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【台湾で漫画編集する②】就業金卡の申請条件って?

今回は、文化・芸術分野の出版部門での就業金卡(就業ゴールドカード)の申請条件について説明していきます。

就業金卡で働き放題!?

まず、就業金卡とは何なのかを、もう少し詳しくお話しします。

<就業金卡(就業ゴールドカード)>
・特定の専門能力を持った外国人に向けたカード
・労働許可、居留ビザ、外国人居留証、再入国許可がひとつになっている
・台湾企業に所属しなくても、フリーランスで働くことができる
・期限は最大3年まで

「特定の専門能力を持った」がポイントで、「特定の8つの分野のいずれかで実績のある外国人に台湾で働いてほしい!」「そんで台湾へ還元して!」というのが政府の狙いです。

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8つの分野とは、建築、文化・芸術、経済、教育、金融、法律、ハイテク、スポーツ。(上のイラストから、就業金卡の詳細を解説する「台灣就業金卡辦公室」のサイトへ飛べます※中国語、英語)

一般的には、外国人が台湾で働くためには、移民局で滞在許可証、労働局で労働許可証など、それぞれの省庁で個別に申請しなければなりません。でもこのカードを申請すれば窓口がひとつになって、それぞれの審査を一括で行えるのです。

これ1枚でなんて便利! 
でもそうは問屋はおろさない。世の中、簡単にラクはさせてもらえないものです。

世界的メディアで働いてましたか?

ニュースサイトを見ていると、就業金卡を手に入れた「特定の専門能力を持った外国人」はかなり優秀。

10項の特許を持ってたり、YouTubeの創業者だったり、登録者数100万人越えのYouTuberだったり、香港スターだったり……えらくキラキラした実績の人ばかり。

蔡総統自ら授与しちゃってるし、どんだけハイレベルな人材を求めてるのさ!

そこで私が申請したい文化・芸術分野に含まれている出版事業の申請条件を見てみると――。

<文化・芸術分野の出版事業 申請条件>
国際的主要新聞社、出版社で10年以上の職務経験があり、特定の役職についていた
①新聞社関係⇒ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、TIME、LIFE、ナショナルジオグラフィック、産経新聞など
②出版社関係⇒ペンギン・ランダムハウス、ハーパーコリンズなど
③役職⇒社長、副社長、取締役、執行役員、発行責任者、編集長、副編集長など

す、すごい会社名だしてくるな、台湾。でもここで働いて、なおかつ役職を持っている人たちは本国でバリバリやってて、台湾に来ないんじゃ……。

方や私の経歴は、中堅出版社で3年半(副編集長)、中堅と大手の間くらいの出版社で11年半(主任)、弱小台湾メディアで1年弱(編集長)。合間に計3年ほどフリーランス。
おばちゃんなんで「10年以上の経験」はクリアしてますが、私が働いていた日本の出版社なんて台湾にとっては「はぁ? それ、どこっすか?」ってなもんでしょう、政府が出してる条件を見る限り。
かろうじて役職の経験はあるものの、「だから、どこの会社なのよ。知らんがな」状態。しかも一番長く働いていた会社では、申請条件の役職は満たしていません。

これは、あかんかもしれん。

台湾は外国人に来てほしい

でも一方で、台湾は就業金卡の発行枚数を増やそうとしている記事も目にしたのです。だいたい発行1000枚突破、2000枚突破ごとにセレモニーを開いてカードを授与していることからも、「台湾に来て働いてよ~」という政府の思惑が見えます。

2021年3月時点で、発行枚数は2243枚。みんながみんな、最高レベルのスペシャリストじゃないかもしれない。全員がトップクラスだったら、優秀な人材の海外流出に母国が困るだろう。

だったら、基準を満たしてなくても、優しい目で審査してくれる可能性があるかも!? 今は小さな私だけど、台湾人漫画家さんの作品を日本で発表するという布石は徐々に敷いているのだから。台湾にとって「漫画事業」は国策なんだし。

外国で暮らしてみると、「とにかくやってみる」という気持ちが強くなります。もじもじしたり、遠回しな言い方じゃ伝わらない。嘘はつかないけれど、ハッタリかますことは悪いことじゃない。

ダメで元々、通ればラッキー。ここで申請しなければ、7月に帰国することは決まってしまう。よっしゃ一発、かましたりますか!

というわけで、次回は具体的にどんな資料を用意したかを語っていきます。また引っ張ってすみません。

私が書いているのは、就業金卡のざっくりした内容と、きわめて個人的な申請体験になります。総体的に就業金卡について知りたい方は、『一條心のプライドコラム』がとてもわかりやすいので参考にしてください。
一條さんもシンガポールから、経済分野で就業金卡を取得されました。今は日本に一時帰国して、渡台の準備中とか。その体験記もいずれ発表されるかもしれません。


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