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立命館守山中学校/元 麹町中学校 |加藤智博さん(2)

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2021年2月21日(日)20:00〜21:30
教育改革で注目を集めた千代田区立麹町中学校にて、工藤勇一校長と共に、その中心的役割を担ってきた加藤智博さんをお迎えし、「しつもん×探究トーク」第7弾を開催しました。

教育改革の中心に据えたこと、生徒の自己決定を促す鉄板しつもん、などなど、加藤先生のリアルな体験と率直な言葉は心に響きます。そして、自律や主体性を育む教育はなぜ必要なのか?何を実現したいのか?参加者のみなさんと本質的に考える時間を共有しました。

「しつもん×探究トーク」最新のお知らせは、しつもん財団ホームページをご覧ください。

<ゲスト講師> 加藤智博さん
立命館守山中学校・高等学校 教諭/元 千代田区立麹町中学校 教諭

2020年3月まで、教育改革で注目を集めた東京・千代田区立麹町中学校で
生活指導主任(現・生徒支援主任)と学年主任を兼務。固定担任制の廃止(チーム担任制の導入)や定期テストの廃止、脳神経科学を取り入れた生徒支援など、工藤勇一校長のもと次々と進められた教育改革の現場で中心的役割を担う。2020年4月から立命館守山中学校・高等学校に場を移し、生徒の自律を育む教育を継続実践中(中学1年学年主任)
一般社団法人フィールド・フロー認定スポーツメンタルコーチ
一般社団法人国際メンタルビジョントレーニング協会認定インストラクター
GALLUP®︎認定ストレングスコーチ
<対談者>しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

麹町中学校での自分の変化

加藤:それはいっぱいありますよーー(笑)同じ東京の中学校でも、文化が違ったので。どっちがいい・悪いではなくて、文化がまったく違う。勤めている中でもどんどん変わっていったし、行った当時の麹町中と、出る時の麹町中はまったく違いますから。さっきの話と繋げて言うと、自分が子どもに『こうあらねばならぬ』みたいなレールがほぼなくなりました。それが良いか悪いかはちょっと別として。

藤代:『こうなってほしい』はあるんですか?

加藤:ないわけじゃないですね、ないわけじゃないけど。最近実は自分の中で変化があった「しつもん」なんですよ。学校の教員あるあるなんですけど、子どもたちを1年間でどう育てるとか、3年間でどう育てたい?っていうワードってあるんですよね。それは、教員の何年目かに今も親交のある先輩教員に、「加藤はどんな子を育てたいと思って教師やってる?」みたいな話をされて。まだ1年目か2年目かな?“あっ。そういうの持ってない。”って気づいて。

いわゆる、いい子になってほしい、素敵な子になってほしいと思うけど、じゃあ、素敵ってなんだろうとかいうのをすごく考えて。自分の中ではいまだに残ってる、ハッ!とさせられた「しつもん」なんですね。

それなりに自分も当時の考えはあって、あるんですよ。あるんだけど、これは同じ業界の人にはちょっと怒られるかもしれないですけど、これをあまり持ち過ぎたら、手を加えようとするんですよね。

自分がそもそも子どもたちを『こうしたい』と思っている。けど、子どもって色んな才能があって、色んな変化があって多様なはずなのに、『こうしたい』っていう枠をあまりにもはっきり持ちすぎてしまったら、さっきのレールですよ。

やっぱりそうならなかったものを引き戻そう、引き戻そうとして、最後3年後にこの中に入れようってしますよね。これが、自分たち教員がやって良いことなのかすごく感じるようになって。だからあまり持ち過ぎたらだめだよなって。今は、本当に時代が変化していく中だから、子どもたちには「自律」、自律っていうのは自己決定のことなんですけど、自分で考えて判断して行動できる力をつけてほしいな。

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親御さんにも言うんですよ。「これからの未来が本当にどうなるのかわからないんです」って。前は一丁前に、自分はこういう力が・・って言ってましたけど、わかりませんって。今必要だと言われる力が必要ないって言われるかもしれないし。

でも、どんな時代が来ても、自分で決めて自分で行動する力っていうのは、人のせいにせずに自分で決める力っていうのは必要になってくると思うから、その力はなんとか少しでも身につけてほしいな。でも、心の中で“3年後に身につけてなくてもいい"って思う自分もいるんですよね。

身につけてほしいなっていうのはあるけど、子どもの成長って速度が違うから。それを18歳や20歳でつかむ子もいるし、30や40になってつかむ子もいていいと思うんですよね。でもそれを、『3年後に絶対、全員に』みたいなことを思い始めると、ペースのちょっと遅めの子を『やっぱりダメだ』っていうメッセージを発してしまうし、この子を引っ張り上げようと思うと、その子がゆっくり育んできたものを摘むことにもなるし。だからそこは、すごく加減だよなぁ。

藤代:期待する姿はあるけど、そこがすべてじゃないという考え。

加藤:あくまでも通過点だから。その通過をどのタイミングでしてもいいなって思ってる。

藤代:なるほどなぁ。僕も本とかに書かせていただいて、こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけと。すごく身につけてほしいスキルとか書くじゃないですか。もちろん書いている時は本気で書いているんですよ。でも後から見返してみると"別になくてもいいかな"って思うことがすごくある。

加藤:(笑)

藤代:僕もすごく共感してて。この「しつもん」ということをなぜやってるのかって聞かれたら、10年前から変わらないんですけど、自分で決めるという機会をなるべく多く子どもたちに渡したいんですよ。僕たち大人もそうですけど、「じゃあ、本当に自分で決めてますか?色んな事を」っていったら、決めてないこともたくさんあるじゃないですか。自分で決断してない。まぁ、僕も人のこと言えなくて、決めてないこともたくさんあるんですけど、自分で決めるという経験が、自信にもつながるし、自分を好きだなって思えることにもつながるし、幸せにもつながると僕は思ってる。

加藤:うん。うん。

藤代:それをできるだけ小さいうちから、子どもたちに渡してあげたいなっていうのが、しつもんを始めたきっかけで。僕も指示命令ばかりしてたので・・「あーしろ、こーしろ」って。僕も『藤代の幅』があって。

加藤・藤代:(笑)

藤代:サッカーコーチしてたけど、Jリーガーにもなってないし、大したスキルもないし、サッカーレベルが高くないのに「そんなんじゃプロになれねーぞ」って言ってました。

加藤・藤代:あははは

加藤:いやまあ。。あるあるですよね。笑

藤代:でも、それは怖かったんですよね。技術とかをちゃんと教えてくれるコーチじゃなかったら、僕は必要とされないんじゃないか?それが怖いからもう言うしかなくて。加藤さんも言った通り、バーッて言ってる時は、子どもは聞いてるふりをしてくれるから、なんとかその場は取り繕うことができる。

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だから、本当に怖かったですね。会社から「クビ」っていわれることはほとんどないと思うんですけど、子どもたちから「もう、コーチの話は聞かない」みたいな。まぁ。わかりやすいじゃないですか。聞いてないのもわかってるけど、吼えるしかなかった。

加藤:わかります。わかります。一緒です。自分もそうです。

藤代:慰め合いの会みたいになっちゃった。

加藤・藤代:あはははは

加藤:でもあるあるですよ。これ本当に。今でもあるあるで、決して私たち2人だけの問題じゃなくて、本当にあるあるです。

生徒の自己決定を促す鉄板しつもん

藤代:そうですね。だから本当に些細なことですけど、今日のお昼何食べる?とか、食べる食べないとかそういうことは決められるんですけど、子どもは家庭の中にいるとまだ決められない段階があるじゃないですか。じゃぁ、決められる部分ってどこなんだろう?ってなった時に、決める部分を渡してあげたいっていうのはありますね。

加藤:そういうことを麹町ではやり続けたんですよね。3年、4年かな?子どもにこういうアプローチ、しつもんベースでの関わり方っていうのはやったことなかったから。当時、教育界ではすごく有名な大阪の校長先生とか、気鋭の脳科学の人とか、そういう方と色んな話をしながら、そんな風に言ったら、脳科学的にすごく分析して・・みたいだけど、そうではなくて、とにかく『自律』って。

子どもの自律を育むためにはどういう関わりが必要か?どういう言葉を掛ければ子どもの自律って育めるんだろう?逆に、どういう言葉が自律するタイミングを奪ったり、芽を摘んでるんだろう?みたいなことを校内研修としてやって、最後整理できたのは『3つの質問』って言って。

子どもの喧嘩だろうが、悩み事だろうが、何でもそうなんですが、

・今、何が起きてるの?
・どうしたいの?どうしたいと思ってるの?
・何か先生に力を貸してほしいことある?どんな力を貸してほしい?

っていう3つをベースにしてました。それにもう1つ加えて、

・今、自分だったら何かできることある?

というのを自分では『4つの質問』って言ってるんですけど。本当にね、これを繰り返すと、もちろん子どもの幅、成長の幅ってありますけど、早い子なんかは、全然変わりますよ。学校現場では、「君はどうしたい?」って聞くことは無いんですよ。

藤代:そうなんですか?

加藤:うん。いやーこれは怒られるかな。私の知っている学校です。私の知っている幅の狭い経験の中で、一般化しちゃだめかもしれないんですけど。

中学校ぐらいになると、子どもに「どうしたい?」ってことを聞いてしまったら、訳わからんことを言いだす。だから聞いちゃならんみたいな。むしろルールはこうなっているんだから。校則はこうなんだから。世の中こうだから。っていうので、押さえつける、押し込むみたいなところが強くて。結構、私、勇気いりましたよ。子どもに「どうしたい?」って聞くことは。自分の想定外のことを言ってきたらどうしよう・・・って。

藤代:そうですよね。もう1回整理したいんですけど、トラブルでも、トラブルじゃなくてもいいけど、その子に対して「どうしたい?」「どうなりたい?」っていうのがまずある?

加藤:まず「何が起きてる?」「今何が起きてるの?」って聞く。喧嘩なら何が起きたんだよとか、悩んでるんだったら、今どういうことが起きて、今悩んでいるのか、ですよね。現状を知る。

藤代:今を知るっていうことですね。

加藤:そうですね。2つ目が「それに対して君はどうしたいと思ってる?」みたいな。

藤代:これは未来を聞くということですか。

加藤:そうですね。例えば喧嘩だったら、仲直りしたい。ぶん殴りたいでも別にいいんです。で、3つ目が麹町の時は、「先生にどんな力を貸してほしい?」って。

藤代:なるほど。

加藤:これ、本当に、ぜひ学校関係の人にやってみていただきたくて。

藤代:例えば「ぶん殴りたいから、先生、一緒に殴りにいってくれませんか」ってならないですか?(笑)

加藤:そうやって言ったら「それは無理だ!」って言います。

藤代:ちゃんと先生としてそれは無理だよって伝えるんですね。

加藤:それはできんわ。俺は大人だもんって。

藤代:その子に対して怒り持ってないですもんね。

加藤:そうですね。「ぶん殴りたい気持ちはわかるけど、それはちょっと止めざるをえないわー」とか、あとは、「仮によ、イメージしてみよう。ぶん殴ったら何が起きそう?」と。

藤代:なるほどね。そっちも聞くんだ。

加藤:うん。後はね、意外とその喧嘩関係では、手を出しちゃった子に「本当は君は何を伝えたかったの?」みたいなことを言うと、『僕が怒ってるっていうことをわかってほしかった』とか『さっきのあの言葉が腹が立ったんだってことを伝えたかった』っていうから、「それで、えいってやっちゃったのな。それでその思いは伝わってるか?」って言うと『伝わってない』って。(笑)

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藤代:殴ったのに?

加藤:そうそう。そうやって考えたら、これまずかったんだろうなぁって・・・

藤代:あぁ。気づくんだ。

加藤:君があの瞬間伝えたかった思いを、正しく相手に伝えられなかったんだな。この手法は良くなかったんだな。伝わらないんだなっていうことを学べって言って。

藤代:なるほどね。

加藤:改めて「どう?」って聞いたら、『やっぱそこは伝えたい』っていうから、「じゃあ、どういう風な言い方をしたら相手に一番伝わる?」って。もう、このキャッチボールです。ずっと2人で。そうしたら、どんどん子どもが冷静になって、ちょっと自分を客観視できるようになって。でも、引き出しはどうしても多くない部分もあるから、アドバイスしながら子どもと話して、「じゃあこういう風にやってみようか?」とか「俺はどうすればいい?どんな力を貸してほしい?」って言ったら、『2人だと不安なので、その場に一緒に居てほしいです』って。「じゃ、わかった。行くぞ」って。

藤代:なるほどな~

加藤:こいうやり取りを。大きいですよ。これ。すごく大きい。これを繰り返し×繰り返し、やるんです。

藤代:僕も最初しつもんするのが怖かった時があって。トレーニング後に「今日どうだった?」って聞くようにしてるんですよ。それは、その時間を整理してほしいという意味も込めて、どうだったか振り返って、次に活かしてほしいっていう意味も含めてですけど。もう1つの側面は、僕がフィードバックが欲しい。怖いじゃないですか。『超つまんなかったです』とか言われたら。(笑)

でも、やらなきゃいけないなと思って、「どうだった?」って。「どうだった?」の言い方も、すごく大事だし、「どんな答えでも受け止めるから聞かせてよ」っていう「どうだった?」か、「楽しかっただろう。どうだった?」じゃ、全然違うから(笑)

加藤:押し付けてますね(笑)

藤代:怖いですよ。それは。

加藤:わかります、わかります。

藤代:本当は聞きたくない、評価されたくないけど、そうしないと成長しないなって。

加藤:本当に最近ね、スポーツの現場でも教育の現場でも『自律とか主体性』という言葉はすごくキーワードだと思ってるし、そこに対して違うっていう方はなかなか出会えないんですよね。たぶん、みんな一致してるんですよ。だけど、じゃあ、そういう子を育んでいくためにはどういうアプローチ?って、アプローチの部分はみんな結構違っていて。

『子どものうちはまだまだ教え込まないとダメだよ』とか、『ちゃんと教え込んだ後ではじめて選択できるようになるんだから』みたいな考えもよくあると思うし、自分なりのコツをつかんでらっしゃる方もいらっしゃるし、私たちも麹町の時に生徒主体の行事とかやってたんですけどうまくいかなかったんです。

その時は子どものせいにしてましたよ。さっき言ってた通りです。『だから無理なんだ!』って言って、『中学生に経験もないのに子どもに任せるなんて無理なんだっ』て。

<自分もやってみた → うまくいかない → はい、子どものせい>
って考えがち。でも今は、子どもに(決めさせるっていう表現もあまり好きじゃないんですね)決めてもらったり、自分でひとつひとつ決定してやっていくっていうのはこちらのスキルが必要なんだよなーっていうのはすごく感じたんですね。

だからその、しつもんベースで関わる「やりとり」は言い出したらキリがないくらいあるんです。喧嘩のこと以外でも。例えば実行委員の関わりだとか、本当に自分たちでコツをつかんだら・・・これもよく話す例なんですけど、よくね子どもって「先生、どうすればいいですか?」とか「コーチどうすればいいですか?」ってよく言うじゃないですか?

「どうすればいい?あー俺も分からん」って言いながら、「でもそれ何が起こりそう?」とか「何に困ってる?」「何ができそう?」ってしつもんしていくと、本当にのみこみの早い子なんかは、1か月・2か月で「先生ちょっと相談いいですか?」って、「どうすればいいですか?」って言ってた子が、、

「いま2つのプランで悩んでるんです」って、「Aパターンはこうしようと思ってます、でもココが不安材料として残るんですね。で、BパターンはAパターンの不安材料はなくなるんたけどこういう不安が出てくるんです。先生のご経験の中でどっちがあれですか?」って1ヶ月で変わっちゃうんですよ。

藤代:えーー!1か月で!?

加藤:まぁ、のみこみの早い子はですけどね。こーいうのは自分の力じゃなくて、一緒に切磋琢磨してきた仲間がいて、その仲間と子どもとのやりとりを見た時にも、あーこんな変化するんだー!って考えたらやっぱり自分も磨いていかないとなって考えて。たまたま当時、自分がコーチングを学びたかったんじゃなくてスポーツメンタルが学びたかったんですけどね、スポーツメンタルを学びに行ったらコーチングベースのメンタルトレーニングだったっていう話なんですけどね。

そういうところで学んだことと、麹町での実践がすごくリンクしていて、あーこういうことかって理解できて、今もね、それこそ藤代さんが開いてくださっているところで、こないだも申し込ませていただきましたし、全然違う団体のところのコーチングも、もう1回イチから勉強しているところで。

やっぱり本当にこれから子どもたちと関わっていく人には、それをね、しつもんメンタルトレーニングというのか、コーチングというのか、それはある意味どうでもよくて、子どもと会話しながら子どもが決めていける支援のスキルを磨いていかなければなって。自分自身がまだまだだなーと思うから、お金出してね、学びに行ったりしているんですけれども。

根っこのしつもん

藤代:なるほどなー。始まる前にちょっとだけ話させてもらったんですけど、みんな、それぞれの意見がありますよね?分かりやすいから二項対立で考えがちなんですけど、しつもんベースで話していかないと、対立でずーっと終わってしまうことがよくあるなーと思っていて。

スポーツの場面で、分かりやすい例として、「勝つことが全てだ」という意見があるとしましょう、極論にしたいので。「勝つことが全てのAさん」と「育成こそが全てであるというBさん」がいるとするじゃないですか。二人は対立しますよね?

お互いにお互いの考えが分からないから、普通に会話したら対立で終わってしまう。でもこの人と本当に対話をしようと思ったら、この問いを問わないといけないなと僕は思っていて、Aさんは勝つためにはどうしたらいいだろうか?とか、そういうしつもんをしているはずなんですよ、自分に対して。一方、Bさんは、どのようにすれば育てられるだろうか?というしつもん。

このしつもんの前提がそもそも違うから、話にならないと。木で例えると「枝」の話です。なので、もうちょっとお互いの両方が交わるであろう「幹」の話をしなくちゃいけなくて。そもそも、「勝つ必要はあるのか?」とか「育成する理由はなんなのか?」というところまで降りてきて、もっと深くかもしれないですけど、、そうしないと、お互いのことに腹が立って仕方ないという・・・

加藤:分かります分かります分かります。

藤代:だからその、なぜ育成が必要なのか?なぜ勝ちにこだわるのか?ということを、フラットな視点で聴けて、「あ!だからそんなに勝つことを大事にしてるんですね!」ってわかると、また枝葉までいけるんじゃないかな?って。

加藤:いやー、分かります。どっちの考えが良いか悪いか?っていうよりも、その人にはそこに至るバックグラウンドとかもあるんでしょうね?

藤代:そうですよね。

加藤:で、こっちの人はこっちの人のバックグラウンドがあって、それを尊重することなく、お互いの正義をぶつけ合ってたら、たぶん分かり合えないんですよね。

藤代:そうですよね、でもそれって、子どもとの関係でもありますよね?

加藤:ありますあります、大人同士でもありますよ、いやいや、大人同士の方がひどいかもしれない、これは。

藤代:はははは。

加藤:うん、やっぱり尊重することなく、なんかそれぞれの正義をぶつけ合うっていうのは子どもより大人の方があるような気がするなぁ

藤代:じゃあ、このしつもんをしましょう。みんなで一緒に考えたいんですけど、

加藤:ぜひぜひ!

藤代:自律をすることは大事だ。という考えがベースになってきたという話があったじゃないですか?じゃあ、自律しないとなぜダメなのですか?の答えをみんなでちょっと考えてみましょうっていうのはどうですか?

加藤:いいっすねぇ。こういう刺激っていいですよね?

藤代:みなさんそれでは、しつもんとしては、、
「なぜ自律しないといけないのですか?」

自律って、精神的自律だったり、経済的自律だったり、いろいろあると思うんですけど、まとめましょうか。社会的自律っていうことで。自律にもふたつの言葉があると思うんですけど、漢字が違ったりすると思うんですけど。

加藤:「律する」と「立つ」とありますもんね。

藤代:それも、みなさんの捉え方で構いません。

加藤:なぜ?か、なぜ・・・??

藤代:あ、それって、さっきの話のように『幹』のしつもん。「どうすれば自律させられるるか?」っていうのは『枝葉』のしつもんじゃないですか。

加藤:うんうん。

藤代:自律ってなぜ、そもそも大事なの?っていう。

加藤:そもそも、ね、そもそも。。はぁーーー。

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藤代:ええと、

・人様に助けを求めなくなるから。
・自分という存在の意義を感じるため。
・自律しないと生きられない時代になってしまったから。
 経済的にも精神的にも。
・自分の人生を自分で決める。

加藤:おもしろい!何がおもしろいって答えが違うところがおもしろい!!

藤代:そうですよね。あの本当に答えのない問いと答えのある問いと、いろいろあると思うんですけど、答えのない問いは楽しいですよね。

・自分を知り、自分らしく生きるため。
・失敗や過ちを人のせいにしてしまうから。
・前例のない時代を生きていくために自己の判断が必要。
・人のせいにする人間が増えて日本が破綻する。
・人に決められたら人生楽しくないし、自分が意志をもって行動したことこそ自分の糧になるから。
・自律とは自分らしくあることじゃないかな?
・自分の人生を楽しむため。
・自分らしく生きるため。自由になるため。
・自分の人生を生きるため。

なるほど、みなさんありがとうございます。
めっちゃ楽しい!これコメントあとでダウンロードしよう。

加藤: これね、自律っていう言葉ではみんな一致しているはずなのに、理由が違うって言うのは、(もちろんみんな違っていいからみんなのアイデアがあっていいんですけど)でも何かを目指そう!っていう時に、実は同じものを目指しているはずなのに、なんかその違う、そこがバラツキになる気もしてるんですけどね。どうなんだろう?

藤代:いや、それが僕は大事だなと思っていて、それをまず、テーブルの上に乗せて・・・

加藤:そうそう、そうそうそう!

藤代:テーブルの上に乗せて見るっていうのが大事で・・・

加藤:ね!!

藤代:いま、根っこの話になっていると思うんです、皆さん。木の幹を見つけるための根っこをたぶん答えてくれていて、根っこをみんなで覗いて、「だからあなたは自律を大事にしているんだね、じゃあ自律するためにどうしたらいいかな?」っていうのがようやく繋がってくる。

加藤:だからこれ、それぞれ、答えは皆さんが違いますよね?ということは、アプローチもそれぞれ自然と変わってくるじゃないですか?で、それをプラスに活かせればいいけど、みんな違う答えに対してアプローチが違うから合意できないみたいなところってないんですかね?

藤代:あー、、え?そもそも『幹』が違ったってことですか?

加藤:んーーそうそう、それに近いかもしれない。意外と、幹がおんなじように見えて違ってる。だからそれぞれ、自分の答えがそうなはずだってみんなが持ってる。それがぶつかり合う。

藤代:うん、あると思います。

加藤:ねー。テーブルに1回のっていないものを、自分の考えのもとでみんながそれぞれやろうとするから合わないみたいなのもあるかもしれないです。

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