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心の弱さ 第5話

学校で席替えをした。隣の席の子は女の子でクラスの一部の女子に嫌われている子(以下、Aちゃん)。初めは、この子が隣でもうまくやっていけると思ってた。教会で兄弟姉妹の愛とかを教わっているおかげで、好きな子はいても嫌いな子は作らないようにしていた。Aちゃんの事も嫌いではなかった。

私の通う学校は私立で、クラスはとても頭の良い人が集まっている。私は自らその学校、クラスに入ることを希望した。というのも、中学生の頃、もっと言えば小学生の頃から人間関係で悩まされていた。だから体験入学で感じたクラスの人たちの雰囲気の良さに惹きつけられた。そして自分の頭の中にある「頭の良い人=節度のある人」という偏見からクラスも一番上のクラスを希望した。ずっとE判定だったけど過去問対策で乗り切って希望は叶った。

そして、案の定クラスの人は良い人たちだった。クラスで嫌いな人なんて一人もできなかった。グループの派閥みたいなものもなくて、居心地もよく、まさに理想の環境だった。
そんな良い人たちが嫌うほどの人である。何か理由があるのだろうとは思っていた。席替え直後は順調に感じていた。ペアワークも問題なく、Aちゃんの性格も悪くなかった。

問題は帰り道にあった。私はいつも6人くらいの人たちと学校から駅まで一緒に帰っている。毎日特定の人と話すことはなく、いつも、いろんな人といろんな話をして帰っていた。そのくらい、みんなと仲が良かった。

でも、席替えをしてAちゃんが隣になった時から、なぜか帰り道にAちゃんとしか話さなくなった。Aちゃんがいつも隣に来て、他の人と話そうとするとついてくるからだ。道いっぱいに広がるわけにもいかず、私はいつもAちゃんに付き合った。
それは別によかったのだが、Aちゃんと言葉のキャッチボールができないのが私の心に影を落とした。私は興味の無いAちゃんの話を一方的に聞かされた。興味がない、楽しくないから相槌も適当になった。そのうち沈黙になって、それを埋めるためにAちゃんがよく知らないコナンの話を私が一方的にした。お互いに楽しくなかったと思う。そこで、「興味がない」「楽しくない」だけでそんな態度をするのは教会の教えに反するし、お互いの為にならないと思ったから、しっかりAちゃんと向き合おうとした。でも、周りの人が楽しそうに話しているところを見て「うらやましいな」「あの中に入りたいな」という思いがそれを邪魔した。


そして私は悪循環にハマって行った。

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