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ホームズが語るワトスン ワトスンが語るホームズ

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ホームズとワトスンのセリフからその人柄をさぐってみよう! というマガジンです。原作から“これはっっ!!”というセリフを私たちの趣味でピックアップして行きます。
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「お互いの魅力を語ってください」

ホームズの物語の魅力は?  と聞かれれば、湯水のごとくあふれ出るところでしょうか。 ●物語全体に流れる異国の古き良き雰囲気 ●ストーリーのシンプルな面白さ、セリフの力 ●ホームズの探偵としてのスタイル ●ホームズやワトスンの人としての魅力 ●その二人の絶妙な関係……などなど  一見、単純な謎解きの物語としても楽しめて、その実読めば読むほどに奥の深さやアヤしさがにじんできてこちらの印象をガラリと変えてくれる。  そのあたりの変幻自在さ加減が、長~く付き合ってもアキない大

ワトスン、君にはあどけないほど若々しさがあるものだから、

その君をさかなにして、僕の持ついささかの力をはたらかせて楽しんでみたくもなる。〈バスカヴィル家の犬/3. 問題点〉より 阿部知二訳・創元推理文庫 __________________ ある夜、221bの居間に戻ったワトスンに、その日1日どこに行っていたかを見事に推理してみせるホームズ。   ズバリ当てられて、あっけにとられたワトスンに笑いながらホームズが言うセリフです。 原文は… There is a delightful freshness about you,Wat

つねに新手の機転を見せつけては、私をまごつかせる男の顔を

私はあきれて眺めた。 〈ライゲートの大地主〉より  大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズの回想』ハヤカワミステリ文庫 __________________ 捜査のため味方まで欺くホームズの手の内を、事件解決後に知らされ驚くワトスン。 原文は… ~looking in amazement at this man who was for ever confounding me with some new phase of his astuteness.  _______

きみは自分というものを正しく見ていないんだ。

顔というものは、内的感情を表現する道具として人間に与えられているのだ。その点、きみの顔は、実に忠実な僕〈しもべ〉だよ 〈ボール箱〉より  大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』ハヤカワミステリ文庫 __________________  事件もなくお互い思い思いの事をする221bの居間で、いきなりホームズがワトスンの心で思っていた事を言い当て始める。(趣味?)  特別変わったこともしないのに心を読まれたのが納得できないワトスンに、ホームズが言ったセリフ。 原

ホームズはいったん何かを決意すると、

アメリカ・インディアンのようにまるで無表情になるので、現在の状態に満足しているのかどうか、外見からでは判断がつかなかった。 〈海軍条約文書〉より   大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズの回想』ハヤカワミステリ文庫  事件捜査のさ中、今のところ新しい手がかりはないと話すホームズに、 様子をうかがうかのワトスンの独白。 原文は… He had, when he so willed it, the utter immobility of countenance of a R

それは大成功だ。ワトスン、お手柄だよ。

この種の使いをやらせたら、君は天下一品だ。 〈瀕死の探偵〉より 大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』ハヤカワミステリ文庫 __________________  事件を解決するための重要な使いを、そうとは知らされず任されたワトスン。期待した通りにそれを成し遂げた彼に、ホームズがかけた賛辞です。 原文は… Admirable,Watson! Admirable! You are the best of messengers. _______________

一瞬、激烈で情熱的な彼(ホームズ)の本性がむき出しになったが、

それはほんの一瞬にすぎなかった。 〈背中の曲がった男〉より 大久保康雄訳・『シャーロック・ホームズの回想』ハヤカワミステリ文庫 __________________  持ち込まれた事件に手ががりが少なく、まだ完全な推理が組み立てられない頃、『きっとすぐに手がかりをつかんでみせる !』と意気込むホームズを見てのワトスンの独白。 原文は… For an instant the veil had lifted upon his keen, intense nature, but

いや、ワトスン、きみの目にもすっかり見えているんだ。

だがきみは目でみたものから推測しない。臆病すぎて、推測をくだせないんだ 〈青い紅玉〉より 阿部知二訳・『シャーロック・ホームズの冒険』創元推理文庫  落とし物の帽子を差し出し、ワトスンに持ち主の人となりを推理してみてくれないかと提案するホームズ。  即座に、「何もわからない」と答えるワトスンに、切り返したホームズのセリフ。 原文は… Watson,you can see everything, you fail, however, to reason from what y

私のパンフレットのすみからすみまで、自分の言行だけで埋められるべきだというかのような、

彼(ホームズ)の自負心(エゴティズム)というのもしゃくの種だった。 〈四人の署名/1.推理の科学〉より 阿部知二訳・創元推理文庫  事件にありつけず苛立つホームズに、発行したての「緋色の研究」をことごとく批判されたワトスン。  ホームズを喜ばせる目的で書いた著作の扱いに憤慨したワトスンの独白。 原文は… I confess, too, that I was irritated by the egotism which seemed to demand that every