薬師寺執事長・大谷徹奘　こころの学校 in 小学館　第８回【#イベントレポ】

2019年12月7日（土）13時～15時30分、薬師寺執事長 大谷徹奘（おおたにてつじょう）さんによる講座【こころの学校 in 小学館　第８回】が開催されました。

老若男女問わず、たくさんの方にご来場いただきました。たくさんあった席も始まるころには満席に。

連続講座として、「こころの学校」では第1回からお釈迦様の教えをやさしく、わかりやすく伝えて続けてきました。今回の第8回目は、第一部が「お釈迦様の遺言」に学ぶという法話、第二部では薬師寺の食堂（じきどう）の本尊として収められた「阿弥陀浄土図」を手がけ、令和元年文化功労者にも選ばれた日本画家の田淵俊夫（たぶちとしお）さんとの対談という構成でした。
講座は、皆さん起立・合掌・挨拶ではじまります。

第一部の法話では、お釈迦様の遺言とも言われる『遺教経』を学び、そこからお釈迦様が最後に説かれた生き方の基本を学びます。
「お釈迦様の教えとは、迷いや悩みの解決法であり、生きる指針となるもの。より良い生き方や幸せのヒントとなる」大谷さんの力強く滋味深い声が響き、会場の熱い視線が大谷さんへ集まります。

今回は『遺教経』のなかでも、「八大人覚」という、人がよりよく生きるための8つの戒めを教えてくださいました。
・小欲覚（しょうよくかく）　欲をかくな　人間（あなた）は、欲望のかたまりだ
・知足覚（ちそくかく）　感謝をしろ　人間（あなた）は、なかなか感謝しない
・遠離覚（おんりかく）　歓楽を嫌え　人間（あなた）は、歓楽に心ひかれやすい
・精進覚（しょうじんかく）　なまけるな　人間（あなた）は、すぐに努力を止める
・不妄念覚（ふもうねんかく）　信念を貫け　人間（あなた）は、すぐに初心を忘れる
・禅定覚（ぜんじょうかく）　心を乱すな　人間（あなた）は、心がすぐに散漫になる
・智慧覚（ちえかく）　本質を見よ　人間（あなた）は、表面だけしか見えない
・不戯論覚（ふけろんかく）　戯論するな　人間（あなた）は、くだらない話が好きだ

どれも、わかってはいるけれどもついやってしまうことばかりです。自分の内なる欲や癖に気づくことができて、はじめて直すことができる。チェックシートを使って、あらためて自分のことに気付かさせていただきました。

大谷さんご自身のエピソードをコミカルに挟みつつ、解説してくれるので、生きる上でとても大切な教えがスルスルと耳に入ってきます。
古美術好きの大谷さんが欲に負けてつい新しい絵を買ってしまった話や、法話の上手なお坊さんランキングで5位になった時、自分より上位の人が誰なのかが気になってしまった話……、どれも共感できるようなエピソードばかりで会場は終始笑いが絶えません。

第二部では、日本画の大家である田渕俊夫さんに、美術が大好きな大谷さんが質問をぶつけていきました。

特に、「絵を描くことは楽しいこと。誰かと比較していてはもったいない。一度きりの人生、自分を追求していったら挫折もしなかった」という言葉が印象に残ります。現在78歳の田淵さんは、これからもやりたいことがたくさんあるとにこやかにおっしゃっていました。

薬師寺の「阿弥陀浄土図」のリトグラフや、一般には滅多にお披露目されない「悠紀地方風俗歌屏風」の画像も見せていただきました。

このような場で田淵さんのお話しを聞けることはめったにありません。とても貴重な機会となりました。

最後には再び全員起立・合掌・挨拶で終了。人生が変わってしまうほどの濃密な講座でした。

次回の「こころの学校」は3月7日（土）13時～15時00分となります。
シリーズ対談、｢よっぽどの縁ですね｣のお相手は、教育コンサルタントの小西好彦さん。
永年、奈良少年刑務所で法務教官として、受刑者と直接に向き合い、多くの若者を更生させた小西好彦氏と一緒に、「寄り添い」をテーマに人と人とのかかわり方について語り合います。
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みなさまのご受講をお待ちしております。

最後に、大谷徹奘さん、田渕俊夫さん、参加してくださったみなさま、このレポートを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました！！

撮影／栗城翔太　文／楊木希　編集／小川利奈子
2020.1.17 作成