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地元学をはじめよう

地元学をはじめよう

吉本 哲郎 岩波ジュニア新書


内容


地元学って「学」がついているから,なんだか難しそう? そんなことはありません.福岡県八女市の久木野では子どもたちが取り組んでいますし,三重県大台町の浦谷では日本語が使えない外国人たちが取り組みましたから.
 久木野の子どもたちは,地域の中で自分の好きな場所や人を見つけたり,暮らしの中で使われている道具を調べたり,家庭菜園を調べて,大きな絵地図をつくり,大人たちの前で発表しました.発表を聞いたお年寄りは,「とてもうれしかったばい.昔のこつば思い出してなつかしかったばい」と喜びました.
 地域の人・自然・経済の力をつかみ,その活かし方を考え,地域を元気にする――これが地元学です.その方法は2章で説明していますが,実際におこなわれているのは,地域の事情に応じてバラエティに富んでいます.3章で最初に取り組んだ水俣市の例を,4章で各地の取り組みの一部を紹介します.
 宮崎県の川南町では,それまで交流のなかった農業者と漁業者の交流がはじまり,いっしょに町のあちこちを清掃したり,地元の食材を使った新しい鍋を工夫して,隣町と鍋合戦をするようになりました.三重県大紀町の野原では,女性たちが何をするかを話しあい,イチョウの巨樹のギンナンを拾い集めて売ったり,廃校になった学校の運動場で地区の運動会をしようと計画したり,地元の人自身「地元学をはじめて,目の前が明るくなった」そうです.
  この本のあちこちに出てくる「あるもの探し」「地域資源カード」「地域資源マップ」「水のゆくえ」「絵地図」などは地元学のキーワードです.どんなものかは,写真や絵を使って紹介していますから,キーワードをたどりながら読んでいただくと,地元学への理解が深まると思います.あなたの地域でも,地元学をやってみませんか.

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