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このスタートアップは、波に乗れそうなのか?

タイトル写真

2021年の夏、友達と佐渡に行ったときのもの。
大学院2年の当時はまだ、今の行先(=スタートアップ)が見えていないような状態だった。周りの友達が行先が決まっている中で自分だけ決まっておらず、大変憂鬱な想いを抱えながら旅行していた思い出がある。
しかし旅行は楽しかった。景色もきれいで、ご飯もおいしすぎる。
赤い灯台を真ん中に据えたのは、行先を照らす灯台のような光が欲しかったという気持ちを思い出したからだ。大きな海に航海には出たいけど、不安も行き方も、行きたい場所もわからなかった。やる気はあるはずなのに、自分は何がしたいのかわからなかった。
今はなんとか、航海には出られたようだ。行先につけるかも、波に乗れるかもわからないけど。

本題

スタートアップとは「時代を作る」ものではなく「波が来たときに沖にいる」もの
Xにて、そういう投稿を目にした。

タイトルだけだと真意がわからなかったが、読んで納得した。
本当にそのとおりだと思う。
資本力や大きなパワー(ここでは、チャネルや実績という意味)があれば世界は動くが、それが無いのだから動かない。
そもそも、そうした資本力やパワーが無いのだからスタートアップなのだ。
当たり前と言えば当たり前だが、確かに勘違いしやすい。というか勘違いしていた。


そして、自分たちについて振り返ってみて2つ思ったのが、「波に乗れますという説明や説得があまりできていなかったな」ということと、「そもそも、今の自分たちの取り組みは本当に波が来ると言えるのか?」ということだ。

前者については、そういう説明をあらゆる場所で盛り込むようにすれば良い。根拠を調べ、理解したうえで、口頭説明、ピッチ資料、Webサイト、そして仲間への説明に盛り込む。

しかし、後者はどうだろう?
正直、「わからないな」と思った。
農業と自動化(ロボット化)を取り巻く、波の根拠は以下のようなものがあると思う。

  • 供給必要量は大して変わらないか、増えている

  • 日本では、人口が減っている

  • 環境志向でEV化が加速している。これは止まらないだろう。

  • 脱農薬の動きが世界的に出ている。これも止まらないだろう。

  • 人手が少ないのに、やることは増えていく一方だから、効率化・自動化需要が増える・増え続けるのは必然である。

  • また、政府もそうしたことへの投資を進めている。そもそも、しなくなったら食料安全保障的にまずいのだから、やらない理由がない。

しかし、根拠が足りないのと、逆に転じる可能性も無いと言い切れるのかという問題が残る。そして、一番の経済的根拠である「政府からの投資」は必要量であり、さらに増えていく見込みは本当にあるのか?は少し謎だ。
だから、この主張は根拠を強める必要がある。


また、冒頭の言葉に対して、一つ問題が出てくる。
こう聞くと「一番良いタイミングで、合理的な場所(分野)を選ぶゲーム」みたいに思えてしまい、しごくつまらないように思えてしまうのである。
しかし、別にそれだけをすることが正解だとも言っていない。「それがスタートアップだ」と言っているのだ。
だから、「今は波が来ないような分野に取り組んでいるんだったら、それはそれで結構だが、スタートアップ的にはなれないよ」ということになる。
スタートアップ的でなくても良いなら結構。スタートアップというのも、手
段の一つでしかない。

しかし、スタートアップをしている人間だったら、誰しもきっと、そのいわゆる「スタートアップ的な」拡大を夢見ているはずだ。
好きな分野で波には乗りたいけど、そこに波が来ないと乗れない。
このジレンマを解消する方法は、いくつかあるんじゃないかと思う。
一つは、戦略的に回り道をすること。回り道と言っても、ロードマップの中の一部が少し脇道に逸れるが、結果的に戻ってくるみたいなイメージ。その脇道部分が波に該当するようにしかければ、途中でも波に乗れるし、その先に本当にしたい分野や目的が繋がっていくことになる。
また、そもそもそういう波を起こるようにしかける、というのも手だ。これは、行政への働きかけ(ロビー活動)と共に、複数の団体やコミュニティで成功事例をつくることで、そうした流れを作り出すことも可能だと思う。

現に、FieldWorksの戦略は、小さいコミュニティ(町、村:産官学全て含むことが条件)で成功事例をつくり、他のコミュニティにも横展開することで全国展開しよう、というものだ。
日本社会、特に日本農業の世界は特に、隣の成功事例があれば真似する、という空気感が強い。成功事例が無いとほとんど動かない。
逆に、これは、成功事例さえあれば信用が一気に増し、一気に真似する可能性もあるということだと思う。
だから、真似できる成功事例を、小さいコミュニティでつくっていく。
今は、長岡市等、新潟県内中心で取り組みを進めている。
来春あたりに、モデルケースになるような成功事例を発表・公開したいと考えている。

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