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「BLUE SPRING」

 こんにちは。12月22日のブログを担当させていただきます。桐山です。本ブログでは
終始臭い言葉が飛び交います。鼻でもつまみながら読んでいただけると幸いです。

 引退をして数週間私の頭の中を毎日のように流れる歌があります。それはTHE虎舞竜のロードの一節にある「何でもないようなことが幸せだったと思う。」というフレーズです。4年間大学サッカーを続けてきて振り返ってみると、私の青春はこの言葉に集約されている気がします。サッカーをできる環境やサッカーを一緒にやる仲間がいるのも当たり前ではないし、極端に言えば健常に動く身体があること自体とても恵まれていることだと思います。だがこのことは現役でがむしゃらにサッカーをやっている時には気づきにくいことだと思います。目の前の結果に一喜一憂し、目の前のボールを必死に追いかける青春がどれほど幸せか、これが2度と帰って来ないと思うと、寂しい気持ちはありますが、とても美しく4年分老けることが出来たのだと自分自身に言い聞かせる日々を過ごしています。

 少しだけ私のサッカーのことを書こうと思います。今までサッカーをやってきて一度だけ辞めたいと思ったことがあります。それは小学生の時です。私は小学生時代、県内のサッカー小僧が名前を聞いただけで身震いするほど強いチームにいました。私はAチームとBチームの狭間におり、とあるAチームの試合で朝から夕方まで試合があったのにも関わらず、1分も試合に出られないことがありました。下手くそな自分への苛立ちや悔しい気持ちはもちろんありましたが、それ以上に朝早くから弁当を作ってくれる母や会場まで車で送ってくれる父に合わせる顔がなく、とても申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その時にまた歌が流れました。大事MANブラザーズバンドの「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事」というフレーズです。日本ではそれが大事らしい。なぜか最後までやり遂げることへの美徳や、辞めることはどこか後ろめたいことであるという風潮が未だに蔓延っています。継続すること、辞めることは最終的に自分で判断して決断するものなので、どちらが良いとか悪いというつもりはありませんが、このブログでは「継続すること」これを推奨したいです。小学校時代の私に「よくぞ辞めなかった」と褒めてあげたいです。何か辞めたいと思うときには、一度自分の中でもがき続けることも一つの手であると、今やっと思えるようになってきました。

 時は流れ大学サッカーが始まりました。私の大学サッカー人生は順風満帆ではなく苦難の連続でした!!みたいな内容を書こうと思いましたが、思い返すと出来すぎなくらい満足いくものになりました。こんな下手っぴが東海リーグに出場できたのに思い残すことなどあるはずがないです。4年では県内リーグにも出場することができ、サッカー人生を締めくくるには素晴らしい集大成になったと思います。ただ一つ、結果やインパクトを残せたものが少なかった要因を挙げるならば、現状へ満足してしまったことにあります。一年の頃から先輩や同級生が東海リーグで活躍している姿を見て、いつか出たいという漠然とした目標だけで、そこに向かうプロセスを立てることが出来ませんでした。そして急遽回ってきた出番。4年間ずっと出たいと願っていただけに、出場できることに満足しまい、結果を残すことに貪欲になり切れていない自分がいました。東海リーグをいざ目の前にすると、とてつもなく大きいものに見え、4年目にして初めてチームを背負って立つことの本当の意味を身に染みて感じました。しかし緊張している私に仲間はたくさん声をかけてくれ、そして脳裏によぎったのは、ベンチ外で静岡から熱い応援を送ってくれる同級生でした。前日私のスタメンが決まると、自分事のように喜んでくれた仲間を思い出すと、自分はどれほど支えられているか実感し、整列時にはキャプテンから「監督に推薦したの俺だから」と言われ、最後に「隣に俺いるから自信もってプレーしよう」と若干の臭いセリフも、とてつもないパワーに変わり、パンプアップした背中がいつも以上に大きく見えました。試合でも最大限の力を出すことができました。私にとってはベンチ外メンバーと共に戦った東海リーグだと思っています。これらの経験を生かして、これからはサッカーの素晴らしさを伝える側の立場になれたらと思います。

 今年は追いコンが出来ないということで、後輩にメッセージを2つほど残したいと思います。
 1つ目は長期的な目標と短期的な目標を掲げてください。長期的な目標はなるべく大きいものを掲げてください。人間は目標を失うと途端に無気力になる生き物だと本で読んだことがあります。それを決めることによって自分自身の指針やベクトルが定まると思います。短期的な目標は簡単なことでいいです。サッカー以外のことでもいいでしょう。日々の成功体験や何かを達成・乗り越える感覚を大切にしてください。成功体験を積むことで人のモチベーションが上がるという論文を読んだことがあります。プレーがプラスに働く要因になるかもしれません。

 2つ目は自分の生きる道を探すことです。私であれば左足しかなかったので、それだけずっと磨きをかけていました。なんとなくもらう色紙には「左足」という言葉がたくさん書かれる気がしています。チームでこれだけは負けないという武器があるだけでチャンスが舞い込んでくるかもしれません。自分は掴んだチャンスを守り抜くことはできませんでしたが、是非後輩のみんなには自分の手で掴み取ってほしいと思います。引退してまず思うことはサッカーができる環境がどれほど幸せであったかということです。後輩のみんなへは幸せを噛みしめながら最高の「アオハル」を過ごしてもらいたいと思います。

 取り留めのない文章でしたが、ここまでお読みいただきありがとうござました。まずはサッカーをやるきっかけを与えてくれた家族や、今までご指導くださった監督、コーチ、先生、スタッフの方々ありがとうございました。そして静岡大学サッカー部に携わるすべての方に感謝申し上げます。最後に楽しい時も、苦しい時も時間を共にした22人の4年生みんながいたからここまでやってくることができました。本当にありがとうございました。

2021年度卒業生 桐山智也