見出し画像

「ひさしぶりに…きれちまったよ…」Lineage リネージュ昔話外伝003

 私がグンターサーバーで立ち上げたチーム、Storm血盟には、ランキング上位プレイヤーや回復役の方が何人も加入してくれました。
そのおかげで目標であった「ボスを狩ること」が徐々にできるようになってきたのです。

画像1

※ある時期のサーバー内レベルランキングに入っているStorm血盟のメンバーを上から順に表示したもの。

 しかしある日、ボス狩り中のチームメンバーが他のプレイヤーからPK(攻撃)を仕掛けられたという報告を受けることになります。
サーバー内にボスを独占しようとしている勢力があり、どうやらボスが出ているところで彼らと鉢合わせたようです。
 私としてはこのような事態を想定していなかったわけではないので、「ついに来たかー」程度の感覚ではありました。

 グンターサーバーにおいて積極的にボス狩りをしている他の勢力、それは台湾人のプレイヤーを中心とした勢力でした。
 他にもボス狩りをしている方はいたと思いますが、我々と頻繁にボス狩りの場で遭遇し、そしてPKによる排除をしかけてきたのは彼らぐらいです。
※なお誤解されないように書いておきますが、私には国籍などによる差別的な感情はありません。
また差別とは別の問題で、他の国の方が日本のサーバーでプレイするということに否定的な方もいらっしゃいます(言語の壁によりコミュニケーションが取りづらい方が多いことは事実です。また、その国で同じゲーム作品のサービスが行われていない場合は別として「自分の国のサーバーでプレイすれば良いのに、なぜわざわざ日本のサーバーで?」と考える方が一定数いらっしゃるようなのです。※リネージュMには台湾サーバーもあります)。しかし私自身はその点に関しても、特に気にしていません。
 メインキャラクターがいるサーバーでは日本語が堪能な台湾人の方と仲良くさせていただいていました。またPC版では韓国人の方と一緒にボスを狩ったりしていました。
 またこの記事に書いている内容よりも後の出来事になりますが、リネージュMのグンターサーバーでも、血盟のメンバーから仲間の台湾人の方を紹介していただいて、ボス狩りを手伝ってもらったことがあります。
国籍や人種はまったく関係なく、このサーバーでは台湾人の方が多く集まる血盟と敵対関係になった。ただそれだけのことです。

 彼らは(以下、単に「敵対勢力」と記載します。)アクティブな人数が非常に多く、またチームをボス狩りと対人に向けた編成に組み上げていました。
 対する我々は、なんとかボスがギリギリ倒せるかな程度の人数。また元より組織的にチームを組んでこのサーバーにきたわけではなく、流れで出来上がった血盟です。
キャラクターの育成を楽しむために、このサーバーでプレイを始めた人がほとんどなので、メンバーのほとんどが新クラスの狂戦士という偏りもありました(狂戦士は名前のイメージ通り前衛です)。

 敵対勢力は、有利にボス狩りをするために、最初からチームを組んでこのサーバーでのプレイを始めたのだろうという印象でした。
暗黒騎士というボス狩りに向いた前衛(そして育成サーバーにおいては対人戦にも向いていたと思います。)を中心に据え、回復役となる魔術師も多数抱えています。

 この暗黒騎士という前衛は、なんと通常攻撃が必ず当たるというスキルを持っています。そのため高い回避力を誇るボスにも攻撃があたります。
そして対人戦においても、我々は攻撃を回避できないということになります(PC版しかやったことがない人が聞いたら「そんなスキル有りなの!?」と驚かれることでしょう。)。
もしかすると狂戦士の方が少し耐久力には優れているかもしれませんが、回復役は敵対勢力の方が多いため、耐久力の差があったとしても相手の前衛を倒すことは困難でした。

 我々は、遭遇してPKされた場合、なんとか応戦はしてみるものの、すぐに増援を呼ばれて劣勢になり、退けられてしまうという状態に陥りました。
せっかく仲間を集め、キャラクターを育てたのに、満足にボス狩りができない状態になってしまったのです……

画像2

交戦中の相手プレイヤーにドクロマークが付いていることがおわかりになりますか?これは自分のキャラクターを〇したことがある相手に表示されます。
※攻撃されている際のスクリーンショットもあればよかったのですが、負け戦の際にはスクリーンショットを撮っている余裕がなかったもので、残念ながら撮れていません。

 またリネージュMのボスは、前回倒した時間から次の出現時間が推測できるような仕様になっています。
このため、彼らはボスが出そうな時間になると見回りを行っており、こちらのメンバーが同じように見回りに行くと、発見してすぐに攻撃をしてきました。
これは我々Storm血盟に対してだけではなく、「仲間内以外は全員敵とみなして排除」という方針だったようです。
※ただしこの出現時間が推測できるという仕様から、我々は「敵対勢力がウロウロしていたから、このボスの時間が近いということだな。」というように情報を得ることもできました(笑)。

 我々は攻撃されると追い返されてはいたものの、彼らの監視の目をくぐって、少しだけボスを倒し続けていました。
 その結果、どのような事態を招いたか。敵対勢力は我々を"敵"と見なしたらしく、ボス狩りに関係がない通常のフィールドでも、メンバーを発見すれば攻撃をしてくるようになったのです。

 私が彼らと同様に「ボス独占」を目論んでいれば、きっと同じことをしたと思います。どうせボス狩りの場で鉢合わせれば闘うことになるのです。
経験値やアイテムを稼がせないようにして、キャラクターの育成を妨害することは理にかなっています。PC版ではボス独占血盟のメンバーだったこともある私としては、彼らの行動は非常に理解ができました。

 ただ、理解できることと感情の動きはまた別の問題です。
記事のタイトルにある通り「ひさしぶりに…きれちまったよ…」という気持ちになったのです。※セリフの元ネタはサラリーマン金太郎だそうです。使っておいてアレですが、私は未読です。
 そう久しぶりに私に「敵対勢力のヤツらと徹底的にPK合戦してやるぞ!」という感情が沸き上がってきました。
PC版リネージュで戦争をしていた頃以来の感情なので、実に約20年ぶりということになります(笑)。

 果たして我々Storm血盟は、敵対勢力とどのような闘いを繰り広げていくことになるのか……

続きます。

 締めくくりに

 続きの記事で少し触れますが、今回のケースでは、無関係の方々から見ると、我々の方に正義があるように見えるはずです
(我々は、仲間内以外の方がボス狩りに参加してきたとしても、その方にPKをしたりするなど、排除にあたる行為は行っていません。)。
しかし、正義とはうつろいやすいものです。現実世界でも、戦時中に国のためと思ってやったことが原因で、戦後に批判を受けたりするのです。

 絵本「アンパンマン」の作者、故やなせたかし先生は、その著書「アンパンマンの遺書」の中でこう語りました。
「正義のための戦いなんてどこにもないのだ 正義はある日 突然反転する 逆転しない正義は献身と愛だ 目の前で餓死しそうな人がいるとすれば その人に 一片のパンを与えること」
※やなせたかし先生は、この戦争時の体験から、飢えた人に食べ物を与えるという唯一の正義を行うヒーロー「アンパンマン」を生み出したそうです。
 幼児向けの作品ではありますがアンパンマンのマーチの歌詞もすばらしいです(JASRACという敵対勢力よりも恐ろしい団体があるため、歌詞は記載しません。)。

 我々は、自分達がボスを狩るために、敵対勢力と闘いました。そこにはやなせ先生のいう「献身と愛」はありません。お互いが自らの我を通すため、意地の張り合いのような戦いを繰り広げただけなのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?