vol.4:政治思想について(右派・左派とは?) ~Vodka's input journal~
今回は政治思想について。急に政治活動に目覚めたわけではないが、たまたま短期間で関連書籍をいくつか読んだのでまとめていく。参考文献は以下
政治思想二極化の歴史(資本主義)
元々は、イギリス産業革命時に地主を味方につける保守派(ナショナリズム)と産業資本家を味方につける自由派(グローバリズム)の対立から生まれた
産業革命により産業資本家が生まれ、彼らは事業拡大のためグローバリズムを政治家に要求。一方で地主は外資の参入を拒否するためにナショナリズム思想
政治思想としての資本主義が生まれたのは16世紀。宗教改革と関係がある
当時のカトリック教会が、寄付金の教養や免罪符の購入促進など金策に走り堕落。これに抗議したキリスト教信者が「新教徒」であり「プロテスタント」(抗議者)
プロテスタントで最も先鋭的だったのがカルヴァン派で、従来の「勤労と蓄財は罪」というカトリックのスタンスに対し、「一生懸命に働くことこそが神のご意思である」と考え、仕事を真面目に頑張ることを奨励した
仕事を頑張った先の贅沢は禁止されていたため、儲けたお金を仕事に再投資していった。こうして富が富を生む再生産が行われるようになり、イデオロギーとしての資本主義がスタートした
こうしたプロテスタントの教えは、スイスから始まってドイツのライン川流域、オランダ、イギリス、フランス、そして新大陸へと広がった。
ちなみにアメリカを作ったのは主にイギリス系移民のピューリタンであり、彼らはプロテスタントの一派。17世紀に迫害を受けており、圧政から逃れるためにメイフラワー号に乗ってアメリカ大陸へと移った。プロテスタントの彼らが勤勉の意思を持っていたおかげで、アメリカは経済的な発展を遂げたといえる。
一方でスペイン・ポルトガルのカトリック教徒が侵略した中南米には「蓄財は罪、教会に寄進せよ」という教えが広まったため、経済的に発展しなかった。カトリック教国であるイタリアで文化は発展しながらも経済が弱いのも同じ理由
政治思想二極化の歴史(社会主義)
社会主義は19世紀のフランスがブルジョワジーが権力を握って貧富の差が拡大する中で、カール・マルクスが「平等を実現するためには労働者自身が独裁権力を持って対抗することが必要だ」という「プロレタリア独裁」という思想を産んだことから始まる(プロレタリアとは「労働者」)。
ロシアのレーニンは、知識を持たない労働者の代わりに知識人の組織(共産党)が革命の前衛に立地、人民を指導すべきだという理論に行き着いた
西欧諸国では暴力革命が否定され、「議会政治を通じて社会主義を実現しよう」「革命ではなく立法によって社会主義に移行しよう」という「修正主義」が生まれたが、ロシアには議会がなかったため、革命が起きてしまった。その結果、「平等だが自由ゼロ」という極左モデルが生まれた
右派・左派とはそれぞれ何を表すのか?
最もシンプルなのは、「右が保守(伝統を守る)で左が革新(時代に合わせて変えていく)」という分け方
例えばアメリカでは、右の共和党(トランプ)、左の民主党(バイデン)
右派(保守主義):社会や家族を守り、個人はその一員という立場
左派(自由主義):女性や外国人の権利、国家よりも個人、のようなリベラル派。日本だと共産党がこれにあたる
左派は前述の通り、個人を守るために議会を使う「修正主義」の思想が大半だが、旧ソ連や中国は革命を起こし、「個人の権利や平等を守るために共産党が独裁しよう」という暴力的な共産主義に
しかし、何を「保守」とするかは国の歴史や考え方によって異なるし、政治思想と経済思想で異なったりする。
例えば、アメリカにおける保守(右)はその歴史から「自主独立」「孤立主義」「小さな政府」「自己責任」。そしてこれを元々「リベラル(自由主義)」と言っていた。
しかし、1920年代、民主党(左派)のルーズヴェルトが世界恐慌対策として、企業間協定、補助金、公共事業など、いわゆる「大きな政府」的な政策(ニューディール政策)を志向→これにアメリカ保守派は「アメリカのリベラルに反する!経済活動の自由を謳う合衆国憲法違反だ!」と反発→しかしルーズヴェルトは「古典的な自由主義が貧富の差を拡大し、個人を不幸にした。こっちが本当のリベラルだ」と意味を180度転換。
ここで、現在の意味のリベラル(=大きな政府がコントロール。経済的自由を少し犠牲に平等を保つ)が定義され、これが左派と分類された。逆に、個人の自由尊重、福祉は最小限で減税、小さな政府、という古典派”リベラル”は「リバタリアニズム」に名称変更。これが逆にアメリカにおける「保守」「右」になっていった
日本は社会主義ではないものの、国民皆保険制度・生活保護など国によるセーフティネットが充実しており、アメリカに比べると左といえる
これ以降、「右VS左=自由主義と権威主義の対比」から、「グローバルとナショナル」の対比に変化。グローバリストの金融業界はリベラル(ただし経済的にはむしろ社会主義的平等)の民主党を、ナショナリストの製造業界は保守の共和党(ただし経済的にはむしろ自由主義)を支持する構図になった。
元々のアメリカは強いナショナリズムだったが、金融資本とのつながりが大戦参戦を民主党に決意させ、だんだんとグローバリズムになっていく(ナショナリストの保守派は猛反発)
今のアメリカの政治思想は「グローバリズムとナショナリズム」「自由(小さな政府)と平等(大きな政府)」の2軸で眺めるとスッキリする。
小さな政府でナショナリズムなのが共和党(右派)、大きな政府でナショナリズムなのが民主党(左派)。
なんとなく右翼がナショナリスト、左翼が全世界平等(でも行きすぎると独裁)みたいな風に思っとけば良さそう
アメリカの左は民主党であり、彼らが主張するリベラルは「自由主義」という訳だが、社会的公正や多様性を重視するので社会自由主義と言える。自由と平等のバランスをとるようなイメージ?ガチ平等・自由ゼロがソ連、平等と自由のバランスをとるのがアメリカの左である民主党で、ガチ自由・その分平等が犠牲になるのがアメリカの右である共和党、という感じか。
※日本における「右」「左」の比較は次回
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