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家でも車椅子

母の身体は段々と衰えてきて
椅子に座っても
身体を支えられなくて
上体がグニャっと
力が入らない状態になってきた

自分で体勢を
保つことができなくなると

小柄な母を
ベッドから車椅子に移動させるだけでも
それまでよりかなり
時間や手間がかかるようになり
私自身の体力と注意力
両方の負担が大きくなった

もしも自分が体勢を崩したら
母も道連れで
下手をすると怪我をさせてしまうので
これまで以上に
気を緩めることができないが

私も段々と
体力の衰えを感じるようになってきたので
母を支えきれなかったらどうしようと
ヒヤヒヤすることが多くなっていった

そしてこんなふうに
目に見える部分の母の衰えには
気づけばすぐに対処して

この時も
介護サービスの方と相談して
家の中でも使える車椅子をすぐ用意して
母も私も大分負担が軽くなった

しかし目に見えない
身体の内側の機能の衰えについては
年に1度の健康診断と
3週間に1度の医師の往診での
血圧測定ぐらいで

それで異常がなければ
特に気に留めることもなく
これで大丈夫だと
やりすごしてきたが

目に見える衰えから
見えないところの衰えを
推し量ることに
もっと思いが及んでいれば

年を重ねる母の身体が
どんなふうに変化していっているのか
億劫がらずにもっと注視して
現実にちゃんと目を向けていたら

いまだに悔いが残る形となった
母とのあっけない最期も
違ったものになっていたのではないかと
思えてならない



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