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紐を引っ張るのが仕事

4Hクラブ全協の理事会で伝えたかったこと。
いま、全国農業青年クラブ連絡協議会という若手農家グループの顧問をしてて、理事会では最後に「顧問の有難いお言葉コーナー」というのが、設けられています。そこでお話ししたことを、少し深掘りしてみます。

紐を引っ張る

大手自動車メーカーの工場を見学した時のこと。
(どこかの本で読んだ内容もピッコロ大魔王のように融合したり同化したりしてるかも)
ベルトコンベアで車がゆっくり、ゆっっっっくり移動し、
作業員さんが前工程から次の工程までの間に、決められた部品の取り付け等を行ってる画。
作業員さんの近くには、ヒモが垂れてる。
どの工程にも、ヒモが垂れてる。

ある作業員さんが、エラーを見つけ、ヒモを引っ張った!
工場の頭上にある大きな表示板に、黄色が灯る。
班長っぽい人がそそくさとその場に寄って、何か話している。

「一度ヒモが引っ張られると、黄色が灯り、班長がチェックに行く。ベルトコンベアは動いたままでね。その場で対処できるエラーだったら、対処して黄色を解除するし、今までにないようなエラーだったら、ヒモが引っ張られて赤が灯り、ベルトコンベアが止まる仕組みになってます。」

「なんせ◯◯という機種だったら、計算上は40分(たしか)で一台出来る計算なので、エラーがあったら、止めなきゃ、重大なロスになりかねません。早く作りたい思いはあるけど、お客さんのために不良品作るワケにいかないしねぇ。」

という説明を、イヤホン越しに受けて、ホホーと感心する一同のなかに、ボクがいた。

この自動車メーカーさんには、「バッドニュースファースト」という鉄の掟があるらしい。つまりは「悪い知らせこそ、早よ!」である。
それを徹底するために、こういう指導もされているとか。

「作業員のキミがする仕事は、決められた部品を取り付けることじゃない。『ベルトコンベアを止めること』だ。エラーな状態で受け渡しがされた時、いつもと違和感がある箇所がある時、いつものように思ったように取り付けることが出来ない時。キミがやり過ごせば、自動車は次の工程に行くけど、エラーは流れるだけで解決はされない。」
「班のリーダーは、『ベルトコンベアを止めないこと』が仕事だけど、それは、やり過ごせという意味ではない。エラーが起きた際に全集中できるよう、タスクを自分で抱えないようにすることだ。」

全協でいえば、ブロック理事の上に事務局次長、三役(会長、副会長、事務局長)という組織構造になっており、ブロック理事は、全協の意向とブロック(北海道、東北、関東、北陸、近畿、東海、中四国、九州沖縄)の合意形成をしたり、ブロックの意見を集約して全協の議論のテーブルにあげたりというのが仕事で、ぱっと見はFAXのような仕事をする感じ。

だけど、ただ書かれた文言を渡すのではないし、単なる書記でもない。
いちクラブ員としての意見も持ち、それぞれの意向や意見に自分の思いを乗っけたりして、伝える責任がある。

全協の運営としては、先般行われたオンライン会長会議(全国の各道府県の代表者が集まって議論やなんやをする)が滞りなく始まり、無事に終わることはホッとするニュースだけど、
振り返りをする上で
「いや〜無事終わった!」
「おおむね好評だったね」
は総論として良いんだけど、それは5秒くらいで済む話。なんなら、LINEで済む。
でも、会議の2時間半くらいの間には、様々な事象が起こっているハズ。
「◯◯県の××さん、めちゃ意見いうタイプの人」
「次は△△のテーマで意見交換したいって言ってたな」
「ブレイクアウトルームの取り回し、◯◯して良かった」
そんな振り返りコメントが出てくると、もっとステキになるハズだ。

紐を引っ張れ!

なんでもいい。報告するのに時間を割くのが気兼ねならば、テキストでリストアップしてLINEしたっていいのだ。

「無事終わった!」
「おおむね好評だったね」
とか言ってる間にも、「全国に加盟する必要あんの?」という辛辣な目の向けられ方をどこかでされているかもしれないし、
「今回は面白かったけど、次回も参加するかはビミョ〜」なんて、参加者どうしで話し合われている可能性だってあるのだ。
良いコンテンツでも参加されない時代なのだ。みんなYouTubeとか見るのに忙しいのだ!

全協は人手も足りないし
若さゆえの見落としも多々ある(すません!)
放っておいても、誰も解決はしてくれない。
運営の確認してて「ん?」となったら、まず紐を引っ張ろう。
引っ張れば、みんながいるから。

全協の運営に携わって、ボクも長老も長老、最長老さんになりかけてる。
経験から察するに、紐を引っ張る人は出てくる。出てくるってレベルじゃなく、だいたい皆そうなる。それくらい、集まってくる皆のレベルは高い。レベルというか、ポテンシャルというか。
今年はコロナがあって、リアルに集まる機会もないので、間合いが詰められない面もあるので、紐を引っ張る感覚に慣れるまで、時間がかかるような気はしてる。時間はかかるけど、だいたい皆、到達するので、その心づもりだけは持っておいたほうが良いよ、というお話でした。

ボクは最長老っぽいヤツだけど、頭に手を置いてブゥーンと潜在能力を引き出してあげることは出来ない。このドキュメントがせめてもの代わりになれば幸いです。

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