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母の信仰心と涙

毎朝の読経

実家で過ごす母の日課は朝起きて歯磨き洗顔、着替えのあと
最優先は仏壇での読経

我流ではあるが、毎日欠かさず新しいごはんと、お水をお供えし、20分位熱心に拝んでいた

仏壇の行方

諸事情あり11月末に引越す事になったとき、『物』への執着を見せ廃棄の邪魔をしてはキレて暴れて攻撃的だった母

認知症なので仕方ないと思っていたけれど、母の1番の心配は執着を見せた『物』でも、長年住まいした『家』を離れる事でもなく「お仏壇は持っていけるの?」という事だった

私は嫁に行かなかった為、実家に住んで母を世話していた。その延長で当たり前のように実家に仏壇があって、お位牌は沢山。父方の御先祖様~父、そして昨年亡くなった兄の位牌も入れる予定(まだ納骨前で白木の位牌のまま)

末っ子だし、独身だし将来的に私がずっと見ていく訳にもいかないし、実家を手放す機会に長兄にとも思ったけれど、兄は拒否、父の墓のあるお寺も近い、そして母がいるところって事で私がお仏壇も、一緒に引越した。

一戸建てからアパート暮らしへの引越し

荷物の片付け(休みの日に少しずつしか出来ないから未だ段ボールが全部は片付かない)

認知症の母の世話
(引越してから認知症が進み、デイサービスやショートステイも急遽契約)

正社員の仕事

私の毎日は疲労の積み重ねで唯一手抜き可能な家事にシワ寄せが…

長い説明になったが、ご飯を炊いてお供えする事がなかなか出来ず、お菓子やお水をお供えするだけになっていた

認知症で信仰を忘れる

引越し後、きちんと出来ていない理由は、もうひとつ…母が仏壇の存在に気を配らなくなった事

母の部屋の一角に置いてあるにも関わらず手も合わせない

自分の着替え等もままならない状態だからやむを得ない

認知症は信仰心も忘れるのか…
あんなに仏壇に思い入れがあったのに…悲しいなぁ

毎朝の読経がなくなり約2ヶ月半
悲しい気持ち?なんだか悶々としてた

母の涙

今週末やっと(日)(月)のお休み
疲れが溜まっているが気持ちが前向き
(日)の昼食や夕食の献立を(土)から考える余裕があり、引越し後初めてご飯を炊いた

今朝、炊きたてご飯を仏壇と兄の仏前にお供えした

その様子を見ていた母が突然動きだし
蝋燭と線香を探す
アパートだからと控えていたが、要望にあわせて準備をした

以前のように、仏壇の前でお経を唱えている、そして途中から泣き出した

お経を唱えている間、ずっと泣いていた

どうしたん?

聞いてみたけど自分でもわからないと…

仏様や御先祖様が久々で喜んでくれはったんやわ

ほんで、共鳴して涙が出たんやわ

私の言葉に母が大きく頷きながら更に泣いた

信仰心は認知症でも無くなっていなかった、思い出せる切っ掛けがなかったのかな。ごめんなさい。

隣で泣く母と、仏壇の御先祖様にお詫びした



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