見出し画像

RBライプツィヒvsバイエルン・ミュンヘン レポとか雑感とか(ブンデスリーガ2020/21シーズン 第27節)

試合を観て感じたことをざっくりと書いていこうと思います。

26節終了時点で勝ち点61を獲得し首位に立つバイエルン・ミュンヘンに対し、4ポイント差で追いかける2位のRBライプツィヒ。
優勝を占う上で重要となるこの試合、アウェーのバイエルンは今季ここまでリーグ戦で35点を奪っているレバンドフスキを先日のW杯予選での負傷によって失ったことがどう影響するかが(というか結構厳しくなりそうだなと)試合前の大きなトピックスだった。
もちろん負傷離脱者を除けばライプツィヒ側はカンプル、ハルステンベルクの2選手が、バイエルンもボアテンクとアルフォンソ・デイビスが今節は出場停止ではあったが、レバンドフスキが欠場となるとサッカーの質が変わってしまうだろうと思うくらい、今のバイエルンでは絶大な存在感と影響力がある。実際にドイツ国内でも「ライプツィヒ有利」寄りの声も大きかったように感じた。

ライプツィヒのフォーメーション

ライプツィヒはやや歪なフォーメーション。4-2-3-1にもとれるし、大外のレーンに張り出しているNo18のヌクンクを前線の選手とカウントして4-4-2と見えなくもない。

①ライプツィヒ


バイエルンのフォーメーション

対するバイエルンはお馴染みの4-2-3-1。

②バイエルン


ライプツィヒのビルドアップとバイエルンの守備

ライプツィヒはビルドアップの際は基本的には両SBとボランチのNo14アダムスが同じ高さに位置取る。No7ザビッツァーが1列上がり、トップからNo10フォシュベリが列を下げてきてNo25オルモとの3枚で相手ボランチの高さ付近で厚みを作る(中央3vs.2)。ザビッツァーとオルモの2人が相手ボランチの前(視野に中)に立ち、フォシュベリがボランチの若干後方、CBがアタックしてこれない距離にポジションを取る傾向があった(もちろん流れや状況の中で各々の高さは調整していた)。
ビルドアップから「前進」のフェーズに移行した際、SBのNo16クロスターマンやNo22ムキエレが高い位置でボールを持った時は中盤の3人が相手ボランチの列を越えて、ボランチとDFのライン間に顔を出すシーンも。
No8ハイダラとヌクンクが大外にワイドにポジションを取り、最終ラインと同じ高さに立ってSBを留めておき、縦幅(奥行)を確保する。

バイエルンの守備はチュポモティンがCBの間、ミュラーが相手ボランチのアダムスを規制。コマンとサネは中間ポジションを取って縦パスを制限しながらSBをケア。列を越えられることも多くややボール保持される時間が長かったが、CBとボランチで中をしっかり閉めていたし、中盤の選手の帰陣も速く最後のところでは自由にやらせていなかった。

③ライプツィヒ


バイエルンのビルドアップとライプツィヒの守備

バイエルンのサイドに関して、ライプツィヒの守備陣形とのマッチアップの関係もあっただろうが、いつも以上にSBがインサイドに入ってくるシーンが少なかった。
2枚のCBの前に両SBNo5パバールとNo21エルナンデス、ダブルボランチのNo6キミヒとNo18ゴレツカの4人がほとんど同じ高さにポジションを取る。
前半はNo25ミュラーが右サイドに流れてくることが多く、No10サネと近い距離でプレーすることもしばしば。ワントップのNo13チュポモティンは欠場したレバンドフスキのように列を下げてボールを受けたり横に動いてレーンを移動することが少ないため、いつもに比べるとポジションチェンジ等の流動性には欠けていた印象。
ドイツのサッカー用語として度々使われる言葉としてStaffelungやgestaffelte Position(=梯形状、梯形状のポジション)というものがあるが、序盤はそのStaffelungが欠けており、前線の4人があまり段差をつくらずに同じ高さにいることが多かったためにビルドアップが機能しないシーンが見受けられた。
チュポモティンが相手CBの間かやや左寄り、ミュラーがCBとSBの中間を狙っていた感じ。左のNo29コマンより右のサネの方がハーフスペースや中央に進入する、もしくは進入しようとする回数は多かった(バイエルンのビルドアップ~前進にかけてが基本右サイドスタートだったから当然といえば当然だが)。

守備時ライプツィヒは4-4-2のダイヤモンド。フォシュベリとヌクンクが2枚で相手CBを規制し(ヌクンクはアラバにもゴレツカにもプレスに行けるポジション)、オルモが10番(トップ下)の位置に入り相手ボランチのNo6キミヒに対してほぼマンツーマン気味の対応、ハイダラとアダムスがインサイドハーフ、ザビッツァーがボランチの高さに下りてくる。
バイエルンが右SBに預けた際はハイダラがアタックに行き、SBのムキエレ以外全員がピッチの縦半分よりボールサイドに絞ってくる。左SBに配球した際はSBのムキエレがプレッシャーをかけに行く。その際はアダムスがムキエレの後方を埋めて右SBの役割を担う(SBとボランチの中間のようなポジション)か、No4オルバンがスライドしてバイエルンの左ウィングにつくがその場合はライプツィヒの最終ラインとバイエルンの前線が数的同数になる。

④バイエルン


バイエルンのゴールシーンのポイント

得点シーンはリスタートの流れからだったが、ミュラーが下りてきて上手く段差をつくり、活用したところがポイントだった。敵将のナーゲルスマンも「バイエルンの『中盤の深い位置への追い越す動き』に対してはしっかりと守備をしなければいけなかった」と試合後に語っている。

パバールがハイダラを引き連れ、No4ズューレとキミヒの間で2vs.1の数的優位をつくらせる。サネはクロスターマンを留めておき、ミュラーがザビッツァーよりも低い位置。

ライプツィヒのCBの横に生まれたスペースにミュラーが低い位置から入り込み、最終ラインの背後に進入した流れからゴレツカがミュラーの折り返しを決めた。

⑤バイエルン


ライプツィヒのフォーメーション(後半)

後半開始からライプツィヒはフォシュベリを下げてNo21クライファートを投入。ハーフタイム時のインタビューでSDのクレシェが「チーム全体で上手くボール奪取はできていたが、監督はダイナミズムが足りないと言っていた。そこは変化させるだろう」と話していた通りスピードとモビリティのあるアタッカーを入れてきた。
ビルドアップ時の配置は2-3-2-3気味に変化。前半同様、CBは2vs.1の状況からバイエルンの最初のプレスラインを突破する。ヌクンクが中央にポジションを取り、ハイダラはやや立ち位置を低めに設定。クライファートはインサイドに入ってきたり、SBのムキエレとレーンを分け合うようにポジショニング。前半にも多少はあったが、ムキエレのインサイド進入は後半格段に増えた。
ライプツィヒは中央、かつディフェンスラインの前に厚みをつくることで起点が前半とは変わり、右サイドを効果的に突くこともできるようになってフィニッシュワークがスムーズになる。仮にボールを失ってもボールサイドに厚みができている状態であるためすぐにプレスをかけることができ、バイエルンに息つく暇を与えなかった。

⑥ライプツィヒ

バイエルンは前線に送ったボールはことごとく回収され、No7グナブリーとNo42ムシアラの2人を投入するまで後半はシュート無し。やや劣勢で苦しい展開だった。

終盤の展開後半30分手前でライプツィヒがNo9パウルセンとNo19セルロートが出場すると再度形が変わり、2-3-2-1-2(パウルセンがトップ下、セルロートとクライファートがワイドに開いて高い位置を取る)に変更されるが、バイエルンもNo8ハビ・マルティネスを投入して守備強度を高めて逃げ切った。


全体的な感想

全体を通し、非常にインテンシティが高くハイレベルな試合だったという感想。
バイエルンはいつもの「自分たちが支配する展開」とはいかなかったが、粘り強く集中力を切らさなかった。
レバンドフスキの代役で出場したチュポモティンだが、想像以上に良かったと思う。役割は違うため上記にも述べたように流動性は生まれなかったが、相手を背負いながらしっかりとボールを収めていたしロストも少なかった。DFがいる状態で確実に収められるチュポモティンの存在は、プレーを落ち着かせるという点でもバイエルンにとってかなり大きかったと思う。
問題はパバールか。パスミスが多かったし、バイエルンのビルドアップ時に明らかに狙われていた。逆サイドのエルナンデスもプレスの標的にされてはいたが、パバールほど悪くはなかったように感じる。「今まであんなにダメだったっけ?」と思ってしまうくらいパフォーマンスが安定しなかった。

対するライプツィヒはナーゲルスマンが会見で「残念ながらサッカーはゴール数で勝敗が決める。結果はビターだった」と言ってはいたが、「ボール保持もできていたし、いい形で試合に入れた。後半も良かったと思う」と語ったように、結果はともあれポジティブな内容・展開だったと思う。
もちろんプロの世界であるし、リーグタイトルを目指しているクラブからしたら優勝争いをしているライバルとの直接対決に敗れポジティブなことは無いだろうが、観ている側としては内容の濃い好ゲームだった。


#RBライプツィヒ , #バイエルン・ミュンヘン , #RBLFCB , #ブンデスリーガ , #サッカー , #ドイツサッカー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?