布団は晒され続ける
会社の向かいには、ワンルームマンションがある。その一室の住人が、この春から新しくなったらしい。というのは、やたらとベランダに洗濯物が干されるようになったのである。色は無地の白かグレーばかりで、多分男性だろうと思われた。
「しかしな、なぜ今日、布団干すかな?」
ある曇天の午後、同僚が仕事をしながらふと言った。朝は薄かった雲はどんどん厚くなっていき、その時にはもう、今にも降りだしそうな天気になっていた。確か天気予報は夕方から雨。そんな日に、向かいのベランダには敷布団が干してあった