shizuno

学生時代を含め、京都在住20年以上の主婦。 夫と娘との3人暮らしを楽しんでいる。街と食…

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学生時代を含め、京都在住20年以上の主婦。 夫と娘との3人暮らしを楽しんでいる。街と食べ物と古典文学への興味は尽きず、本屋で観光客向けの京都本をチェックするのが趣味。  日々の何気ない事や思い付きを文章にしています。源氏物語「桐壺」の超訳にも挑戦中。

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  • エッセイ集

    これまで投稿したエッセイをまとめました。

  • 桐壺をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壺」~

    「受験対策で」「あさきゆめみしで流れはなんとか」って感じで、源氏物語を読みはしたけどなんとな~く、分かるけど分からないという方へ。源氏物語の冒頭「桐壺」を解説しつつの超訳で、この長い物語の骨組みが理解できる…かも?!

最近の記事

田原坂がかっこいい件

たまたま、先日テレビで民謡「田原坂」を視聴する機会がありました。民謡には基本的に興味はないので、ほんとうにたまたま。 田原坂は「たばるざか」と読みます。九州では原の字を「はる、ばる」と読むことが多く、田原坂もその一つで熊本の地名です。民謡の「田原坂」は、西南戦争の激戦地だったこの場所に因んだ曲なのです。 で、画面に「田原坂」の歌詞が出たのを目にして、私はそのかっこよさにひれ伏しました。そして、この感動をどうにか伝えたい!と思ってこの記事を書いています。まあ、昔からある作品

    • エフェクチュエーション往復書簡 しづのからヤンさんへ①

      前回からの続き ヤンさんによる往復書簡前書き 「エフェクチュエーション リレーエッセイ」  ヤンさん こんにちは。私の住む京都は先日、祇園祭の山鉾巡行が終わったところです。  京都では、これが終わると夏が来ると言われているのですが、先人の知恵というのは凄いもので、本当に今年も巡行が終わった途端、最高気温が軒並み35度を超える日が続いています。 京都は素敵な街ですが、ここから9月の後半まではお勧めしません。この暑さの中では、雅だの風情だのはただの精神論でしかなく、ひたすら

      • 私は猫になりたい

         私は生まれ変わったら猫になりたい。  以前、猫を飼っていたことがある。猫は自由だ。やりたくないことはしない。私が仕事でくたくたになって帰ってきても、知らん顔で寝そべって顔など舐めている。私は今日あんなにも大変な仕事をこなしてきたというのに、猫は日がな一日、好きなことだけしていたんだろう。いいなあ。 「いいなあ~お前」 私はそう言いながら頭をなでる。心底羨ましい。その恨みがましさにも似た思いが、猫をなでる手に出たらしい。猫はうっとおしそうに、途中で私の手を払いのけた。ちょっと

        • 布団は晒され続ける

          会社の向かいには、ワンルームマンションがある。その一室の住人が、この春から新しくなったらしい。というのは、やたらとベランダに洗濯物が干されるようになったのである。色は無地の白かグレーばかりで、多分男性だろうと思われた。 「しかしな、なぜ今日、布団干すかな?」 ある曇天の午後、同僚が仕事をしながらふと言った。朝は薄かった雲はどんどん厚くなっていき、その時にはもう、今にも降りだしそうな天気になっていた。確か天気予報は夕方から雨。そんな日に、向かいのベランダには敷布団が干してあった

        田原坂がかっこいい件

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        • 桐壺をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壺」~
          0本

        記事

          『桐壺クライマックス!!』発売中です。

          こちらに長らく連載(?)していた「桐壷をめぐる人々~超訳源氏物語『桐壷』~」をまとめて、『桐壺クライマックス!!』として発売しています。  『源氏物語』に興味はあるけど難しそう、と思っている方に、ぜひともお勧めしたいです。 以下、前書きより抜粋 こんにちは。この本は『源氏物語』の最初の章「桐壷」だけを、解説と創作を交えながら分かりやすく超訳したものです。 私が初めて『源氏物語』に触れたのは中学生の頃でした。教科書に少し出てきて、あまりの意味の分からなさに驚いたものです。

          『桐壺クライマックス!!』発売中です。

          6人前の豆ごはん

          高校生の時、家庭科の調理実習で豆ごはんを作る係になった。6人班で、友達と2人で担当した。  作り方は簡単である。お米を研ぎ、計量した水を入れて浸水させ、そこに豆を入れて炊く。味付けは塩と酒、こんぶ。  お米の準備を終え、あとは調味という段になったところで、隣の班のアキちゃんが来た。 「ねえ、塩の量って、あれを6倍すればいいんだよね?」 そう言って黒板を指さした。黒板にはその日作るメニューの材料が板書してある。 「6倍?」 「だってあれ、1人分の材料でしょ?」 見ると、左上の書

          6人前の豆ごはん

          ししとうの楽しみ方

          ししとうは、夫の大好物である。 ただ焼いて、麺つゆにつけて冷やしただけのものだが、夫はすごく楽しそうに食べる。 美味しそうに、ではなくて、楽しそうに。なぜか。 それはその一皿の中に、「当たり」が潜んでいるからである。 ししとうの「当たり」とはつまり、やたらと辛い一本のことである。 以前は私もししとうを良く食べていた。しかし、私は辛い物が苦手で、しかも当たる確率が非常に高かった。 まだ娘が離乳食の頃、帰りが遅い夫を待たずに二人で食事をしていた時、大当たりのししとうを引き当

          ししとうの楽しみ方

          『京都、土下座で六時』発売中です

          こちらでエッセイ集としてまとめていた記事の中から、京都に関するものだけを集めて、志津乃名義で『京都、土下座で六時』としてアマゾンから出版しました。 キンドル本もペーパーバックもありますので、ぜひぜひ読んでみてください。次の京都旅へのガイド本として、前回の旅のおさらいとして、はたまた楽しい読み物として、きっと楽しんでもらえると思います。アンリミ対象です。 https://www.amazon.co.jp/dp/B09RW3XH4T/

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          私たちに花束を

          私が18歳になった時、祖母が一抱えほどもある大きさの、赤いバラの花束をくれた。まだ成人してないのにな、という私の思いを知ってか知らずか、「18歳なのがいいの」と言って、やけに大きなケーキと共に盛大にお祝いしてくれた。  実際、私は次の年から進学のために一人暮らしを始めたから、それが直接祖母に祝ってもらった最後の誕生日となった。今思えば、祖母はそのあたりのことも考えていたのかもしれない。 今日、娘が18歳になった。時代は変わるというが、今はなんと法律の方が変わって、成人のゴー

          私たちに花束を

          50歳のシンデレラエクスプレス

          新幹線の中央改札口で待ってるよ 博多行きののぞみが、最後の停車駅を出て速度を上げ始めたころ、そんなラインが私のスマホに届いた。窓の向こうには小倉の街並みと、西鉄バス。帰ってきた。そしてもうすぐ彼女に会える。 久しぶりの帰省である。コロナ禍初だ。その間、両親がともに癌の摘出手術をした。毎度駆け付けたい気持ちは山々だったが、このご時世、もちろん親が入院している病院に見舞いに行くことはできなかったし、退院した後も、新幹線に乗り、感染者の多い地域を通って病み上がりの高齢者に会いに

          50歳のシンデレラエクスプレス

          効果と手抜きの果てのコスパ

          故あって、エステに行った。 サロンに着くと、まずはカウンセリングを受ける。シミ、しわ、乾燥、肌で気になるところはないか、などなど。 そして聞かれる。基礎化粧品は何をお使いですか?と。 う、と詰まる私。なぜなら答えは 無印良品の化粧水とニベア。以上。 だからである。エステなんていう、美容意識レベル最高ランクの場所に来ていながらこのアイテムの少なさといったらどうだ。何も手入れしてない感満載である。庭で言ったら草ボーボーの荒れ放題といった感じである。 化粧水はいいとして

          効果と手抜きの果てのコスパ

          オシャレ坊主

          新しい人が入社してきた。31歳男性、坊主頭。 彼と挨拶したとき私は気づかなかったが、そういうことに敏感な同僚は 「あの人、マスクで全部は分からんけど、相当男前やで」 と言った。実際、昼休みに一緒に食事をした男性社員が 「マスクとったらびっくりするくらい男前やったで!歌舞伎役者かと思た!」 とわざわざ言いに来たほどだ。ついでに、彼が坊主頭なのは血筋で頭髪がヤバくなることが分かっているので、早めに、学生のころからあの頭にしているらしい、という情報も付け加えた。 「オシャレ坊主や

          オシャレ坊主

          他人の努力、嗤うべからず。

          「いうても美魔女は、努力してはる」 これは先日、気持ちのいい庭を見ながらお茶を飲んでいるときに、友人が発した一言である。「いうても」が効いている。「なんだかんだ言って」くらいの意だ。 私と友人のそばには、美魔女がおられる。複数おられる。たまに私たちの前に降臨なさると、私はその魅力にひれ伏し、爪の先ほどは自分もきれいになったような気になって帰ってくる。 他にも個人的に、人生の先輩として見習いたい方は何人かおられて、有り難いことにロールモデルには困らないわけではあるが、この

          他人の努力、嗤うべからず。

          旅のスタイルを変えてみたら見えてきたこと

          娘が修学旅行に行っている間、私と夫も修学旅行と称して淡路島に行ってきました。 淡路島は関西から気軽に行けるところですが、行ったのは初めてでした。 初めてだったのは目的地だけじゃなく、旅のスタイル、そもそも旅に出るタイミングなどいろいろとあり、私としては旅そのものの楽しさと合わせて、学びと発見がたくさんあったので記録したいと思います。 ※旅に出たい 娘の修学旅行の旅程を見ていたら楽しそうで、いいなあ、私も行きたいなあ、と思いました。「行けばいいよ!私も行ってたよ!」という

          旅のスタイルを変えてみたら見えてきたこと

          M君のこと

          スーパーに行ったら、山盛りの豆アジが1パック100円だった。 これは南蛮漬けでしょ!! と思うのであるが、その調理過程を考えるとちょっとげんなりする。もう夕方なのに、これをさばくところから始めるのかと。 値段と味と、手間を天秤にかけて、結局食い気が勝った。よし買おう。今夜はアジの南蛮漬けだ。 それから間もなく、私は台所でこの決断を後悔していた。思ったより、アジが沢山入っていた。やってもやっても下処理が終わらない。シンクがアジだらけだ。 何気なく、居間にいる小学生の娘を呼ん

          M君のこと

          サボる私、サボらない菌

          朝、けだるかった。どんよりした梅雨入り前の空、湿気をはらんだ空気、無風。  今日はゴミの日だ。なんとかいつも通り起きて一通りの家事をこなし、ゴミをまとめたところでなんだか力尽き、台所の隅の壁にもたれてそう欲しくもないお茶を飲みながら、ぼんやり室内を眺めていた。ゴミ収集までにはまだ時間がある。 このまま、寝てしまおうか そう思った。もうだるい。なんかだるい。しかしこのまま寝てしまったらゴミが出せない。この時期の生ごみ、次回まで持ち越したりしたら、なかなか大変なことになるの

          サボる私、サボらない菌