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Football Manager 可変システムのイロハ

近年ヨーロッパで流行っている可変システムをFootball Manager(以下「FM」)で実現するための方法を説明します。


0.可変システムとは

ここでは、可変システムとは「攻撃(マイボール)時と守備時とで、異なるフォーメーションを取る戦術」と定義します。

最近ですと、Manchester Cityの偽サイドバックや偽センターバックと呼ばれる戦術が有名ですね。

どんな戦術になるのかはこちらの記事で実際にFMで偽センターバックの戦術でプレイしてみているので、ご確認ください。

1.可変システムの目的と注意点

前述の通り、可変システムは攻撃時と守備時でフォーメーション(=選手の配置)が変わる戦術です。

では、その目的は何かというと以下のものが挙げられるかと思います。

  1. 局地的に数的有利を作る

  2. 選手の配置が変わることで、相手の守備を混乱させる

1については、例えば攻撃時に最終ラインや中盤の人数を増やすようにすればビルドアップに関わる人数を増やすことができるため、相手のプレッシングを回避してボールを回すことができます。

2については、特に偽9番と呼ばれる戦術が分かりやすく、センターフォワードの選手が中盤まで下がって、代わりにサイドや中盤の選手が最前線に出ることで、相手ディフェンスのマークを混乱させることができます。

さて、それでは可変システムの注意点ですが、以下の点に集約されます。

局地的な数的不利を作ってしまう

「サッカーは寸足らずの毛布だ。足下にかければ上半身が寒い、頭からかぶると足が出る」という名言の通り、どこかに人数を増やせば、その分、どこかの人数が減るわけです。

前述した「攻撃時に最終ラインや中盤の人数を増やす」戦術の場合、その分前線で攻撃参加する人数が減るわけで、ビルドアップの質が向上する代わりにファイナルサードでの攻撃力が下がるわけです。

そのため、可変システムを導入する際には、局地的な数的有利・不利がどこでできるかを確認して、それによるメリットがデメリットを上回るかを考える必要があります。

2.FMにおける可変システムの原則

FMにおける可変システムの原則として以下の点があります。

  • 戦術画面で設定した選手配置(以下「基本陣形」)は守備時の選手配置を表す

  • 攻撃時の選手の動きを調節することで、攻撃時に基本陣形から選手配置を変える

  • 逆に守備時に基本陣形から選手配置を変えることはほぼ無理

これは、戦術での選手への個別指示を見れば分かるのですが、選手の動きを指定できるのはチームか選手がボールを保持した場合のみで、相手がボールを保持した場合には動きを指定できる指示がないためです。

相手ボール時にはプレス・マーク・タックルの指示しかできない。

3.FMにおける可変システムに必要な役割

では、FMで可変システムを実現するために、どのような役割を使えば良いのか説明します。

3.1.フォルスナイン

直訳すると「偽9番」ということからも分かる通り、前述した偽9番の戦術におけるセンターフォワードの役割です。
前線の選手配置を変更するためには必須といってよい役割です。
攻撃時に中盤まで下がってボールを受けることが多く、それによってできたスペースに他の選手が入り込む、という使い方をします。

3.2.インサイドフォワード・シャドウストライカー

前述のフォルスナインが作ったスペースを使って最前線に入り込むために使う役割です。

3.3.インバーテッドウィングバック(以下「IWB」)

「インバーテッド」(逆の・反転した)の名のごとく、通常のウィングバックとは逆に、攻撃時にはピッチ中央にポジションを取る役割です。
守備タスクの場合は最終ライン~守備的ミッドフィルダーくらいの位置を取り、サポートタスク・攻撃タスクの場合は、攻撃の展開によってもっと高い位置まで攻め上がります。

3.4.インバーテッドサイドバック(以下「IFB」)

こちらも、通常のサイドバックとは逆に攻撃時にはピッチ中央にポジションを取ります。
IWBと違い、中盤に上がることはあまりありません。

3.5.リベロ

守備時にはカバーリングを行い、攻撃時には攻め上がるセンターバックです。
守備タスクの場合は守備的ミッドフィルダーくらいの位置を取り、サポートタスクの場合は、攻撃の展開によってはもっと高い位置まで攻め上がります。
元々は3バックの中央の選手の役割で、FMでも2023までは3バックでしか設定できなかったのですが、2024では4バックでも使用可能に変更されました。

3.6.ハーフバック

守備時には中盤で守備を行い、攻撃時には最終ラインくらいまで下がる守備的ミッドフィルダーです。
リベロとは逆の動きをすると認識するとイメージしやすいかと思います。
ビルドアップの際に最終ラインの人数を増やして、ボール回しを行いやすくすることを目的として採用することが多いです。

3.7.ワイドセンターバック

3バックの両端のセンターバックにのみ設定できる役割です。
守備時には通常のセンターバックと同じように、攻撃時にはサイドに開いてサイドバックのように振る舞います。
IFBとは逆の動きをするイメージです。
守備タスクの場合は最終ラインから攻め上がることは少ないので、サイドに開くことでパスコースを増やすことを目的に採用することが多いです。
サポートタスク・攻撃タスクの場合は、攻撃時に高めの位置を取ることが多いので、サイド攻撃に厚みをもたらすことができます。

4.可変システムの実践例

それでは、FMで可変システムの実践例をいくつか説明します。
ポジションの表記はゲーム内の略称を使います。

4.1. 4バック→3バック①

現実でも2010年代によく使われていた戦術です。

この戦術のポイントとしては、DMにハーフバックを採用すること、DF(C)2名の個別指示に「幅広く使え」を入れることです。

攻撃時の選手の動きを説明すると、以下のようになります。

  • DF(R)・DF(L)が攻め上がる

  • DF(R)・DF(L)が攻め上がったスペースを使ってDF(C)2名がサイドに広がる

  • DF(C)がサイドに広がってできたスペースにDMが下がる

この動きによって、攻撃時には3-4-3のような選手配置になります。

この戦術のメリットは、最終ラインから中盤・前線へのパスコースが多くなり、縦パスを通しやすくなることです。

デメリットとしては、DF(R)・DF(L)が高めの位置をとるため、カウンターを受けた際の守備力が弱くなってしまうことです。

4.2. 4バック→3バック②(偽サイドバック)

現実で「偽サイドバック」と呼ばれる、サイドバックを動かして選手配置を変える戦術です。

キーとなるのはDF(R)とDF(L)に設定したIWBです。
サポートタスクは攻撃タスクでもOKです。
また、守備タスクの方はIFBでも構いません。

攻撃時の選手の動きを説明すると、以下のようになります。

  • DF(L)がDMの位置に上がる

  • DF(R)が中央に寄って、DF(C)と合わせて3バックを形成する

この動きによって、攻撃時には3-2-2-3(または3-2-4-1)のような選手配置になります。

この戦術のメリットは後ろの3-2のブロックの5人でピッチ中央でのパス回しが行えるため、ビルドアップがスムーズになることです。
また、ピッチ中央の人数が増えるため、カウンターを受けた場合でも守備力がある程度保証されることも挙げられます。

デメリットとしては、DF(R)とDF(L)がサイドを攻め上がらないため、特にサイド攻撃の威力が下がることがあります。
また、サポートタスクのIWBは元のポジションを大きく離れるため、カウンターを受けた際にそのスペースを使われると危険なこともあります。

4.3. 4バック→3バック③(偽センターバック)

現実で「偽センターバック」と呼ばれる、センターバックを動かして選手配置を変える戦術です。

キーとなるのは、DF(C)の片方にリベロを、DF(R)・DF(L)にIFBを設定することです。
リベロはDF(CR)・DF(CL)のどちらでも構いません。

攻撃時の選手の動きを説明すると、以下のようになります。

  • リベロがDMの位置に上がる

  • DF(R)・DF(L)が中央に寄って、上がらなかったDF(C)と合わせて3バックを形成する

この動きによって、攻撃時には3-2-2-3(または3-2-4-1)のような選手配置になります。
最終的な選手配置は偽サイドバックと同じようになります。

メリットも偽サイドバックと同じような感じになりますが、それに加えて、IFBにはセンターバック的な資質が必要なため、4バックには実質センターバックが4人並んでいる状態になるため守備力の向上が期待できることがあります。

デメリットも偽サイドバックと同じく、サイド攻撃の威力が下がることがあります。
また、リベロとIFBは適性のある選手が少なく、戦術を実現することが難しいことがあります。

4.3. 4バック→3バック&1トップ→2トップ

最後は、前線と最終ラインを同時に配置変更するパターンです。

キーとなるのは、フォルスナイン・インサイドフォワード・シャドウストライカー・IFB・コンプリートウィングバックです。

攻撃時の選手の動きを説明すると、以下のようになります。

  • STが中盤まで下がり、代わりにAM(C)とAM(L)が最前線に上がる

  • DF(L)が攻め上がり、最終ラインの残り3名で3バックを形成

この動きによって、攻撃時には3-2-3-2のような選手配置になります。

この戦術のメリットは後ろの3-2のブロックの5人でピッチ中央でのパス回しが行えるため、ビルドアップがスムーズになることです。
また、前線の配置変更によって相手ディフェンスのマークをずらすことによってスペースができやすくなります。

デメリットとしては、攻め上がったDF(L)の背後のスペースを突かれると危険なことがあります。
また、常に最前線に張るタイプの選手がいないため、ロングボールやハイクロスが使いにくい点もあります。

可変システムの説明と実践例を挙げさせていただきました。
この知識が皆様の監督業の助けになれば幸いです。

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