お金を出せば買えるということは、当たり前のことではないということを忘れてはいけない
今の世の中、いろんな物があふれてあらゆる商品やサービスを買えるようになった。
お金を出せば家にいながら買い物も出来るし、お金を出せば自分の家の掃除もしてもらえるし、レストランに行ってお金を払えば美味しいご飯が食べられる。
私たちはこれを当たり前かのように思ってしまっているが、これは決して当たり前のことではない。
家にいながら買い物が出来るのは、そういうシステムを開発して運営している人がいるからで、そこで商品を売っている売り主がいるからで、その商品を家まで届けてくれる人がいるからだ。
お金を払えば家事をやってもらえるというのも、家事を自分の代わりにやってくれる人がいるからだ。
レストランで美味しいご飯が食べられるのも、ご飯を作ってくれる人がいて、そのご飯を提供してくれる人がいるからだ。
働いていると、「お客さん」からクレームを受けることはよくある。
「こっちはお金を払ってるんだから、こっちの方が立場が上なんだよ!」みたいな傲慢な人もいっぱいいる。
でも私はそんな人たちを見ると、ちょっと残念な気持ちになる。
なぜ彼らはもっと感謝の気持ちを持てないのだろうか?
家事代行の仕事をしているとき、お客さん(※超お金持ち)がこんなことをポロッと漏らしたことがある。
私は心の中で、「そりゃそうだろ…」と思ってしまった。
このお客さんの家は必要以上にデカくて、二人がかりで掃除をしても5時間もかかるほどだった。
別に大人数が住んでいるわけでもなく、ただただ広いのだ。イメージとしては、韓国ドラマに出てくる財閥の家って感じだろうか。食卓の机が大理石でやたら長い机があるあんな感じ。
掃除にお金をかけたくないのならもっと小さな家に住めばいいだけの話だ。
このお客さんは明らかに「お金を払っているこっちが上で雇われているあんたは下」っていう雰囲気を出す人だったんだけど、そもそもお金を払って家事代行が頼めるのは、そのお宅の要望に答えてくれるスタッフがいるからだ。
誰も家事をしてくれる人がいなかったら、どれだけ高いお金を払ったところで家事代行サービスは受けられないのだ。(ちなみにスタッフは事前に仕事内容を聞いた上で受けるか受けないかを自由に判断できます)
そしてこの前、カフェで働いているときにあるお客さんからこのようなクレームを受けた。
気持ちは分かる。
レストランに行って頼んだものがなかなか出てこなかったら、誰でも少なからずイライラはすると思う。
ただ、オーダーしたのにスタッフが忘れてしまってお待たせしてしまうというミスを除き、オーダーしたものが全然来ないというのは、大体が忙しすぎてスタッフの手が全く回っていないのだ。
多分、今飲食店はどこも人件費削減のためギリギリの人数で回しているところがほとんどだと思う。なので、土日や祝日などで多くのお客さんが出入りする日は、スタッフは手を休めることなく走り回っている。
お腹が空いているときにご飯が来るのが遅かったり、食後のコーヒーを飲みたいのにコーヒーがなかなか来なかったり、そんな状況であればクレームを言いたくなるのも分かる。分かるけど、ここで一つ思い出してほしい。
ということを。
少しでも感謝の気持ちを持っていれば、
一人でも多くの人が感謝の気持をもってくれれば、
自分も相手も幸せになれる。
例えばレストランで働いていると、お会計の後に「ありがとう。とても美味しかったです。」と言ってくれるお客さんがいる。スタッフはそう言われると嬉しい気持ちになり、良い気分で良いサービスを他のお客さんにも提供できるようになる。
「ありがとう」という感謝の気持ちはスタッフを幸せにし、幸せになったスタッフがまた別のお客さんに良いサービスを提供することで幸せを与えることができる。そうやって感謝の気持ちが恩送りのように続いていくのだ。
これが反対にお客さんからクレームを受けたとする。クレームを受けたスタッフは落ち込んだり嫌な気分になり、その気分のまま他のお客さんの対応をする。すると嫌な気分で接客されたお客さんは嫌な気分になり、負の連鎖がずっと続いていってしまう。
この世の中は自分が与えたものが返ってくるように出来ている、なんてことが言われているけど、まさにその通りだと私は思う。
何かを買ったりサービスを受けたときに「ありがとう」と感謝の気持ちを表せる人は「ありがとう」と感謝するような出来事が次々にやってくる。
逆にいつも不満や文句を言ってばかりいる人は、いつも不満や文句を言うような状況が次々にやってくる。
私はありがとうと思えるようなことがいっぱい起こってほしいから、常に感謝の気持ちは忘れないようにしようと思う。
そして仕事をする中で例えクレームを受けたとしても、その嫌な気分は次の誰かに繋げてしまわないよう、自分の中でしっかり消化するように心掛けている。
コーヒーが遅いとクレームを受けたときは、お客さんの気持ちにしっかり寄り添い、誠意を持って謝罪した。すると気難しそうな年配の男性は(分かったよ。もういいよ)と言うように静かにうなずいた。
「ありがとう」という感謝の気持ちが相手に伝わるように、「すみません」という誠意を込めた謝罪もきちんと相手に伝わるのだ。
理不尽なクレームを受けるとついこちらも嫌な顔をしてしまったり、正当な意見を相手にぶつけようとしてしまうけど、接客という仕事をしている以上、どんなお客さんにでも最後は気持ち良く帰ってもらえるように精一杯の努力はしたいなと思う。
そして自分がお客さんの立場のときは、自分のために働いてくれているスタッフが気持ち良く働けるように接したいなと思う。
お金を出せば何かが買えたりサービスを受けられるというのは、全然当たり前のことではないのだから。
どこかにいる誰かのために、少しでもお役に立てると嬉しいです☆