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【香川県】 入学定員のヒミツ

流れるウワサ、踊る受験生

公立高校を受験する生徒とその保護者、そしてわれわれのような塾関係者が、その変動によって一喜一憂する数字、それが“倍率”であり“定員”である。

毎年、受験本番が近づいてくると、まるで誰かが企んだかのように噂が流れる。曰く、
「今年は〇〇高校の倍率がとても高くなる」
「✕✕中学校の生徒は全員、落とされる」
「△△高校は□□点以上ないと受からない」などなど。

各高校に合格点の目安があるのは事実だが、それを下回ったら絶対に不合格になると決まっているわけではない。ある中学校の生徒が全員不合格にされるなどという噂は、受験する高校から距離的に近い中学校ほど流れやすい傾向にあるようだ。

与太話の域を超えるものではないのだが、倍率が高くなる、もしくは低くなるといった類の噂については、これは本当に誰かが意図的に流しているのではないか、と筆者はときどき感じることがある。

とくに、高商や工芸のような進学校寄りの実業系高校は、合格ラインとされる点数が受験生全体の平均点と近いこともあり、ちょっとしたことですぐに受験者が殺到したり、反対に敬遠されて定員を割り込むケースもあったりする。どちらも人気校であるため、塾屋をやっていれば受け持つ受験生に毎年必ず志望者が出る。使える手段は何でも使うというような同業者がいても、おかしくはないと思ったりするのだ。


定員増減のひみつ

さて、倍率に関しては、意図的に増減させることがひょっとしたらできるのかもしれないが、入学定員そのものを増やしたり減らしたりなど、一介の塾屋にできるわけがない。これを決めるのは県の教育委員会である。

年度によって増えたり減ったりするこの定員というもの、なにか法則性はないのかと思って調べてみたところ、次のような結果が出た。参照したのは県教育委員会がHPで公表している統計データである。

定員の割合

一目瞭然というか、公立高校の入学定員とその年の中学3年生の総数には密接な関連性があり、はやい話が「定員とは総数の7掛け」なのだ。中3の総数が前年に比して減少していれば、それに応じて定員も減るし、その逆もまた同様ということである。

ただし、これは公立高校の入学定員の全体を見たときの話であって、ここからわかるのは「合計で増えるか減るか」だけなのだ。各高校ごとの定員の詳細について判断することはできない。

極端な話、総数が増えたとしても、ある高校は2クラス分増えたけれど、別の高校では1クラス減らされて、総合的に見た場合、1クラス分の増となった、というケースもありうる。

ここまで書いてきて今さら言うのも何であるが、例年、倍率が高かろうと低かろうと、各高校のボーダーラインに達していれば合格できているし、達していなければ、やはり合格を勝ち取ることはできない。定員が減れば、それだけ倍率が高くなりやすく、受験生からすれば不利に感じるかもしれないが、それを嘆いたところでなにも始まらないのである。

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