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Football Manager リベロを活用した戦術の考察と検証

現代サッカーでは見ることが少なくなったリベロ。
そのリベロをFootball Manager 2024(以下「FM24」と表記、また「Football Manager」を「FM」と表記)で活用する方法を考察し、実際に機能するか検証してみました。


0.リベロとは

リベロを含む、サッカーの各ポジション・役割の説明は、Jリーグ公式の解説が分かりやすいです。

その中でリベロは以下のように説明されています。

リベロはイタリア語で「自由」という意味で、サッカーではセンターバックながらポジションに囚われず、攻撃にも参加する選手をリベロと言います。特定のマークを持たず、チャンスと見れば中盤に上がって司令塔の役割を担ったり、時に前線にまで攻め上がり、フィニッシュワークもこなします。元西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウアー選手や元イタリア代表のフランコ・バレージ選手がこのポジションを代表する選手です。ただしゾーンディフェンスが主流となった近年では、リベロというポジションはほとんど見られなくなっています。

https://www.jleague.jp/a-to-z/position/

ざっくり言えば、リベロは「絶滅危惧種の攻撃参加も行うセンターバック」ととらえてOKです。

1.FMにおけるリベロ

前述の通り、リベロは攻撃参加するセンターバックのことですが、FMではどのような役割なのか説明します。

FMでのリベロにはサポートタスクと守備タスクがあります。
どちらも、攻撃時には攻め上がりますが、守備タスクは上がっても守備的ミッドフィルダーの位置くらいまでなのに対して、サポートタスクはより高い位置まで攻め上がります。
サポートタスクの場合、攻撃の流れからアシストや得点を決めることもあります。

また、リベロは本来ですと、3バックの中央の選手の役割なのですが、FMではFM24から、それ以外の位置のセンターバック(4バックでも)でもリベロとして起用可能です。
これは、現実世界における戦術のトレンドである、可変システムをゲーム内で再現するために実装された仕組みです。
可変システムについては、こちらで解説しておりますので、よろしければご一読ください。

なお、今回の考察と検証では、クラシカルな、3バックの中央でリベロを起用する場合を対象とします。

2.リベロのメリット・デメリット

リベロのメリット・デメリットの前に、今回対象とする3バック戦術が、4バックと比べてどのようなメリット・デメリットがあるかを考えてみます。

まず、メリットですが、以下の点があると考えます。

  • センターバック3人がゴール前を固めているので、特に中央の守備が堅い

    • 3バックの場合ウィングバックを起用することが多いため、ウィングバックも守備に参加すれば、5人で最終ラインを形成するため、全体的に守備力は高くなる

一方、デメリットとしては、以下の点があると考えます。

  • センターバックが1人多い分、中盤・サイド・前線のいずれかの人数が少なくなる

さて、これを踏まえたうえで、リベロを採用するメリット・デメリットを考えてみます。

メリットはシンプルで、以下の点が挙げられます。

  • センターバックの内1人が攻撃参加することで、攻撃時に中盤の人数を増やすことができる

デメリットはその逆で、以下の点が挙げられます。

  • 攻撃時にセンターバックが1人減るため、ネガティブトランジション(相手にボールを奪われて、自軍の守備陣形が整うまでの間)の際に、守備に残っている人数が少なくなる

    • これによって、カウンターを受けた際の守備力が低下する

戦術を構築する際には、これらのメリット・デメリットを踏まえて、いかにメリットを活かすか、デメリットをごまかすか、という点が大事になってきます。

3.検証に使ったクラブと戦術

3.1.検証に使ったクラブ

検証に使ったクラブは、ドイツのBorussia Mönchengladbach(以下「BMG」)です。

理由としては、3バックに適した選手層をしており、かつ、リベロの適性の高い選手が在籍していたことです。
また、戦力的にリーグ中位にあることから、戦力によるゴリ押しになりづらく、戦術の検証に適している、と考えました。

ご存知、日本代表の板倉選手。
センターバックとしてはフィジカルがやや物足りないものの、守備能力やボールテクニックは高めの評価。

なお、移籍活動については、どうしても起用するポジションがない選手を放出して、控え選手が不在のポジションを補強するだけにとどめています。

3.2.戦術

組んでみた戦術がこちらです。
なお、以下の文中では、ポジションの表記はゲーム内の略称を使います。

パッと見、よくある3-5-2(5-3-2)システム

まず考えたのは、リベロのデメリットである「ネガティブトランジションにおける守備力の低下」の対策です。

色々と考えましたが、シンプルにDMに守備的な役割を置くことにしました。
これによって、攻撃時にリベロが攻め上がっても、ボールより後ろにDF(CR)・DF(CL)・DMの3人が残ることになり、カウンターに対する守備力が向上します。
DMの役割に守備タスクのディープラインイグプレイメイカーを採用した理由は、後述します。

また、カウンタープレスを採用し、プレスラインを高くし、プレスも強めにしています。
これは、高い位置でのボール奪取が目的ではなく(もちろん、高い位置でボール奪取できれば言うことなしではありますが)、ハイプレスによって相手の攻撃を妨害して、攻め上がったリベロが最終ラインまで戻る時間を稼ぐことが目的です。

次に、リベロのメリットである「攻撃時に中盤の人数を増やすことができる」を活かす方法を考えました。

リベロが攻め上がることで、中盤のピッチ中央で攻撃参加する人数が増えます。
このことから、人数の多い中盤を活かして、ショートパスによる中央突破を狙うようにしています。

ただ、中央突破だけですと、相手が中央の守備を固めてきた場合に対応できないので、WB(R)・WB(L)は共にサポートタスクのコンプリートウィングバックを起用して、攻撃時には幅を取ってもらいます。

また、リベロが最終ラインから中盤に上がることで、下図のような2-2のブロックを形成することが可能です。

3バック+DMが変形して2-2のブロックを構成

この2-2のブロックは、選手間の距離が近く、パスコースの確保も容易なため、ビルドアップ時に相手のプレスをかわしてパスを回す難易度が低めです。(流石に、偽センターバック戦術の3-2のブロックには劣りますが…)
DMにディープラインイグプレイメイカーを採用した理由がこのビルドアップのためで、パス回しから前線やサイドにボールを供給する役割を担います。

また、2-2のブロックでビルドアップしている間に、他の選手には前線に上がってもらいます。
そのため、MF(C)には攻撃タスクのメッツァーラを2人配置しています。

これによって、アタッキングサードに6人の選手を送り込み、人数をかけて相手の守備をこじ開ける攻め方を行います。

4.検証結果

BMGで上記の戦術を用いて1シーズン戦ってみた結果がこちらです。

Bayernが2位じゃないのは意外

リーグ最少の18失点という堅い守備が光る優勝となりました。
攻撃に関しては、67得点は悪くないですが、RB Leipzigがそれを上回る70得点を挙げていますので、やはり守備力が優勝の要因だと考えます。

特に守備的な戦術という意識はなかったのですが、ネガティブトランジションにおける守備を重視したことと、ショートパスによる中央突破というボール支配率を上げやすい(=相手ボールの時間が短い)攻撃を狙ったことで、結果的に堅い守備になったようです。

また、攻撃に関しては目論見通り中央からの崩しが多いものの、サイドからのアシストも無視できない程度にはあり、うまい具合に相手守備に的を絞らせないようになっていました。

計画通り

当初の目的であった、リベロを活用した戦術は一応組めて、検証結果も問題はなかったかな、と思います。

リベロのような、癖のある役割を使ってうまくいったときは、なかなか気持ちの良いものですね。

では皆様、良い監督生活をお送りください。

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