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言葉と無音


目を閉じる。かち、かち、と一定のリズムで時間がイメージになっていくにつれて、暗闇の中で、物体が動きはじめる。

大きいと思っていた秒針の音は、無音のそこはかとない大きさを知るほどに小さくなっていくような気がした。

暗闇だと思っていたまぶた裏は、アリス症候群のように伸び縮みする新奇な空間に変わっていた。

この空間に言葉などないが、言葉によく似ている。
相手に反射しなければその言葉の大きさも、形も色もわからないものだ。

無音の大きさに触れたい。
無音の色を見たい。

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