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雪鬼

昨日に続き、とけて消えてしまう雪女の系譜について。

「雪鬼」という謡曲がある。
昔、在原業平が交野に鷹狩りに来て大雪にあったところに
ひとりの女が現れ、宿を貸す。
業平は女と契りをかわし、都へ連れて帰るが、
春が近づき暖かくなると、女は日影に消えてしまった。
女は”雪鬼”であった。

雪鬼は「鬼」といっても
何かおそろしいことをするわけではない。
長い間に降り積もった雪が人の姿となった雪の精霊である。
昔は「鬼」というのは「目に見えないもの」のことだった。
鬼も女も人に見られることが稀であるので
女を鬼にたとえて「雪鬼」と呼んだのである。

業平は歌舞の菩薩・陰陽の神とされ
さまざまな物語の中で、非情草木の精たちも
業平とまみえ仏果を得ようとしている。
この雪鬼もまた、そうした存在だったのだろう。

とても静かでやさしく、切ない”鬼”の物語である。


松浪流火曜会 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな-

小泉八雲「雪女」をベースに
雪女の恋を唄と三味線で綴ります。

2023年12月19日(火)
開場:14時  開演:14時半
会場:道頓堀ミュージアム並木座
入場料:2,000円
出演:松浪千静(唄・三絃)
お申込み:こちらのフォームからお申し込みください

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