banvox/Laser ~recommend "kyuhu"~

新譜の紹介は多くあるが、旧譜の紹介はあまりないなと思い、始めたのが「recommend "kyuhu"」。その名の通り、ただただ気になった旧譜を紹介していくシリーズです。

今回はEDM系の音楽をご紹介。
日本のエレクトロダンスミュージックシーンの中で活躍を続けているトラックメイカー『banvox』の『Laser』を。

2011年から活動を開始し、tofubeatsなどと所縁の深いMaltine Recordsよりリリースしたのがデビュー作『Intense Electro Disco』だ。
今でもフリーダウンロードできるこの作品の2曲目が今回紹介したい曲。

自分が"EDM"という音楽に接触したのは、この曲が初めてだったのではないかと思っている。とは言いつつも、それが言葉の意味そのものの意味としては、本当かどうかは正直怪しいのだが、少なくとも、この曲で"EDM"に一気に近づくことが出来た。
いわゆるビルドアップからのドロップという流れでいえば、もっと分かりやすい曲は他にもあるが、個人的には、なるほど、これが"EDM"か!とすっきり来たのだ。
イントロの、これから何か始まるワクワク感。そして、曲のリズム感に小気味の良さを加えるボーカルチョップ。そしてそこからジェットコースターのように流れ込むドロップ。派手な音が右から左。左から右。まさに縦横無尽に暴れまくる。正直に言って、あまりにも過剰すぎる。しかし、その過剰さが、イントロやボーカルチョップの心地よさと不思議とうまくマッチする。
まさしく『Laser』という曲名に相応しいこのドロップが、今の自分の音楽観に大きな影響を与えたことは間違いない。このフレーズは、一生忘れないだろう。
以下のレビューにもある通り、この過剰さには、まさしく初期衝動を感じる。というか初期衝動でしか出来ない代物だと思う。


ちなみに、以下のレビューにもある通り、マルチネレコードでのリリースという話題性もあってか、ここから、インディーズシーンで一気に注目を浴び、そしてメジャーシーンまで飛び立っていったわけだが、この流れはとても自然だったし、そうなるべきアーティストが、そうなるべくしてなったというのが、とても良かったと思うし、良い流れだった。

その後も勢力的に活動を続けており、つい最近もアルバムをリリースしている。音楽性は少しずつずらしつつも、そのセンスは衰えるところを知らない。今作は全曲HIPHOPというチャレンジ精神も素晴らしい。

そうやって、今でも進化をし続ける中でも、(大分前ではあるものの)以下の本人のTwitterにもある通り、この鬼気迫る迫力は『Laser』のここにしかない。  
日本のエレクトロミュージックシーンの中で、参照され続けられるべき1曲とすら、自分は思うのだが、どうだろう。  是非自らの耳で確認していただきたい。



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