旅と炎節の恋
旅の出逢いと夏の恋は似ていて。
会った瞬間にぱあっと燃え上がり、花火のような大輪の華を見せたかと思えば、消えゆく時はまるで線香花火の最期のごとく、ぽとりと頭を落とす。
落ちた頭の熱き炎はいくら熱を帯びようと、冷えた地面にいきなり落とされては、現実に吸収されるより他はない。
あれは非日常の世界の夢幻だったのかという理解より、炎の余熱が燻る。何にせよ激しく燃え上がったものは、より深き漆黒の灰となる。皮肉なことに、それを気流に乗せて吹き飛ばしてくれるのが、旅だったりするのだ。
旅で傷ついたのなら、旅で癒せ。
夏に傷ついたのなら、夏に旅せよ。
我ら非日常の夢幻に、乗せられるうちが華なのだ。
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