2022.3① Weekly Music Log ~phritz、BLOOM VASE、SATOH、TENG GANG STARR、ペトロールズ~

架空対談方式で、音楽について書く週刊記事。

――初回です。よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。初回なので、短めに、サクッと行こうかなと思っています。

――改めて、どんな感じの記事にする予定なんでしたっけ?

とりあえず週刊で何か書ければぐらいが最低限の決まりで、あとは基本的にはやりながら考えようかなと思っています。まぁとりあえずは、主に新譜から4曲ぐらい紹介したのち、最後におまけで音楽に限らず面白かったコンテンツを紹介しようかと思っています。

――緩い感じでとりあえず何か音楽について書く、って程度ですかね。

そんな感じです。よろしくお願いいたします。もう3月2週目後半ですが、なんか中途半端なので、1週目に聴いた曲から書いていきます。

――ではさっそく、何から紹介しますか?

phritzの「close enough」です。

――いきなり、新譜ではないようですね。

2月にリリースされた曲ですね。最近聴いたので選んでみました。それぐらい緩くいくということです。

――綺麗なエレクトロミュージックという感じでしょうか。phritzはどんなアーティストなんでしょう?

2018年より活動開始しているトラックメイカーですね。自分が知ったのは、「phritz, hirihiri, Amane Uyama & Kabanagu - all night」の時だと思います。この作品がどういう経緯で作成されたものなのかは抑えられてないですが、この名前の並びから、音の雰囲気は容易に想像できてしまいますね。そしてまさにそういう音を聴かせてくれます。

phritzについては以下の記事辺りが詳しいですね。後者のインタビューは制作視点での話もふんだんにあって興味深いです。

――なるほど。確かに注目のアーティストですね。改めて曲はどんなところが良かったですか?

一聴して引っかかったのは、低音の作りです。あまりこれまで聴いたことないような鳴り方をしているように思いました。表情が豊かというか、低音一つとってもバリエーションが多様にあって、これだけでも飽きないです。音の輪郭がしっかりしているので印象深いのかなとも思っています。

――確かに低音は印象的ですね。いわゆるハイパーポップの流れなんでしょうか?

全くないとは思わないんですが、なんかハイパーポップとは違う気がしています。インタビューの中でPorter Robinsonの話が出てきているんですが、Porter Robinsonみは確かに感じますね。ハイパーポップって、結構無茶苦茶するので、どうしても人工的な音の雰囲気になると思うのですが、phritzやPorter Robinsonの曲は自然の景色が広がっていくような音だと思っています。単調では全然ないんですが、あまり無茶をやっているように聴こえない。実際は結構色々やってると思うんですが。綺麗なメロディが軸として組み立てられているからというのもありそうです。

――なるほど。分からないでもない気がします。サクッと行くといって、いきなりそこそこな文字数になってますが大丈夫ですか?

あまり大丈夫じゃないので、次に行きます。ここからは本当にサクッと。
BLOOM VASEの「Sympathy」です。美容師のためのコンテスト「CHANGE YOUR LIFE!美容師はエンターテイナーだ。」のために書き下ろしされた楽曲のようです。

――BLOOM VASEですか、人気出てきてるみたいですね。

3人組ヒップホップユニットですが、TikTokとかで人気みたいですね。2021年の楽曲再生数ベスト4位に「Bluma to Lunch」が入っています。

自分はこのポッドキャストで初めて知って、キャッチーで良いなぁと思っていたのですが、そのキャッチーさがTikTokにうまくハマった感じなんでしょうか。

――この曲もキャッチーですもんね。

そうですね。フックから始まる楽曲ですが、いきなりキャッチーなフロウなんですよね。ふと口ずさんでしまいます。この曲もTikTokとの相性は良さそうですね。オートチューンのかかり具合も抜群で、強めのかかり方が、いわゆるエモさを演出しています。ヴァースは畳み掛けるようなラップも気持ちよいです。

――このキャッチーさは安心するような心地良さがありますね。次の曲はなんでしょうか?

次はSATOHの「CRASH!!! (feat. AOTO & lil beamz)」です。

――イントロから面白い音が鳴ってますね。

そうなんですよ、この音だけでやられました。なんて表現するのが良いのか迷っているのですが、このチープなシンセの音がこの曲の雰囲気を決定づけていると思います。

SATOHは、去年S亜TOHから改名した2人組のデュオで、自分の印象だともっと狂暴な音楽やっている印象もあったんですが、なかなかにポップで面白い曲だと思います。

――他にどんなところが面白いんですか?

リリックにおける言葉の選び方のセンスが面白いなと思いました。チープなシンセに呼応する形で、言ってしまえばダサいような言葉遣いが散りばめられています。やろうと思えば、凛々しくスタイリッシュにまとめることもできるアーティストなんじゃないかと思うんですが、抜け感があるというか。

――確かに「うっせー」とか「うっぜー」とか「だせぇ」とかストレートに使ってますね。

その辺に、リアル感も垣間見えて良いと思います。

――次の曲は何ですか?

次は全然新曲じゃないんですが、ふと思い出した曲です。
TENG GANG STARRの「Dodemoii feat. Masayoshi Iimori」です。

――随分前の曲ですね。2018年リリースですか。TENG GANG STARRは活動休止中ですね。でも、いきなりなぜ?

この記事を読んだからです。

めちゃくちゃ濃いヒップホップ談義で、自分は全然ついていけなかったのですが(分からないものばかりで逆に面白かったです)、数少ない分かった部分の一つが、TENG GANG STARRでした。特にこの曲には結構思い入れもあったので。

――どんな思い入れですか?

この曲を知ったのが、2018年のサマソニでして、YonYonがDJで流したんです。その時初めて聴いたんですが、一聴してヤバいなと思いましたし、その場の空気も一変した記憶があって。強い力がある曲だなと思いました。その後、TENG GANG STARRのライブを観る機会にも恵まれて、この曲も聴きましたが、やっぱり良かったですね。今聴いても、めちゃくちゃ良いなと思います。勢いが凄まじくて、全編パンチラインです。

――Masayoshi Iimoriのビートも良いですからね。

このビートがあるからこそ、TENG GANG STARRの二人が自由気ままにラップ出来ているという気もしますね。

――これで4曲ですね。こんなところでしょうか。

いや早速言ったことを破りますが、もう1曲紹介します。
ペトロールズの「雨」です。

――これまた全然新曲じゃないし、選曲の角度が全然違いますね。

最近ライブ動画があがったみたいで、たまたま目にして聴きました。「雨」はもともとめちゃくちゃ好きな曲なんですが、久しぶりに聴いてもやっぱり最高でした。

――3ピースでシンプルな曲ではありますよね。

そうなんです、めちゃくちゃシンプルで、余白だらけです。でもそれが良い。3ピースの極致のような曲だと思います。複雑に音を詰め込まなくても、いや詰め込まないからこそ、これだけ開かれた音楽になる。音一つひとつの存在感がありありと感じられますし、まさに雨が降り注ぐようなギターの鳴り響き方は心地良さしかないです。そして終盤の泣きメロ全開のギターソロ。完璧です。

――文句なしで名曲ですね。これで終わりですかね。最後はおまけをお願いします。

初回のおまけは、音楽メディア「Spincoaster」による2022年の注目アーティストに関する記事です。

――Spincoasterは質の高い情報を提供してくれているイメージがあります。

そうですね、この企画も毎年やってくれているのですが、とりあえず選ぶアーティストのセンスがめちゃくちゃ良いんですよね。各メディアがこういう企画はやっていますが、個人的に一番楽しみにしているのが、Spincoasterの記事です。

――記事が2種類あるのは、なぜですか?

注目のアーティストと一口に言っても、温度差というかブレイクの度合いにはグラデーションが相当あるじゃないですか。今時、紅白も狙えるようなアーティストでなければお茶の間には知られないので、そういったレベルのアーティストになっていくことを期待するという意味での注目もあれば、本当にまだ全くの無名だけど、シーンの中では確実に知られていくだろうという注目もある。そのグラデーションを一つで表現しようとすると、意味分からなくなっちゃうので、Spincoasterでは、二つの選出基準を作っていると自分は理解しています。

BREAKOUTに関しては、以下のような基準と記載があります。

・複数の大型フェスに出演する
・主要音楽チャートの上位に食い込む
・地上波のテレビでも露出がある
・大型タイアップが展開される

NEXTCOMINGには、1~2年後にBREAKOUTに選出されそうなアーティストという感じですね。

――非常に真っ当な考え方だと思いますね。

ですよね。ちなみに、去年の選出を観てみたんですが、BREAKOUTではカネコアヤノとかLEXが選出されているし、NEXTCOMINGには浦上想起や諭吉佳作/menが選ばれていました。流石ですね。

――これは要チェックですね。

NEXTCOMINGを中心に、自分も知らないアーティストがたくさんいたので、ちゃんとチェックしてみたいと思います。ちなみにYoutubeにティザー的な動画も上がっているので、そちらを観るのも良いかもです。

――確かに動画にしてもらえると、より気軽に観れるかもですね。ちなみに現時点で気になっているアーティストとかいますか?

まだこれからちゃんとチェックするので何ともですが、現時点だとBREAKOUTでは4s4kiはまさにだなと思いました。確実に来ますよね。
あと、鋭児は前から少し気になっています。見た目からしてぶっ飛んでいて面白そうです。

NEXTCOMINGだと、何と言ってもKabanaguでしょう。APPLE VINEGARにもノミネートされていますし、一気に来そうな予感です。

――初回はこんなところでしょうか。いかがでしたか?

やっぱり、普通の文体で書くものとは、ちょっと違ったものが書けている気がして、面白いです。今後も続けていければと思いますので、よろしくお願いいたします。

――そうですね。色々実験しながら、引き続きやっていきましょう。ありがとうございました。

ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

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