free「ばぁちゃんの干柿は命を繋いでた」

 美味しい和菓子をいただき、一口食べて思い出したのは。庭の柿の木、縁側の陽だまり、ばぁちゃんの干柿。私を含め孫達があまり手を出さなくなってたから、寂しそうだったな。

 流石に駄菓子もポテトチップスもあったので、おやつに干柿は嬉しくなかったんだもん、ホントごめんばぁちゃん。甘いものがあまり得意じゃなかったから、お饅頭とか和菓子とかも食べなかった。干柿はただただ甘くて、喉が渇く食べ物だった。でも大人達にとっては、冬の間の貴重な保存食だった。特に甘いものは、寒さの厳しい北国を生きてくために必要なもの。ばぁちゃんの作るものは、命を繋いでたんだと改めて。

 干柿を包んだ和菓子は、びっくりするくらいに美味しくて、疲れた脳と身体を温めただけでなく、大事な人を思い出させてくれた。早速調べたら、目ん玉飛び出すかってくらいの値段だった。でも納得。干柿は作るの大変だもんねばぁちゃん。...…今なら、ばぁちゃんの干柿もいっぱい食べれるのになぁ。惜しいことした。味覚がやっと大人になった時には、もう食べられないんだな。そんなことばっかりだ。理不尽。...…だから甘えられる時にいっぱい甘えとくのを全力でおすすめ。


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