するためには、売上を上げ、利益を出すことも大切ですが、それ以上にお金の流れを正確に理解し、管理することが必須です。

例えば、売上が上がっても、それが即ち利益に直結しない場合があります。利益を出しても、そのお金がすぐに出ていってしまい、手元に残らなければ意味がありません。これはいわゆる「黒字倒産」という状況を引き起こすリスクがあります。黒字倒産とは、表面上は利益が出ているように見えても、実際には流動性の問題で会社が資金繰りに苦しみ、最終的に倒産に至るケースを指します。

さらに、数字を理解することは、社員に適切な給料を支払い、会社の運営を健全に保つ基盤を作ることにもつながります。お金が適切に残らない状態では、社員への給与支払いもままならず、それが原因で優秀な人材が集まらなくなることもあります。人が集まらなければ、新しい仕事を取り込むことも、会社を成長させることも難しくなります。

社長の夢や欲望を実現するため

経営者が自らの夢や目標を実現するためには、まず会社が経済的に安定し、利益を生み出す状態にあることが必要です。利益が安定しており、資金繰りに余裕があることで、新たな事業機会への投資や、社会への貢献といった、より大きな目標に挑戦することが可能になります。これらの目標を達成するためには、売上、利益、キャッシュフローといった基本的な財務指標を理解し、適切に管理することが欠かせません。

経営者の仕事を全うするため

経営者には多くの責任がありますが、その中でも特に重要なのが「会社を守ること」と「従業員の雇用を守ること」です。これらは会社が継続して存続するために欠かせない要素であり、これを実現するためには、健全な財務状態を維持することが前提となります。すなわち、毎月、毎年、会社に利益とキャッシュが残るような経営を心掛けることが求められます。

売上を上げることは確かに重要ですが、いくら売上が上がっても、それが利益につながらなければ意味がありません。売上が増えても、それに比例して経費も増加していると、結局のところ会社の手元にお金が残らないことになります。だからこそ、「数字を見る」という行為が重要になってくるのです。数字を見て初めて、実際に会社が健全に運営されているか、利益が適切に残っているかを把握できます。

誰でも数字に強くなれる方法

簿記

簿記は一見するとあまりメジャーではなく、普通の教育カリキュラムでは取り上げられることが少ない学問です。小学校、中学校、一般的な高校、そして特定の専攻を除く大学では教えられていません。しかし、経営者にとってこの簿記という学問は非常に重要です。経営において、財務の知識は必須であり、簿記はその基礎を築くための非常に効果的なツールとなります。

簿記は、一見難しそうに見えますが、コツを掴むと非常にシンプルで理解しやすい学問です。基本的な簿記の知識を身につけることで、企業の財務状態を正確に理解し、より賢明な経営判断を下すことができます。簿記の勉強方法については、過去の動画で詳しく解説していますので、そちらを参照していただければと思います。

特に、簿記3級や2級のレベルの知識があれば、中小企業経営者として十分に活用できるでしょう。このレベルを目指すことで、経営に必要な財務の基礎を固め、事業の成長を支える強固な数字への理解を築くことができます。経営者として数字に強くなりたいとお考えであれば、ぜひ簿記の学習を始めてみてください。

バランスシート(B/S)を読めるようになる

中小企業経営者の皆様にとって、決算書を理解する能力は非常に重要です。特に、バランスシート(B/S)を正確に読み解くことができれば、会社の財務状態と業績を的確に把握することができます。

バランスシートは、会社の資産、負債、資本の状態を一定時点で示すものです。正しく読むことができる人は意外と少ないですが、経営者としてこのスキルは絶対に必要です。正確なバランスシートの読み方を理解していれば、会社が財務上、健全な方向に進んでいるか、または不必要なリスクを負っていないかを判断することができます。

バランスシートを読む能力は、経営上の困難に直面した時だけでなく、最初から身につけておくべき重要なスキルです。これにより、会社が誤った方向に進むのを防ぎ、正しい成長を遂げることができます。したがって、バランスシートの基本的な読み方を学ぶことは、経営者として避けては通れない道です。

経営者の皆様には、決算書、特にバランスシートの読み方について、定期的に学習や復習をお勧めします。図表を用いた簡単な解説を参考にすることで、この重要な財務文書を理解し、より賢明な経営判断を下すための基盤を築くことができるでしょう。

こちらの動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

うまくいっている同業他社の数字を把握

同業他社の財務状況を把握し、それを自社と比較することもお勧めします。成功している競合他社がどのような財務成績を出しているかを理解することで、自社の強みや弱みを明確に把握し、改善点を見つけることができます。

同業他社の数字を把握する方法としては、有料になりますが、業種別審査辞典やTKCという会社が提供する「BAST(TKC経営指標)」というデータベースの活用があります。これらは、業界や規模、そして黒字かどうかといったカテゴリーで分類された貴重なデータを提供してくれます。TKCのデータは契約している税理士を通じてしか取得できない可能性があるため、専門家の協力を得ることも検討しましょう。

このようなツールは一般にはあまり知られていないかもしれませんが、業界内の動向を把握し、ビジネス戦略を立てる上で非常に役立つ情報源です。特に、新たなビジネスを立ち上げる際や、事業方針を決定する上で、競合他社の状況を事前に調査することは非常に有効です。

中小企業経営者として、業界内での自社の位置づけを正確に理解し、事業をさらに発展させるためには、これらのデータを活用して競合分析を行うことが推奨されます。同業他社との比較を通じて、自社の経営戦略を見直し、より強固なビジネス基盤を築くための一歩を踏み出しましょう。

財務(お金の流れ)を把握する

ビジネスを成功させるためには、財務の把握が非常に重要です。売上を上げることも大切ですが、それ以上に重要なのは、実際にお金を残すことです。いくら売上があっても、最終的に利益が残らなければ意味がありません。そのためには、お金の流れを正確に把握し、適切な財務戦略を立てる必要があります。

お金を残すためには、まずお金の流れを理解することから始めましょう。これができなければ、成り行きに任せた経営では、どれだけ頑張ってもお金は残りません。銀行からお金を借りてしのぐような経営では、忙しさは増えても生活の質は向上しないでしょう。ですから、正しくお金が残る状態を作り出すことが大切です。

特に、中小企業では財務状況を把握するためのキャッシュフロー計算書や資金繰り表がしっかり作成されていない場合が多いです。キャッシュフロー計算書は、数字に不慣れな方にとっては少し難しいかもしれませんが、資金繰り表は比較的理解しやすいです。そこで、まずは資金繰り表の作成から始めることをお勧めします。資金繰り表を作ることで、会社のお金の流れがより明確になり、経営状態を正確に把握できるようになります。

資金繰り表の作り方については、以前の動画で詳しく解説していますので、そちらを参照していただくと良いでしょう。財務状況を正確に把握することで、より効果的な経営戦略を立てることができるようになります。ぜひ、資金繰り表の作成から始めて、会社の財務状況をしっかりと把握しましょう。

会社の収益構造を理解する

中小企業経営者の皆様にとって、会社の収益構造を理解することは、成功への鍵です。財務を構成する三つの重要な要素、すなわちバランスシート、キャッシュフロー計算書、そして損益計算書を総称して「財務3表」と呼びます。多くの経営者は損益計算書に目を向けがちですが、単に数字を眺めるだけでは不十分です。実際の収益構造を深く理解することが、経営上の重要な判断を行うためには不可欠です。

収益構造を分析するには、まず経費を変動費と固定費に分類することから始めます。変動費は売上に比例して増減する費用であり、例えば仕入れや外注費などがこれに該当します。一方、固定費は売上の額にかかわらず発生する費用で、家賃や一部の人件費などが例として挙げられます。

この二つの費用を分けて考えることで、売上から変動費を差し引いた後に残る金額、すなわち限界利益を計算することができます。この限界利益を用いて、固定費をカバーできる売上の水準を理解することが可能になります。例えば、売上に対する変動費の比率が一定であれば、固定費をどの程度の売上で回収できるかが明確になります。

しかし、業種によっては損益計算書だけでは収益構造を完全には把握できない場合があります。特に製造業や建設業など、原価計算が複雑な業種では、固定費と変動費を正確に区分するためには、内部管理用の詳細な分析が必要になります。これが管理会計の領域になります。もし管理会計を怠ると、企業の収益構造が不明確になり、最終的には経営上の問題につながる可能性があります。

結論として、会社の収益構造を正確に理解することは、経営上の戦略を立て、会社を正しい方向に導くために非常に重要です。収益構造を深く理解することで、経営者はより賢明な判断を下すことができるようになります。したがって、収益構造の分析には時間と労力を惜しまず、必要に応じて専門家の助けを借りながら取り組むことをお勧めします。

まとめ

今回は、中小企業経営者や個人事業主の方が数字に強くなる必要性と強くなる方法について解説してきました。数字に強くなることは、経営を成功させる上で非常に重要です。理解するまでには時間がかかるかもしれませんが、繰り返し学ぶことで知識は定着していきます。

多くの方が、簿記などの財務知識は取り組みにくいと感じているかもしれませんが、実際に学び始めると意外と理解しやすいことが多いです。アレルギー反応を示さずにまずは挑戦してみることが大切です。数字を理解するようになると、経営がより楽しく、有意義なものになるでしょう。

本日のまとめとして、欲望を叶え、目標や夢を実現するためには、数字に強くなることが欠かせません。経営者として、やりたいことを実現するためには、時にはやりたくないことにも取り組む必要があります。その一つが、数字に対する取り組みです。数字を理解し、適切に活用することで、より効果的な経営判断を下すことができるようになります。ぜひ、この機会に数字に対する理解を深め、経営者としてのスキルアップを目指しましょう。


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