立命館守山中学校/元 麹町中学校 |加藤智博さん(1)
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立命館守山中学校/元 麹町中学校 |加藤智博さん(1)

2021年2月21日(日)20:00〜21:30
教育改革で注目を集めた千代田区立麹町中学校にて、工藤勇一校長と共に、その中心的役割を担ってきた加藤智博さんをお迎えし、「しつもん×探究トーク」第7弾を開催しました。

教育改革の中心に据えたこと、生徒の自己決定を促す鉄板質問、などなど、加藤先生のリアルな体験と率直な言葉は心に響きます。そして、自律や主体性を育む教育はなぜ必要なのか?何を実現したいのか?参加者のみなさんと本質的に考える時間を共有しました。

「しつもん×探究トーク」最新のお知らせは、しつもん財団ホームページをご覧ください。

<ゲスト講師> 加藤智博さん
立命館守山中学校・高等学校 教諭/元 千代田区立麹町中学校 教諭

2020年3月まで、教育改革で注目を集めた東京・千代田区立麹町中学校で
生活指導主任(現・生徒支援主任)と学年主任を兼務。固定担任制の廃止(チーム担任制の導入)や定期テストの廃止、脳神経科学を取り入れた生徒支援など、工藤勇一校長のもと次々と進められた教育改革の現場で中心的役割を担う。2020年4月から立命館守山中学校・高等学校に場を移し、生徒の自律を育む教育を継続実践中(中学1年学年主任)
一般社団法人フィールド・フロー認定スポーツメンタルコーチ
一般社団法人国際メンタルビジョントレーニング協会認定インストラクター
GALLUP®︎認定ストレングスコーチ
<対談者>しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

授業以外の声かけしつもん

藤代:皆さんこんばんは。今日はお忙しい中、しつもん×探究トークにご参加いただきありがとうございます。この会をどうしてやっているのかということと、僕たちのことを知らない方もいらっしゃると思うので簡単に、自己紹介させていただきます。

藤代圭一といいます。普段はスポーツとか教育の分野で色々と活動させていただいております。しつもん財団の理事をしております。2019年までは全国各地から先生をお招きして、「発問」や「しつもん」という『問い』を中心に据えた研修会をしていましたが、昨年からコロナ禍ということもあり、皆さん一緒に集まることはできない中どうすれば『問い』について、みんなで考えられるかなと考えた時に、月1回ゲストの方をお招きして、しつもんと探究について一緒に話していこうというのが、この「しつもん×探究トーク」になっております。

1回目からのアーカイブの記事もご覧いただけますので、もしよろしければ昨年のものも振り返って、ご興味のある記事をご覧いただけたらとても嬉しいなと思います。

Youtubeライブでやらせていただいているんですけど、一方的に僕たちが話していくというよりは、皆さんにコメントなどで参加していただき、また途中で僕たちの方から「しつもん」させていただいて、その答えを考え、皆さんの答えを伝え合うことによって自分自身の答えを深めたり、広げていったり、一緒に学んでいくというスタイルで参加していただけたらとても嬉しいです。今回は、ゲストに加藤先生をお招きして進めていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

加藤:お願いします。

藤代:4年ぐらい前かな。初めてお会いしたのは。

加藤:そうですね。

藤代:4年前に研修にお越しいただいてお話したのがきっかけですね。自己紹介していただいてもいいですか。

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加藤:はい。加藤智博と申します。今日はよろしくお願いします。中学校の教員をしているものです。滋賀県の立命館守山中学校というところで、2020年の4月から勤めております。それまでは、東京の中学校の教員を13年していました。東京の中学校は2校経験したんですね。1校目は江戸川区の本当に下町の学校でした。そこで7年やって、その次2校目に行った学校が、千代田区立麹町中学校っていう、ビル街にある学校だったんですが、そこで働いて得たものが今の自分のすごく転機にもなっています。

ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、学校改革、公立中学校の学校改革というところですごく注目していただいた学校で、工藤勇一校長、今横浜創英の校長をされていますが、その方と一緒に働かせてもらって、色んな刺激を受けて、いろんな経験をさせてもらって今があるかな。。というところです。この後、藤代さんと話になると思うんですけど、そこでの質問とかコーチングとか子どもに問いかけることで、子どもの成長とか変化を本当にまざまざと感じたんですね。そういうお話もできればなぁと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

藤代:お願いします。いつもなんですが、あまりシナリオはなくて、皆さんの質問などにお答えしながら、どのようなところに着地するのかわかりませんが、1時間半、全力で疾走したいと思います。

皆さんにも意義ある時間、この時間参加してよかったなぁと思っていただきたいので、最初にしつもんを投げかけさせていただきたいのですが、僕たちのやっているしつもんに答える時のルールがあって、3つご紹介します。

1つめは、しつもんの答えはすべて正解。
2つめは、しつもんの答えはわからないも正解です。
答えることも大事だけど、考えることの方が価値があるかなぁと思っているので、わからないも正解としています。
3つめは、他の人の答えも受けとめる。

この3つのルールを頭の片隅に置きながら、しつもんの答えをYoutubeのコメント欄にしていただけたら嬉しいです。では、最初のしつもんです。
「今日この時間が終わった時に、どうなっていたら最高ですか?」

その答えをコメント欄で教えてください。色んな話になると思うんですけど、こんなことがわかったらいいなとか、こんな発見があったらいいな、こんな気づきを得られたらいいなとか、どんなことでも構いません。

加藤さんは・・・。これね、難しんですよ。しつもんした後、無言になるじゃないですか。で、話始めると、前に言われたのが「しつもんの答えを考えることに集中できない(笑)だから話さないでほしい」っていうご意見もありまして。。無言でいると心配になるじゃないですか?

加藤:わかります。

藤代:なので、どうしようか迷いましたけど・・・加藤さんどうですか。今日終わった時どうなったら最高ですか?

加藤:そうねー。終わった時にねーーー。これ、すごく大事なしつもんですよね。

藤代:あ。そうですか。

加藤:うん。藤代さんのところで、このしつもんに出会ってから、授業なんかでも、やっぱ大事にしたいですよね。要するに、この1時間終わったらどうなっていたい?とかって。そこでちょっとスイッチが入るというか、自分ごとに変わるというか。

藤代:確かに。

加藤。どうしても受け身じゃないですか。学校とか授業とかって。

藤代:あ。コメントたくさんいただいてた。ありがとうございます。

・知らない世界を知れたら最高
・新たな自分と向き合う
・ワクワク
・新しい発見と今やっていることへの自信
・思い込みの払拭
・ワクワクが増えたら最高
・ワクワク感を感じられたら最高
・明日へのエネルギーが少しあふれた状態
・明日への元気注入

藤代:コメント読んでますが、全部読み上げられずに申し訳ない。でも、こうやって他の方がこの時間にどんなことを期待してくださっているかということを知ると、僕たちもどんなことを話そうかなっていうのが設計できるじゃないですか。

加藤:そうですよね。

藤代:僕は学校の先生じゃないから授業のことわかんないですけど、元々サッカーのコーチをしてたので、コーチとしてトレーニングのデザインをするときにとても重要だと思っていて。子どもたちがこのトレーニングでどうなりたいのか。それに合わせてトレーニングデザインできたら、わざわざ集中しようとは言わなくていいじゃないですか。

加藤:そうですね。うん。

藤代:その辺はどうですか?

加藤:この間、それに近い会話をして。ちょっと記憶が定かじゃないんですけど、要するにそれがないまま練習をすると(私も野球の指導者してたので・・)、練習メニューを与えてやると子どもたちって、頑張る子もあれば、モチベーションが散らかって頑張れずに叱られる子もいるんですけど、「今日、君はどうなりたい?」とか「どこをレベルアップしたい?」って言われたときに意識がそこにいくんですよね。

人間って、5個も10個も意識って向けられないじゃないですか。意識って『モノ』的にもひとつなんですってね。逆に今日の自分の『決定権』を与えられたうえで、どうなりたいっていうものがあると、そこに焦点を絞って頑張れるから、他のことを気にしなくていいから、こういうしつもんってすごく大事なんだろうなーっていうのは感じますよね。

それがないと、例えば野球でいうと、キャッチボールも頑張らなきゃダメだ、バッティングも頑張らなきゃダメだ、走塁練習も頑張らなきゃダメだ、、監督さんも叱るポイントがいっぱいあるから、これミスっちゃダメ、あれミスっちゃダメ、とか気になるけど、「今日、自分は捕球の練習、捕球をレベルアップしたい」と思うと、そこに意識を向けられるから分散しなくて、効率的にレベルアップできそうですよね。

藤代:なるほどなぁ。授業づくりではどうなんですか?

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加藤:私ね、授業のことは皆さまに何かを伝えられるレベルではないのですが(笑)でもね、子どもたちと話をする時。『話す』っていうのは『授業以外で話す』っていうこと。例えば、学期初めに目標を立てる時とか、あとはちょっと叱られることをやっちゃって、いわゆる生徒指導的な場面なんかで、「1年後どうなっていたいよ?」みたいなことはよく聞きます。

藤代:へぇ〜

加藤:学期初めとか学年初めとかって目標立てますよね?例えばクラスだって、30人も40人いれば、いい時も悪い時もありますよね?多分学校の先生なんかやられている方も多いと思うんですけど、「今日、目標を立てましょう」っていうよりも、

「1年後どんな姿になっていたい?」とか「1年後どんな姿になっているか、本当にありありと思い浮かべてみよう」とか、「友達はどんな表情してる?」とか「どんな言葉が多かったら素敵?」とかそんな感じで1回イメージを持って、「どんな笑顔?」「どんな声掛けがいっぱいありそう?」「じゃあ、そのためにはどんなところを頑張っていけたらいいかな?」みたいなやり方をすると、意外と目標を決めなさいっていうより、ペンが進んだり、ちょっとオリジナリティのある答えが出てきたり。

ちょっと悪さしちゃったり、叱られるような場面でも「1年後どうなってたい?」とか「3年後どうなってたい?」「今このまま続いたらそうなれそう?」「ちょっと遠のきそうだよなー」とかって、話をすることが確かに多いかなと思いますね。

藤代:それは、1対1で話すこともあれば、1対30とか?

加藤:そうですね。最近、小学校も中学校もだと思うんですけど、クラスの目標を立てようとか、1学期の反省を踏まえて2学期とか、あとちょっと落ち着きがなくなった時にじっくりと担任の先生を中心に話をして、話し合い活動とかってあるんですけど、

やっぱり「どうなりたい?」プラスアルファ、さっきも言った通り「どんな声が増えてたらいい?」とか「逆にどんな声が多かったら、どういう言葉があふれてたら自分が嫌だ?」とか、そういう声かけを子どもたちにしています。

藤代:1年後の姿にタイムスリップして、その時の状況を思い浮かべて、そこにはどんなことが起こっているだろうね。もしくはどんなことが起こってほしいかな?ということをしつもんしているということですね。

加藤:そうです。より、ありありと。友達はどんな表情してる?とか、どんな言葉があふれてたらいい?とか。そんなことですよね。どんな言葉があふれていたら嫌だ?とか。

藤代:抽象的な問いだと答えられない子には、個別にアプローチするんですか?

加藤:最近やっていたのは、班活動で、班で3~4人でちょっとやってみようっていう時もありますね。そうしたら、イメージすることがそんなに得意じゃない子も、人の意見を聞いて"あーそうだそうだ"とかいうこともあるのでね。

藤代:それけっこう大事ですよね。他の人の答えを聞いて、"なるほど"ってリフレクションされて、自分の考えをより深めようとする。

加藤:そうですね。"いいね、いいね"とかね。

藤代:余談になっちゃうんですけど、僕もこの「しつもん」の活動させてもらって、よくいただく相談というか疑問かな?うちの子に質問しても『わからない』って、うちの子よく言うんですよ。どうしたらいいですか?ってご相談いただくことが多くて。その『わからない』を分解しないといけなくてですね。その『わからない』の背景は何か?というと、僕調べですよ。科学的じゃありませんが、3つくらいあって。

1つめは、まだ考え中。しつもんされて考えてるんだけど、どうって聞かれて、今答えなきゃいけないんだったら、今はまだわからない。5秒後には出るかもしれないけど、まぁめんどくさいから、『わからない』ってなる。
2つめは、本当にわからない。本当にわからないっていうのは、『考えたこともなかったからわからない』っていう意味ですね。あ。4つあるか。

3つめは、『考えたくないからわからない』
4つめは、この人に言ったってどうせ後で何か言われるし、怒られたりするからわからないって言っておけ。。っていう『わからない』。これくらい、『わからない』の表現があるんですよ。

加藤:面白い。そこを見極めなきゃダメですね。

藤代:そうなんですよね。

加藤:よくあるのは、自分が信頼されてないからだけなのに、"あの子は考える力がない"とか、"あいつ考えてないよ"とか。スポーツ現場とか、あるあるですよね。"うちのチームの奴ら何も考えられないんだよ”とか聞きますもんね。

藤代:それは、考えさせないようにしていると。

加藤:そうですね。さっきの4も含みつつ…。おもしろいなぁ。それ。

最初からいい先生だったんですか?

藤代:そもそもの話をしたいんですけど、加藤さんは何で先生になったんですか?

加藤:これは・・あの、本当に胸を張れることではなくて。。私、ポンコツなんですよ(笑)
よくネタで話をさせてもらいますけど、そもそも中卒浪人生なんですね。中学時代ろくに勉強もせずに、鳥取出身なので、あまり私立高校もない状況で行きたい学校に落っこちちゃって、行く高校がなくて、1年間遅れて行ってるんですよね。まぁレールからその時点で外れたんですね。で、高校時代は楽しく、1年遅れでしたけどそういう仲間もいたので楽しく過ごして。

大学は埼玉県なんですよね。都会に見えるわけですよ、鳥取からすれば。私、すごい人見知りで。これ本当なんですよ。本当に人見知り。今よりももっと強かったから、引きこもっちゃったんですね。本当に引きこもってて、人と関わるのも嫌だって、最低限だったんですよね。入ったのが教育学部だったんです。それで、小学校と中学校の免許は取れて、小学校に行こうかなーと思ってて。私小さい子好きなんですよ。教育実習で感じたのが、なんか普段親戚の子たちとか近所の子と遊ぶのと、毎日こうやってずっと過ごすって、ちょっと違うって感じちゃって。小学校2年生で、すっごい可愛かったんですけど、あれ?って思って。会話ができる中学生がいいなーだったんですね。

藤代:へぇ。。

加藤:これは、本当に子どもに感謝。中学生の子どもに感謝です。江戸川区の学校の子たちに本当に、いまでも感謝してて。25才になる子たちですけど。

だから、どうしてもなりたいってなった職業では、実はなかったんですね。中には本当に努力して努力して採用試験に受からなくて。という方もいらっしゃるので、その人の反感を買いたくないですけど、どうしてもなりたいというわけではなくて、選択肢が教育学部だったから、みたいなのもあったんですよ。

子ども時代、先生のことをすごく信頼するみたいな経験がなかったから、なんか、そういう自分ができる役目もあるのかなーみたいな感じになったんですけど。初めてなった時の子どもたちが、すごくオーバーに聞こえますけど、自分の生きる価値を与えてくれたな。って本当に思うんです。

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藤代:最初からいい先生だったんですか?

加藤:いやー違いますよ。まあ、若さを武器に人気取りはします(笑)人気取りじゃないな・・いい関係を築けたんですけど。なんか、自分で感じるじゃないですか。10代~20代で自分の価値とか、自分で比較してとか。

藤代:そうか、確かに。役に立たなきゃっていうのもあるし。

加藤:で、本当に引きこもってた自分が、周りは一生懸命資格取ったり勉強したりする中で、自分は何もしなかったのに、この子たちが自分がちょっとがんばったら返してくれる子たちで。教育現場ってわかりやすいんですよね。返してくれるんです、子どもたちが。

藤代:なるほど、反応がわかる。

加藤:本当に素敵な職業だなーって思ったんですよね。本当にがんばったらこの子たちが、自分の生きる価値を逆に与えてくれるみたいなのがあったんですよね。

藤代:それを端的に表現するのは申し訳ないんですけど、傍から聞いてると、まぁそんなに問題がないというか、うまくいっているように聞こえるんですけど、何か挫折ってあったんですか?

加藤:ありますあります。今でもみんなに言ってますけど、6年目ですよ、6年目。そこそこ上手くいってたんですよね。同僚の教員からしてみれば、まだまだ力不足だなとか言われてましたけど。でも、自分の中ではすごくエネルギッシュにやってて。1・2・3年の担任を持った後に、色んな学校行事とか細かいことは全部わかってくるから。

4年目で1年生に降りた時になんか全然視界が変わって見えるんです。経験もできるし、学校の一連の流れもわかるし、その中で自分の微々たる積み重ねもあるし。っていうので、4年目、5年目なんか本当に順風満帆で調子こいてましたよ。思うようにいくんですもん。

本当に思うようにいく。子どもたちも寄ってきてくれる。本当に調子こいて言うと、学級担任の発表1番人気でしたから。もう、こう(天狗)ですよね。子どもたちも言うこと聞くし・・・

藤代:え??なんでいきなり、、その5年目まで、だってすごい。

加藤:そこから、調子に乗っていったんですよ。なんか思うようにいかないことを力で、大声で叱りつけるようにしている自分がいたんでしょうね。

藤代:それは、6年目からそうしたわけじゃないですよね?

加藤:違いますよ。やっぱりクラス替えとかもあるし、その中で、“どんな子でも私預かりますよ”っていうようなのもあったし、色んなものの積み重ね。学級編成の問題もあるし、自分の力量不足のこともあったり、なんかとにかく叱ることが多くなっちゃった。子ども同士は毎日のようにけんかして泣いてたし。

藤代:そうなんですか。

加藤:“なんだこれ”って。自分でコントロールしようと思っている時点で間違っているんですけど。子どもたちをコントロールしようと思ってる時点で。今だったらわかるんですけど、自分がコントロールしようとしていたから、コントロールの外に外れることに対してすごく叱ってたし、怒ってたし。そんなことしてたら、なんか全然うまくいかなくなっちゃって。本当に、土日とかの休日も頭を離れなくなっちゃって、、ネガティブな方で離れなくなっちゃって、ちょっと変な動悸がしたりとか・・・

藤代:体に出てきちゃったんだ。

加藤:毎日、職員室から上に上がるとき“よしっ!”って言って上がってましたし、、

藤代:気合い入れてたんですね。(笑)

加藤:そう。覚えているエピソードが、秋口に朝教室へ行ったら、子どもが「先生、表情暗いね」っていうわけですよ。自分でも実は引っかかってるからなんですけど「そんなことないよ」って言ってあげようと思ったら、表情がこわばっちゃって、笑顔一つ作れなくなっちゃって、“えー俺、ここまで来ちゃったんだ”って思って。ちょっと振り返ってウルっときたんですよね。“何してんだろうな”みたいな。

その時は、子どものせいにした自分もいますけど、今思うと自分の力不足を子どもが教えてくれたんだなって、すごく感謝してますね。

藤代:それ、僕はとても興味があって聞くんですけど、何がそうさせてたんだと思いますか?

加藤:なんかあるかなぁ。。。やっぱり子どもは大人が教え込むものだ、子どものちょっと『大人の幅』じゃないな『加藤の幅』から外れているものは、グッと引っ張り引っ張り戻さなきゃダメだっていう感覚で、自分の『幅』もどんどん、自分ポンコツのくせに、一丁前に、子どもの許容度がすごく狭くなって、『こうあらねばならぬ』みたいな。今とは真逆です。

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藤代:じゃあその『加藤の幅』から出る生徒がいて、それが戻ってこないと、それにやきもきしてちょっとイライラし始めた感じだったんですか?

加藤:そうですね。その時にしつもんの重要性とか何 ひとつわかっていないので、大きめな声でちょっと威圧的に(笑)

藤代:その方法が効果的だったんですね。

加藤:はい。それを学んでしまったから。

藤代:それやると、『加藤の幅』に帰ってくるんですか?

加藤:最初は帰ってきてました。でも途中から帰ってこなくなるわけですよ。“あれ?あれ??”ですね。今まで全部戻せてたのに。

藤代:中々戻ってこないんだ(笑)それは何でですかね?子どもたちからすると。

加藤:やっぱ年頃ですね。「うるせーよ」ってなりますよね。中3。

藤代:(笑)そうか、なるほどなぁ。そっから徐々に変わり始めた?

加藤:そうですね。次の7年目はちょっと自信も落としてましたけど、本当にいい時間を過ごさせてもらったりして。江戸川区の最後の年でしたけど、本当に学んだものを何とか活かして、いい時間を子どもたちと過ごせましたし、6年目の時も別に悪い時間じゃなかったですよ。いまだに連絡くれる子たちです。麹町に行って、まったく違う学校文化があって、そんな中での学びが、今の自分にすごくついているんですよね。

藤代:じゃあ、この辺で皆さんにも聞きたいんですけど。今の話からすると、挫折を乗り越える。乗り越えられた何かがあったんですよ。加藤さんにも、何か。挫折というか、ちょっと行き詰まりを感じたけど、それを乗り越えられたわけですよね。何かがあったから。それを皆さんにも聞きたいなと思って・・・

「過去に困難があった時、どのように乗り越えましたか?」
このしつもんの答えを、教えていただけたらなと思います。

どんな困難でもいいんですけど、今までのライフスタイルとか、お仕事の中で困難があったとしましょう。その困難をどのように乗り越えましたか?その答えを教えてください。

加藤さんには、後ほど今の6年目の『加藤の幅』をどうやって乗り越えたのか?乗り越えたのか、皆さんのコメントの後に教えていただければと思います。この話はじめて聞いたというコメントも届いてますね。

加藤:俺、この話けっこう積極的に話すようにしてて。そういう場面がないからですが。職場なんかではよくしてて、自分より若い子たちが「勇気もらえる」って言いますもん。

藤代:あははは

加藤:「加藤さんでもそうだったんだ」って言って。みんなけっこういい話しかしないでしょ?

藤代:まあそうですね。

加藤:俺は若手の時こうだったとかいう話しかしないから。いやー失敗は山程してますよ。

・時間と内省
・新しい価値観を採用する
・愛または時間
・人から感謝された瞬間
・仲間の支えと自分の成長
・うまくいったときのことを思い出して試行錯誤した
・ネットワークを思いっきり変える
・時間と周りの人
・新しい学び、価値観の気づき
・ダメな自分と向き合い、ダメな自分を受け入れた
・子どもたちをよーく見るように毎日心がけました。逃げずに。

藤代:なるほど。それぞれ乗り越え方って違うんですね。

加藤:そうですね。

藤代:参考になる。加藤さんはどうですか?

加藤:俺ですか?やっぱりしつもんの力ってすごいですよね。なんか、違うところの脳みそが動き出しますもんね。

藤代:(笑)

加藤:やっぱり、何か自分の力で超えた感はないですね。新しい環境っていうものが1つあったと思うし。

藤代:それは7年目になってまた違うってこと?

加藤:そうですね。その子たちが卒業してまた違う学年にいったので、目の前の子どもたちが変わるっていうのはまず1つだし、大人のメンバーも確か変わったんですね、初めて。7年目で。本当は他の学校へ行かなきゃダメなタイミングだったんですよ。6年ってちょっと居すぎなんですけど、当時の校長先生がもう1年居てくれって言ってくださって、周りのメンバーも変わったんですよね。その中に入ったんですけど、その新しいメンバーも素敵な仲間たちで、もう10年くらい経ちますけど、オンライン飲み会するような仲間なんです。

藤代:いいですねー。いいつながり。

加藤:その中で、なんか気づいたら、みなさんのおかげでポン!って超えてたみたいな感覚かな。あの時自分が悪かったんだなーって思えるのも何年後かに振り返った時。当時は思えてないですもん。当時自分のせいだと思えなかったし、思ってたら余計苦しかった気もするんですよね。

藤代:そこからじゃあ、数年後ですか。異動ということで、麹町中学校に異動されて。そこからの学校改革は、工藤先生の本でもたくさん紹介されてますし、加藤先生の講演だとか、色んな所で話されてるから、今日ここで改めてすべてを伝えてもらう必要はないかな?と僕は思ってるんですけど。その中でも、ご自身が、何か変化があったとすれば、印象的なことってありますか?

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