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この家どうするの?(29)葬儀屋さん今昔・5


 人生の最期って……病院でむかえるとは、かぎらないものです。
父は自宅死、わたしは第一発見者。
【病院以外で人が死ぬとこうなる例】
回想文5回目です。つらいかたは、お読みにならないでください。
(1252文字)


第一のミッション「葬儀社を決める」

 ◆前回までのおはなしです◆


ねむい……眠い。父の家の固定電話から、大手葬儀社へ。見積もり金額までたどりつかない。
おもい……重い。受話器が重い。自分のスマホでかければよかったのだろうか。

とにかく葬儀社を決めること。監察医の解剖がすんだら、父を迎えに。葬儀社さんに依頼しないといけない……。

うっかりしていた。オットの母もこの葬儀社さんにお願いしたのだ。病院から自宅まで、タクシー代は17万だった。


監察医事務所までの出張、入棺・出棺の別途金額は……。これもタクシー代では……。
こころのなかで疲労と疑惑がおしよせる。

監察医事務所はドコですか?


ビョヨ~~~ン……
受話器の、まきまきコードがのびて、わたしの意識も受話器といっしょに落ちた。
……ゴンッ!


眠気と不安と

そんな、まさか?

チェーン店みたいに何軒もあるのか、大阪?!

えっと、受話器を拾わないと。
監察医事務所は、○○区△△町、
言わないと、答えないと……


……ぼく、ねむいんだ。
パトラッシュ……。

え? いッ……
「……ありのまま今起こったことを話すぜ!
な…何を言っているのか
わからねーと思うが (中略)……」


ポルナレフの名言まで飛び出しそうになるのをこらえる。
もうだめだ!どうしよう。

もしもし、
もしもし大丈夫ですか?

大手葬儀社さんのお兄さんの声だ!
あわてて受話器を拾う。自分の意識もひろう。コードが絡まっているが、もういい。
……とりあえず断ることにする。


すみません。親戚と話しあいをしますので、いったん白紙とさせてください!
お願いするとしたら、また改めてお電話します……ので。
ありがとう……ござ……い……

「お、お客さま。
固定電話ではナンですので、携帯電話の番号を教えてください」


さすが大手葬儀社さん。
終わりのないのが終わり。

わたしは、携帯の番号は教えられませんと、なんども何度も謝って……

……受話器を置いた。



落ちついて次へ

なんか、あせって葬儀社を決めてしまおうとした。
コーヒーでも飲んで、葬儀社を検索してから。まずは、落ちつこう。

刑事さんは「大手葬儀社さんにするとか?」と、推していたのは、大手は、通話を録音しているからだろう。
何かあったら、わたしのカルピス劇場が警察で再生されるのだろう……。


でも大手葬儀社さんが、監察医事務所の場所を知らんとは、これいかに。
眠気は強くとも、どうも……そこが引っかかったのだ……。


もう一軒、すこしちいさい葬儀社に見積もりを、あたってみよう。


ダメだったら……
曾祖母・祖母が、お世話になった、わがまちの「A葬祭」さんにしよう。


コーヒーを飲み終えてから。


 (不謹慎ながら続きます)

毎週金曜日は
「親の持ち家」の日

いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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