愛だな〜ハワイアンピッグの生き方
7年前、今のパートナーと住み始めた。ハワイの山奥の地。
周りは自然のみ。ハワイの草木に囲まれ、道路は野生の羊、牛、豚が横断するので注意して運転しなければならない。
彼は大の動物好き。敷地内には馬、ロバ、ポニー、羊、ヤギ、陸亀、犬、そして家には猫4匹。
ある日、彼が、痩せ細って死にそうなハワイアンピッグ(イノシシ)の赤ちゃんを拾ってきた。
体重500g。猫より小さい。
毛布に包んで温め、哺乳瓶でミルクをあげる。この時、私は豚に触ったのは初めて。
抱っこしていると私の脇の下にゴソゴソ鼻を突っ込んでくる。おっぱいを探しているのかな〜
不覚にも”可愛い”💓と感じたw。
バンビと名付けた。
家の中を少しづつ動くようになってきて、ママと思っているのか私が動くとついてくる。
短く「ぶっぶっぶっ」と言いながら歩く。これまた可愛い💓
まだ小さいのでウンチやおしっこも許せるし、
一般的にはペットにならないと思うけど、通じ合ってる感じがしていた。
数週間後には、外に連れ出せるくらいまで大きくなった。
パパイヤやピーチをムシャムシャ食べる。
猫と毎日一緒にいたので、自分を猫と勘違いしてしまって、猫の跡をついて走っていく。相変わらず、ぶっぶっぶっ…
猫ドアから家に帰ってくる。
豚は綺麗好きとは聞いていたけど、外に出られるようになってから一度も家の中でお粗相をしたことはない。これにはとてもびっくりした。
3ヶ月経った頃、猫ドアから入れなくなった。寂しそうに?困ったように?ぶっぶっぶっ…外にマットを敷いてあげたらそこで寝ている。ちょっと可哀想な気がした。なんだかちょっと遠くなってしまったようで…
家に入れてしまうと力が強すぎて色々壊してしまうようにもなってきた。
一度人間に飼われてしまったら、もう野生には戻れないんじゃないか?仲間に入れてもらえないのでは?と心配だったが、フェンスの外側に返すことにした。
もともと彼女がいた場所だ。
心配をよそに、あっという間にどこかに消えた。
朝晩餌を食べにやってくる。無事を確認できてホッとする。
そんな毎日が続き、次の春がきた頃、お腹が膨らんできた。もうそんなお年頃!?野生の動物は早いし強いな〜
3日くらい姿を見せなくて心配していたら、可愛い赤ちゃんを3匹連れてやってきた。見て見て!可愛いでしょ!?と言っているのがわかる。
可愛いね〜どんどん食べてね〜ママ。
私にできることはせっせと餌をあげること。バンビがなんでも食べてくれるおかげでコンポストがいらない。
半年後には既にお腹が大きい。そしてまた新しい赤ちゃんを見せにやってくる。
バンビの子供たちも、私たちを忘れない。声で覚えているのか、人懐っこく近寄ってきて、「お腹すいた〜」って顔で見つめてくる。
やっぱり親子って似るんだな〜私もバンビの子供たちだってわかる。他人じゃないと感じる。
4年が経った頃。数日間姿を見せなかったので心配して何度も呼んだ。
片耳がないバンビが現れた。
耳の中には土がたくさん詰まっている。左耳はきっともう聞こえない。
平衡感覚も狂ってしまったのか、歩く時斜めになっている。
オスに噛みちぎられたんだろうと聞いた。悲しい。今思い出しても涙が出る。自然の中の生存は命懸けだとつくづく感じる。
その時まだ2匹子供を連れていた。
人懐っこい、目で訴えてくる。「餌がいるの」わかってるよ〜はい、どうぞ。
でもその日からバンビたちはいつもの場所から少し離れた、他の豚たちがあまりいないところを寝床にするようになった。
私たちは毎日車でその場所まで餌を運んだ。
大抵は木下に隠れていて、名前を呼ぶと出てくる。大丈夫。私たちは毎日くるよ。
ある日、もう片耳も無くなった。
もう呼んでも聞こえない。
もっともっと遠くに移動していた。
子供たちが私たちの声を聞いてやってくる。いっぱい食べようね。
バンビはきっと匂いで私たちとわかっている。
安心して食べている。
その日がバンビを見た最後の日となった。
都会から超自然の中に移り住んで、不安だった私に、たくさん愛をくれたバンビ。
常に子供達を守っていたね。
耳がなくなってもひとりで耐えて、子育てもして。
私はあなたと過ごせて幸せだったよ。
ありがとう。