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Interview | Ryutaro Izaki

自身二度目となる個展"ONE ANOTHER"を開催した写真家、井崎竜太朗。彼が本展に定義付けたものとは。

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-初めに簡単な自己紹介をお願いします。

井崎竜太朗(イザキ リュウタロウ)です。1994年生まれ、福岡出身の写真家です。2016年から、東京を拠点に活動しています。今回で写真集の出版が二回目で、一回目は2019年の個展"TIME MACHINE"で出版して、二回目が今回の個展"ONE ANOTHER"でリリースします。


-今回の個展"ONE ANOTHER"のコンセプトや個展に込められた思いをお聞かせください。

今回の個展、写真集は前作(TIME MACHINE)からの約4年分の写真をまとめたものになっています。撮り溜めたものからテーマを見出して、良いものを厳選して作りました。


-作品によって、大きさや展示の仕方がそれぞれ異なると思うのですが、今回の展示レイアウトはどのようにして決めましたか?

一番は感覚です。展示会の前日、前々日はここ(ギャラリー)にこもらせてもらって、まっさらな状態から作り上げました。この写真は大きく展示したいな、とか考えて。大きい作品は用意しないといけないものなのでプリントして作って。あとの他の作品の構成は、その場の感覚で作っていったって感じです。


-作品展示の流れも、グラデーションがあるものや無機質な要素が含まれているもの、ディテールが似たもので分けられている印象がありますが、それも感覚的に配置していますか?

いや、実はちゃんとしたストーリーがありまして、並べ方に関しては感覚だけど、並び順には意味があります。前回個展の"TIME MACHINE"を見てもらったら感じるかと思うんですけど、自分はSFの要素をコンセプトとして入れるのが好きで、よくSF的な思考を作品に落とし込むというか。映画とか物語が起源にはなっているんですけど、今まで撮ってきた4年分の写真で、似ているものとか、共通項を感じるものをAとBと捉えて、一つの世界ではこうだけど、別次元の世界ではそれは異なるかもしれないとか、こうだったら面白いよねっていう自分の想像や希望を込めた作り方をしたいなって思って。元は2個ずつの次元として作っているけれども、あれ、これは全部繋がっているんじゃないかっていう終わらせ方をしていて。しりとりみたいな作り方をしてます。


-アーティスト写真や依頼されたお仕事に対して、ご自身のスタイル・テイストを落とし込むためにはどういったアプローチで仕上げていますか?

意識してやってるのは、自分の個性が強く出てる写真を、予めSNSで提示します。じゃないと、この人なんでも撮るんだなって思われて、自分が好きなじゃないものも撮ることになりかねないので。そこはバランスを見ながら写真を載せてますね。あとは、仕事をする上でも自分の個性を大事にしてくれる人がいいですし。依頼相手の要望を聞いた上で、これは自分がやるべきじゃないな、と思ったらその時は断ります。別の人の方が上手に撮れると思いますって言いますね。でもそれは滅多にないです、大体SNSを見ていただいてからご依頼いただいてるので。だから最終的には、自分で判断します。


-こういった展示の写真など、フリーで物を撮る時の被写体や素材の選択は直感的なものですか?

そうですね、直感的だし、完全に実験です。今回の展示作品はフィルムで全部撮っていて、フィルムの種類は必要に応じてって感じで。全然安いKodakとかでも撮ったり。


-なるほど。撮り方もその被写体に合ったものをその都度見つけて、といった感じですか?

そうですそうです、完全に。


-作品が音楽からインスパイアされることはありますか?

そうですね、結構散歩しながら写真を撮るんですよ。これを撮りに行こうって感じよりも、全然知らない街を音楽を聴きながら散歩して、撮るものを見つけるっていうかんじで。

-普段は結構ラフな撮り方なんですね!

そうそう。それで、その散歩の時に大体かけてる音楽がKreftwerkで。(笑)それを聴いて、完全に自分をロボ化させて写真を撮るっていうのが、凄く楽しいし、気持ちいいんですよね。(笑)あとは、Roche Musiqueっていうレーベルの作曲家・アーティスト達が作る雰囲気というか、ざっくりいうとオーラだったりが凄い好きで、そういうのを聴きながら撮ったり、自分のモチベーションに繋げたりしますね。


-最後の質問になりますが、写真集と個展で写真の流れが異なっていたり、写真集の最後に個展3枚目の写真を選んだ意図が個人的には気になりました。今回個展の写真集「ONE ANOTHER」はどういったものに仕上がっていますか?

写真集をご購入いただいた時に、写真を2枚ずつで見てくださいとお願いしたと思うんですけど、これは単純に使いたい写真を自分がある程度気持ち良くなるような順番での2枚ずつで並べていて、一番最後のページと一番最初のページがループしている感覚に自分はなっていて。"ONE ANOTHER"は"お互いに"という意味なので、全然違うものだけど、お互いに干渉し合っているんじゃないかとか、どこか別でそれぞれが存在しているんじゃないかとか、そういうパラレルワールド的な定義づけをして作った一冊になっています。個展のほうでは、いざ展示をしようってなった時に、全部繋がっているってなってるんだとしたら、写真集は2枚ずつだけど全部一旦並べてみようっていうのを思いついて。写真集の並びは一旦白紙にして、個展は個展で準備期間中に別の並び順を新たに考えました。だから、写真集では最後だけど、個展では3枚目にきたりと異なっています。全ての写真に優劣はないんですけど、終わりかたにはこだわりがあって、いい締め方をしたいというか、何かを残して終わりたいので。色んな意味合いはありつつ、もしかしたらこの写真同士は同じ思いなのかもとか、片方の生まれ変わりなのかもとか、写真同士がどういう繋がりなのかは自分の捉え方次第だし、正解はないので、こうだったら面白いなって想像しながら自分の解釈で作りました。

『ONE ANOTHER』
Photography by Ryutaro Izaki 
Design by NKCK
221mm×303mm×17mm 152ページ/ ハードカバー

¥7,700(税込)
初回400部


展示レビュー記事はこちらから↓


インタビュー・文・写真/ 木村星来

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