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髙島屋史料館・松坂屋の思い出

大阪・髙島屋史料館たかしまやしりょうかん髙島屋東別館たかしまやひがしべっかん。懐かしいと思うのは年齢60代以上のかた…でしょうか。


👘百貨店の先祖は「呉服店」


わたしたちは、まいにち洋服を着ています。
現代で和服を着ることは、七五三・成人式・卒業式・結婚式ぐらいです。
和服を着るひとは仕事柄。

お正月の「晴れ着」というコトバも聞かなくなりましたね。
ハレの着物。おしゃれ着。和装は格式ある正装というイメージです。
そんな特別な着物を買いに行く。
女性だけの、楽しみと贅沢。
呉服を買いに百貨店へ。

髙島屋史料館の展示より


ほんの百年ほど前まで、男性も女性も、和服・キモノを着ていました。

便利な家電もなく、膨大な家事労働をこなしていた奥さまたち。
結婚を控え、新しい着物をそろえたいお嬢さま。
当時のキャリア・ウーマン、職業婦人。

「今年の流行の訪問着の色柄は?」
「大島(つむぎ)は入ってる?」
「道行き(コート)と帯も見たい」

2021年の展示より



SNSのない時代。もちろんテレビもなく、新聞の広告やクチコミがたより。
実際のビジュアル・流行を見るには、百貨店へ出かけるのがイチバン!
百貨店にオシャレして、おでかけ。
子どもたちの夢の国、大食堂や屋上遊園地。

2022年の展示より


女性の夢の国は、呉服売場。
百貨店の先祖は「呉服店」。



👘 松坂屋大阪店・歴史と建物

現・髙島屋史料館
もと髙島屋東別館

大阪市浪速区日本橋おおさかしなにわくにっぽんばし・オタクの街。
大阪の、東西に走っている堺筋さかいすじ。むかしの大阪のメイン・ストリート。
1923年(大正12) この地に建ったのが松坂屋百貨店。

象牙色。端整で、すっきりモダン。
むかしの百貨店のたたずまい。
いま見ても、とても立派で、撮影しようとしてもスマホに入りきらない大きさです。

堺筋と髙島屋史料館
2022年の展示より
「百貨店通り」



👘 移転・集客困難


大きな戦争を乗り越えてきた「松坂屋大阪店」。
当時はこのメイン・ストリートの堺筋さかいすじ市電しでんが走っていたそうです。
1969年(昭和44)市電の廃止。
他の鉄道の駅からも、すこし遠い「松坂屋大阪店」は、お客様の足が遠のくと予想し、移転します。

移転先は、大阪城の西北、大川おおかわぞいの谷町筋谷町筋
京阪電車けいはんでんしゃ天満橋駅てんまばしえきが地下駅になったので、地上部分に移転しました。

大川

わたしは、市電廃止と「松坂屋大阪店」移転のころ、生まれていたのですが記憶にありません。
「松坂屋大阪店」が身近になるのは、わたしが、就職してからになります。

👘 研修先は髙島屋大阪店

1980年代のはじめ。(昭和時代)
わたしは、大阪府下の百貨店に入店している販売会社に就職しました。

昭和の特別感・高級感がある百貨店。歴史を重ねるほど、お客さまの年齢層も高くなってきたころです。

和装から洋装に。生活の変化。百貨店の呉服売場は、かつての賑わいすら遠いむかしに。
百貨店の売り物のひとつ、大食堂や屋上遊園地。近所のショッピングセンターが子どもたちの夢を叶えるようになりました。


入社して、実店舗研修が二週間。
大阪高島屋へ。
大阪ナンバの髙島屋!バラの包みの髙島屋!重厚な建物に圧倒されました。ほんとうに倒れそうになりました。
庶民のわたし、スーパーのニチイ(現・イズミヤ)に行くのが最高の「おでかけ 」でしたから。

展示より立体ジオラマ


髙島屋。とくに1階のお客さま用エレベーターが豪華でした。
エレベーターで、お客さまをご案内している「エレベーターガール」。
フロアの従業員も素敵な制服でしたが、さらに上をゆくカッコよさ!
美しくて憧れました。

髙島屋史料館
 三階のエレベーター
 髙島屋史料館の語り部


そして、最初は別の百貨店に配属(派遣)されたのち、わたしは、松坂屋大阪店に移動になりました。



👘 松坂屋大阪店に移動



公式ネーム「松坂屋大阪店」。
会社内では、松坂屋大阪店は「天満橋 松坂屋てんまばしまつざかや」といっていました。

実際、大阪府下には、松坂屋の他にも百貨店がたくさん。
「大阪店」だけなら区別がつかず、先に地名を入れていました。

「天満橋松坂屋」・「くずは松坂屋」・「高槻松坂屋」など。

松坂屋大阪店は
現在
京阪シティモールに


大阪府枚方市おおさかふひらかたしにも百貨店があって、
近鉄百貨店 枚方店きんてつひゃっかてん ひらかたてんは「ひらきん」、三越百貨店 枚方店みつこしひゃっかてん ひらかたてんは「ひらみつ」…

社外の人には何かわからない、逆さにした呼び名のキラキラネーム。業界の「隠語」も、たくさんありました。百貨店の呼び名ネタだけで、もう閉店時間です。

わたしは、懐かしさ、ご縁を感じるこの「髙島屋史料館」に入らずにはいられません。

大正・昭和時代の百貨店。
展示を何回観ても、飽きることなく新しい発見があるのです。
じぶんの人生においても。

2021年
国の重要文化財に



百貨店での仕事の失敗や思い出は、思い出して、少しずつ書いていきます。
「思い出して」のくだり。
じぶんも歳をとったんだなと感じながら。


ご来館の際は、マスク着用と感染対策を、お願いいたします。

この長さ
現代いまでは造りだせぬ
夢の國


いつも こころに うるおいを。

きょうは水分少なめの おはなし。


最後までお読みくださり
ありがとうございます。

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