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Dorico用のフォントを作る #2

大譜表の括弧をどうにかしたかった。

Doricoでは大譜表につく括弧を中括弧と呼ぶ。
この中括弧、五線間を広げるとそれに伴い伸びていくわけだが、何故か垂直方向だけでなく水平方向にも伸びていく。
フォントを単純に拡大しているためと思われるが、そのせいで端が飛び出し、他の段と揃わないという事態が起きてしまう。

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画像では分かりやすいよう大げさに広げている。

一曲を通して五線間が変わらない楽譜なら問題はないが、そうでない楽譜の場合、段ごとでずれが生じることになる。
また、五線間隔によって中括弧のデザインも変わるため、見た目的にもスッキリしないものを感じてしまう。
それを解消するための格闘記録が今回の話。


まず、Bravuraには5つの中括弧が収録されている。

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五線間が14mm未満の時は1が使用され、14~27.9mmの時は2が、28~41.9mmでは3、42mm以上では4という具合になっている。

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大譜表ではなく、一本の五線に中括弧をつける場合は5が使われる。


はじめに、これらの中括弧を全て同じものに変えてみる。
そうすることで五線間による切り替えが起きても、同じデザインのものが使用され、またそれによって多少のずれは気にならなくなるのでは、と考えた。

結果……

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全然駄目である。
水平方向にも拡大されてしまうのだから当然と言えば当然か。
なぜ垂直方向にのみ拡大という事をしないのか、と思うが文句を言っても仕方ない。

次はこの括弧に目をつけた。

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Doricoでは大括弧と呼び、セクションをまとめる際に使われる。
この大括弧はどういうわけか、五線間を広げても横には拡大されず、これを中括弧に差し替えることで目的を果たせないかと考えた。


結果……


駄目だった。
そもそも差し替えができない。
Doricoの機能として大括弧を中括弧に変更はできるが、今回したいことは、フォントの [ のグリフに { を割り当てることなのだ。
Bravuraの中に [ の記号はあるが、どうやらDoricoの大括弧はこれを使わないらしい。
調べてみると、[ の上下はフォントで、その間の棒は図形のようだ。

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この大括弧が横に拡大されないのは、フォントを拡大して伸ばすのではなく、単に線を引いているからだった。
中括弧も図形にしてくれればよかったのにと思う。


ここまで来て、Doricoの仕様上、フォント作成によって解決することはできないことに気づく。
最終手段としてイラストレーターがあるが、あくまで最終手段。
その前に一つ、Doricoのテキスト調整機能を利用してみる。
デフォルトでつく中括弧を削除し、テキストとして中括弧を入れ五線間に合わせ拡大、それによって横に広がった分はテキストエディタのフォント幅で調整。
これでいけないか試してみる。


結果……

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勝った。
求めるものができた。
作業としてはかなり面倒だが、それでもようやく成し遂げることができた。

が、どうもこの方法は問題があるらしい。
Dorico上で表示している分には問題ないが、PDFで書き出すとこうなる。

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五線間隔が28mm以上になった場合、位置がずれ、調整したフォント幅も中途半端にリセットされてしまう。28mm未満の場合も微妙にずれているが、許容範囲と言えなくもない。
この方法を使うなら、これらを見越した上で調整しないといけないようだ。
3段譜でもない限り、大譜表をここまで広げることはそうないと思うので、ひとまずこの方法で続けてみよう。


完全なかたちではないが、どうにか目的を果たすことはできた。
正直イラレを使ったほうが早いし楽だけどまぁいいや。
フォント作りブラケット編終了である。

さて、次は何に手をつけようか。
まだまだ先は長い。

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