こおり
心に響く文章講座のアドバンスクラス1回目に参加してきました。仲谷史子先生と7名の生徒さんでのこぉい~時間。昨年のベーシック、全3回は先生とのマンツーマンだったので、皆で文章を味わう、感じたことを話すのがまた楽しかった時間。谷町6丁目ルーム、教室の写真からただう惹かれるこい~香り。そこに、自分もちょこりと座っている摩訶不思議を満喫。
写真は、初回のわたしのベレー帽に応えるカタチで、
先生までベレー帽を購入して被ってくださってた2日目のこと♡
先生おちゃめさん。
今回は、「書くこと」または「生きること」をテーマに書く宿題。
コラムを書くはずだったのだけど、年始に既に書いていたコラムを、前日の夜見直していて、自分の意見や考えが書き連ねてある文に、書きたいことはこれじゃない!の気持ちいっぱいになって、、、、エッセイにしてしまった。自分の意見を書くってなかなかに難しい。
エッセイの、考えや意見をあまり書かないからこそ、行間から何かが立ち上がってくるこの魔法よ。
書きながらいろいろ浮かび上がり、書き終わり読んでみると、また何かが浮かびあがる。書き終わってから、そこにある沢山のテーマに気が付いて。はっとさせられる。
行間、面白い。
アドバンスクラス、毎月のテーマに既にひっくり返りそうになって。
今後も書けるのか、続けられるか全く自信がないのだけれど、次回も楽しみに。毎月、夏休みの宿題提出前夜状態で、ぎりぎりしそうな予感。
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こおり
その背中を見た瞬間胸がつぶされそうになった。さみしそうで何かを後悔しているような小さなその背中をみてはいけない気がしながらも、私の身体はかたまって、動けなくなってしまっていた。
だだっ広い畳の部屋の祭壇の前に祖母が一人座っている。体調が思わしくなかった祖母は、祖父の通夜には参加することがかなわず、皆が帰った後におばさんが連れてきてくれたのだ。いつも優しくそばに寄り添ってくれた暖かくて大きな祖母が、その日はとても小さくて、私は近づくことができなかった。
それからほどなくして、祖母が入院をした。まだ小学3年生だった私はなかなか病院へ連れて行ってもらえなかった。気になりながらも、母に様子を聞いてはいけないような空気を感じていた。祖母は喉の癌で入院をしていた。そして手術をしたことを聞かされた。病院にお見舞いに行って、祖母を元気づけてあげたかった。祖母は私に会うときはいつも、嬉しそうで幸せそうで、私のことが大好きなことを私は知っていた。
はじめて祖母の病院に連れていってもらった。その建物には、暗くて重苦しい空気がいっぱいに広がっていた。そんな空気を一掃したくて、明るくしたくて、元気をまとって祖母に会おうと心に決めながら病室の中へと入った。がらんとした無機質な個室で、祖母はモニターに繋がれ、ベッドに横になっていた。お布団のうえからでも、祖母がなお一層やせ細ったことがわかる。祖母は喉に包帯を巻いていた。手術後、声帯が傷つき、声を出したり話すことができなくなってしまっていた。筆談をする力もなく、目と表情だけで会話をしていた。何でもないふりをするのがちぐはぐな気がして、世界が崩れていくようで、一生けんめいに踏ん張った。
私も声を失ってしまった。何かを祖母にしてあげたくて手をとった。熱っぽく火照ったその手は骨と皮だけになってしまっていた。手をさすりながら、なんとかして、今ここで祖母に楽しんでほしくて。苦しみでなく楽しんでほしくて。氷をもってこようとふいに浮かんできた。氷室で、氷をとってきて、ひとつ祖母の手にあてた。つめたい感触に、祖母の目がやさしく微笑むのが見えた。溶けた氷の水でお布団が濡れないようにと思いながらも、今一緒に何かを楽しんでいることが、奇跡のようで嬉しくて。何度も、氷をあてたり、離したりしながら、無言で祖母と時を過ごした。
それが祖母との最後の時となった。祭壇の横で灯篭のヒカリが回っている。祖母と過ごした沢山の優しい時のことが浮かびながら、あの日のことも浮かんでいた。
静恵
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