ヴァチカンのエクソシストを見てきた

とりあえずざっくり言っておくと
・面白い
・ホラーの定義が問われる
・キリスト教徒かどうかで印象わかりそう
という感じの映画だった。



個人的好みの話

そもそも、映画館でポスターを見た時から好きそうだなと思っていた。
なにせ私は好きな映画と言われたらまっさきに「天使と悪魔」を挙げる人間である。
しかし、ホラーが苦手なため、ホラーか……と避けていたのだが、昨今のTwitter(現在正しくはXだと知っているがインターネット老人故に本稿では頑なにTwitterと呼ぶこととする)でのムーブメントの余波で「ホラーであってホラーでない」ということを聞きつけ、さらにホラー耐性がない人向け!ということでどのレベルのホラーかをツイートしてくださった親切な方のおかげで見に行く決心がついた。

↑大変頼りになった先人たちのツイート 本当に有り難かった

学生時代にキリスト教の基礎、神学とアリストテレス哲学の関係、天使、悪魔、聖書だのなんだのについて勉強したはずが全てうっすらした知識になってしまった人間が、ヴァチカンのエクソシストを見たら色々思い出したのでそういう意味でも面白かった。
キリスト教系の学校だったわけでもなく、キリスト教徒でもないが中途半端にキリスト教の知識がある、ぐらいが一番面白かったのかもしれないと勝手にほくほくしている。全く我がことでないだけにジャンルとしては確かにホラーかもしれないが、ホラー……?といった感想になった。
ミッドサマーを見た時に感覚としては近いかもしれない。
たぶんこれキリスト教徒かどうかで見方変わる気がするな……という薄ぼんやりした感覚だけがあるが、「from:PodKatz  ホラー」でツイート検索するとプロデューサーが「ホラーですがかなりマイルドです。ユーモアがたくさん」的なリプをいくつも送っているので、誰が見てもそうなのかもしれない。こればっかりはわからない。プロデューサーはアメリカの人みたいですが日本語レベルが高く日本語でツイートしているのでとりあえず検索してみて欲しい。
グロくはある(ミッドサマーを1000ぐらいとすると5ぐらいグロい気がする)。びっくりポイントもある。ただグロシーンをドヤ!!!と見せつけてくるのがないわけではないが少なく、Twitterのムーブメントのおかげで微妙にネタバレを踏んでいたおかげで心の準備が出来たのも良かった。ありがとうTwitterのファンアートや感想をツイートしてくれた人たち。
そして心にトム・クルーズを抱えて見たので、ヤバそうなシーンが来ると「生身のトム・クルーズが崖から落ちた時の方が正気か!??!?!ってヒヤヒヤしなかった!??!?!」と自分を説得した。ありがとう正気を疑うアクションをこなすトムクルーズ。

天使と悪魔の話、自由意志の話、悪魔祓いとはという話、序盤はかなり丁寧に「どういう前提で展開していく話ですよ」という説明をしてくれるので非常に見やすい。キリスト教についてどれくらい知っているかの知識で会話の理解度が変わるだろうが、基本的に絶対押さえておきたいポイントはかなりわかりやすく、誰にでも伝わるように教えてくれるのがいい。

終盤になってくるとホラーっぽい見せ場が増えてきたり、なんか…なんか色々ああなってこうなるので逆にやや俯瞰で見てしまうところがあったが、ホラー苦手民にはそれも有難い。

いやー面白かったなあ
これは劇場で見てよかった。背後とかあちらこちらから音が聞こえるのは劇場ならではだなあと思った。

おいおいと思ったところ

散々Twitterで言われているのを見たが「異端審問は悪魔のせい」は「何故悪魔が司祭を呼んだのか」に繋がるので作劇上仕方ないのはあるものの、カトリックが背負うべき暗黒の歴史ではあるのであんまりそこを他責にするのはなあ~というのもわかる

細かい話

ヴァチカンのエクソシストを見た人が「悪魔の名前を知ることで弱体化または封印出来るという概念」がどこ由来かわからないと言っていて、そういうもんだと思っていただけに確かにと思った。その方は例に血界戦線を挙げていた。あれは吸血鬼だけどまあ似たようなもんであり、見ただけで名前がわかる少年が鍵になる話なので要点は同じである。
古今東西その手の話は尽きなくて、代表的なのが「ルンペルシュテルツヒェン」だと思う。こいつはディズニー製作のワンスアポンアタイムでも悪役ムーヴをかましていた。
ルンペルシュテルツヒェン現象というまさにルンペルシュテルツヒェンされたものがあるだけに。名づけの効果は絶大だと知っているのでそういうもんだと思っていた。改めて言われると、そう言えばそうだ。

キリスト教、というかカトリックの成り立ちの過程と悪魔は切り離せない存在で、その辺りに関してはまあ色々あるので気になる人は書籍を読んでもらって……と言いたいところだが私なりの理解と私の曖昧な記憶でざっくりした話を少しさせてもらう。
キリスト教を広める過程で民間信仰、土着の宗教をとりこんでいき、その過程で民間信仰や土着の宗教の神々が悪魔とされることもあった。キリスト教は数々の公会議や神学の深まりと共に膨れ上がった教義と概念を削ぎ落し確立していく。そのもろもろの中にルンペルシュテルツヒェン的話が入っており、吸収されたのではないかと思う。
ルンペルシュテルツヒェン的な話や悪魔と契約するが出し抜く話はまじで方々にあるので、ユング的発想で言えばなんかもう人間にとって悪魔はそういうもんなんだろう。
劇中でアモルト神父が「悪魔は冗談が嫌いだ」というのも、契約に縛られる悪魔っぽいなと思った。露悪的で真面目で杓子定規な感じというか
劇中の悪魔の発言が「すごい!聞いたことある!これぞ悪魔っていう感じの悪魔だ!」という内容だったので、学生時代の記憶が蘇った。
そもそも冗談言うと笑うけど、人間が笑ったり楽しい気持ちになるの嫌そうだし


これからまた思いついたら足します

とりあえずざっと思いついた感想を書いた。
Twitterのムーブメントなどは、映画のプロモーションについて色々思うところがあったので、別記事でそのうち他作品も含めて書いてみたい。
最近映画のプロモーションで明暗が分かれたな~と思ったのが
・ヴァチカンのエクソシスト
・ミッションインポッシブル
・君たちはどう生きるか
・バービー
で、Twitterの使い方が上手すぎる!!!!!と、Twitterの使い方が下手……!!!日本のツイ廃なめてる……!!!!案件と、そもそも公式Twitterで情報を出すなど軟弱……みたいな差が同時に起きてて面白いので時代性ある内容を残しておきたいな的な感じ。
そのためにまずは君生きを見てきます
時間を置いてからあれこれ感想が出てくるタイプなのでまた何か思い出したらここに追記します


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