女性のセルフケアABC〜デリケートゾーンのすべて〜【#イベントレポ】
「最近、コスメ雑貨店や薬局などで女性のデリケートゾーンケア用品が増えてきたなあ」
「女性誌でもVIOゾーンのお手入れ特集が組まれていたり、電車でも脱毛サロンの広告をよく見かけるなあ……私も何かやってみた方がいいのかしら」
そんなことを思っていた矢先に腟まわりのケアについてのレッスンが受けられると知り、11/6に小学館カルチャーライブ!で行われた森田敦子さんの「女性のセルフケアABC~デリケートゾーンのすべて~」を受講してきました。(参加はかなりドキドキしましたが、女性限定だったのも安心材料でした)
初めから最後まで衝撃を受けた本講義、すべての女性に知ってほしい情報が満載だったのでご紹介します!
植物療法士・森田敦子さん
森田さんは日本の植物療法(フィトテラピー)の第一人者。女性のデリケートゾーンケア用品「アンティーム オーガニック」を展開している株式会社サンルイ・インターナショナルの代表も務めていらっしゃいます。
その経歴は衝撃的で、新卒で入社した航空会社で客室乗務員として勤務するも、あまりの忙しさに気管支疾患を発症され、休職と入院を繰り返します。薬の副作用で髪の毛が抜け落ち、生理も止まり、皮膚の乾燥もひどい状態になってしまったそうです。
当時はバブル真っただ中。「オーガニック」「ロハス」という言葉はなく、なんとか仕事に復帰された後も薬が手放せない状態。フランスには薬草学があり、治療の役に立つかもしれないと友人から勧められたことをきっかけに、フランス留学を決意。会社を辞め、フランスの国立大学:パリ第13大学医薬学部で植物薬理学を勉強されました。帰国後は現在の会社を立ち上げ、フィトテラピーの観点から、女性の活性に力を注がれています。
自分の腟を見たことありますか?
森田さんご自身のご紹介が終わると、「皆さん、今日は赤裸々に話しますよ。ついてきてくださいね!」と明るいテンションで始まりました。挨拶もそこそこに話は一気に本題へ。
「ところで皆さん、ご自分の腟をみたことありますか?」
……おお……。テーマはわかっていましたが、やはりストレートに「腟」と言われるとちょっとドキッとします(笑)
正直、日本ではデリケートゾーン=性的なものという思考が根強く、成人した後も自分の腟まわりについてよく知らないという方がほとんどではないでしょうか。
一方、フランスでは母親が娘にきちんと話すテーマであり、当たり前の習慣として腟まわりのケアが存在しているそうです。言われてみれば、女性の生活には必ずと言っていいほど“腟”の存在が付きまといます。
「生理、妊娠、出産。これらが“子宮”という臓器と数センチの距離で繋がっているという事実を改めて考えるととても興味深くないですか?」「大人になって夫や恋人に見せる部分でもあるのに自分で見たことないんですか?」と会場に呼びかけた森田さんに対し、「たしかに……」と心の中でつぶやいている自分がいました。
一生付き合う「腟」と「女性ホルモン」
次は改めて腟と腟まわりで何がおこっているかについて説明していただきました。
私たちは毎月排卵し、使わなかった卵子を経血とともに生理として排出しています。生理の周期に合わせて女性の体は「憂鬱期(生理中)」「ノリノリ期(排卵前)」「じんわり期(排卵後)」「イライラ期(生理前)」の4種類の時期を経験します。生理の周期は一般的に28日と言われていますので、1週間ごとに時期が変わっていくということになります。分泌される女性ホルモンが異なるため、体に不調が生じたり、気分が浮き沈みするのです。
腟の説明でびっくりしたのは、排卵前と排卵後で腟の角度が違うということ! 衝撃じゃないですか? 常に真っすぐ存在していると思いきや、時期によって違うんですって! 自分の体のことでも全然知らないですよね。森田さん曰く、自分の性器については人間より動物の方がよく把握しているそうで、チンパンジーは常日頃から自分の性器をよく触っているため、交尾の時には自分の腟がどっち向きについているか考えて体位を変えるらしいです。(チンパンジーすごい…(笑))
次に、排卵前と後での女性の体の違いについてのお話です。
★排卵前:次の排卵に向け、子宮や腟が精子を受け入れる準備をします。エストロゲンというホルモンが分泌され、「妊娠しやすい環境」が整っていきます。腟は男性器が入ってきやすい角度になり、精子を運ぶための粘液が増えて潤いはじめます。
エストロゲンはいわゆる女性ホルモンのことで、これが分泌されることで丸みを帯びた女性らしいからだつきになります。(なんと化粧ノリも良くなるそうです!)
★排卵後:プロゲステロンというホルモンが分泌され、妊娠している・していないにかかわらず「妊娠の継続を助ける環境」が整っていきます。腟は、もとの角度に戻り、腟内は比較的乾いた状態になっていきます。
プロゲステロンは黄体ホルモンのことで、これが分泌されることで受精卵が着床しやすい子宮になります。
30代に入ると、どうしても卵巣機能が低下し、女性ホルモンが乱れます。その乱れがイライラとなるわけです。生物的な機能低下は致し方ないにしても、きちんと腟まわりをケアすることで気持ちはコントロールできる。それが美しく歳を重ねていくためには重要とのこと。腟ケアがメンタルケアに繋がるとは驚きですね…!
放っておくと腟はどうなる?
心身の安定やホルモンバランスとも関係があるとわかった腟まわり。先に触れたように、ほとんどの方は自分の腟まわりを把握していないと思います。では、腟まわりのケアをせずに放っておくとどうなるのでしょう。実際に森田さんが介護老人ホームでお仕事をされているときのお話をしていただきました。そこでは腟まわりの乾燥や尿漏れによって苦しんでいる方がとても多かったそうです。
まず、腟まわりも顔と同じで、何もしないと「乾燥」します。乾燥すると皮膚は弾力を失いカピカピになり、刺激に敏感になります。そんな乾燥した腟まわりで尿漏れが起こると沁みて激痛が走ります。介護の現場では尿漏れした患部をお湯で濡らしたタオルでふき取るのですが、それによってさらに乾燥は加速するという悪循環が起こります。
そしてもうひとつ、腟まわりには「骨盤底筋群」という子宮や膀胱、直腸を支える大事な筋肉があります。妊娠・出産の経験、老化等でこの筋肉が弱ると、尿漏れや子宮脱につながります。
子宮脱? 私には聞きなれない言葉でした。周りの方も「?」な表情を浮かべています。森田さんはその反応も織り込み済みのようで、「筋肉が緩んでしまった腟を通って子宮が外にでてしまうことを“子宮脱”と言います」と説明を続けました。
え…? 子宮が外に出てくる? ……ん??
体の外に臓器が出てくるなんて想像もしたことがありません。しかし、森田さんが前方のスライドで子宮脱の症例写真を表示させると、会場の空気が一気に凍りつきました。本当に脚と脚の間の付け根から、子宮が外に飛び出しています。これは…怖い……。自分の子宮が体の外に出て下着の摩擦で擦れ、さらに尿漏れで痛むなんて想像するだけで震えが走ります。身体的な痛みもさることながら、介護士さんに尿漏れをふき取られたり、飛び出た子宮を押し戻されたりする恥ずかしさを想像すると、精神的にも非常にキツイです……。
もちろん「子宮脱」は万人に起こることではありませんが、乾燥の痛みやと尿漏れに関してはほとんどの方が経験すると言われています。
気になる”腟ケア”の方法
それでは具体的に腟まわりのケアでは何をすればいいのでしょうか。森田さんは「清潔にする」「保湿する」「筋力をつける」の3つがポイントだと言います。腟まわりに溜まる垢である恥垢は普通の石鹸で落とせないわけではないですが、腟まわりの肌構造はデリケートなため、専用の洗浄剤があると安心です。陰毛が生えていると、汚れが付着してムレやニオイも発生するのでデリケートゾンケアのために脱毛はしておいた方が良いのだとか。ちなみに、脱毛は”黒い毛“に有効なので陰毛が”白髪”になる前の若いうちが良いです、とも。(この瞬間、私は脱毛の予約を決意しました…!)
清潔にしたあとは、保湿をします。腕の内側の肌の水分吸収率を1とした場合、腟まわりの皮膚は43倍もあるそうです! あごが13倍と言われているので、保湿をすればするほど潤い、ぷりぷりな腟まわりへと変化していくそうです。腟まわりが潤うと、腟が柔らかくなり粘液力が上がります。性交痛の緩和や腟まわりの伸縮性もアップするので、出産の時には会陰切開せずとも赤ちゃんが出てこられるのだそうです! 「腟も腟まわりも全部伸びるんです!切らなくていいんですよ」と森田さん。
まじか。腟すごい!全員、おまたを切るものと思っていた私は一体……!?(笑)
そして最後に大事なのが腟まわりの筋力をつけること。腟は筋肉でできており、日常生活のちょっとした動きで筋力をつけることが出来るそうです。例えば立っているときに、かかとの上げ下げをするだけでも腟まわりの筋肉をトレーニングできます。腟まわりの筋力をつけることで、老化による尿漏れや子宮脱を予防できるのです。
腟まわりがいかに女性の身体・心と密接な関係を持っているかということ、腟まわりのケアの大事さを熱く語っていただいた本講義。最初に森田さんがおっしゃったようにとても赤裸々な内容でしたが、あっという間の90分間でした!
講義終了後は森田さんとの写真撮影会が行われました。長蛇の列でしたが、森田さんはひとりひとりとお話ししてくださり、質問している方にもじっくりと答えてくださる姿が印象的でした。
デリケートゾーンについて初めて知ることばかりで、自分の身体の一部なのに本当になにもわかっていなかったんだな、と改めて気付かされました。美容だけでなくメンタルケアとも通じているデリケートゾーン。自分の体調や気分に合わせてうまく付き合っていきたいですね。このレポートによって一人でも多くの女性に、デリケートゾーンケアの重要性が伝われば嬉しいです!
以上、参加レポートでした。
カルチャーライブ!今後のお知らせ
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みなさまのご受講をお待ちしております。
最後に、森田敦子さん、参加してくださったみなさま、このレポートを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました!!
撮影・編集/小川利奈子 文/ふじみねこ
2020.1.10 作成