クイズをしていた

うだるような暑さの深夜。
速まる鼓動を抑えられず申し込んだチケット。

10月3日、TK from 凛として時雨のライブ。

目当てはTKじゃなくて、ゲストのösterreich。

ゲストアクトが発表されたとき、正直ライブに参加する気持ちではなかった。一番好きなバンドは今でもthe cabsだし、過去にリリースされた無能も、サウンドクラウドの音源も好みだったけれど、身に余る幸福だと感じたのかそれとも「あぁよかったな」だけで終わらせるのが嫌だったのか、とにかくライブは行かなくてもいいやと思っていた。

バンドをやっていた影響なのか、好きなバンドの新しい曲を聴くときは慎重になる。体調が良く音の聞き分けがうまくできる日、歌詞を咀嚼できるメンタルが整っている日。この2つが同時に揃った日でないとなかなか聴く気になれない。なんだか申し訳なくなってしまうから。

『楽園の君』を聴けるテンションになったのがチケットの申し込み期限内で本当によかった。イントロの柔らかいギター、サビの裏でなる國光さんらしいリフ、どこか切ないメロディーと綺麗な女性コーラス。細かく刻むドラムと緩急ついたベース。すべてが好みの曲を聴いて急いでチケットを取った。まだあの時の"残響"は終わってなかったんだと思った。

今日はösterreichのライブを見た記念すべき日。

一曲目、贅沢な骨
絶対やると思ってた曲。予想が当たってよかった。
音源で聴くよりギターの歪みが強く、イントロの畳み掛けてくる歌詞の羅列と相まって一気に引き込まれた。歌の鎌野さんは声が本当に綺麗で山の水みたいだった。
急にサビに入るパズルみたいな構成だけど、縦の合わせがとても上手かった。

二曲目、無能
ライブ?バンド?アレンジになっていて、それはそれでとてもよかった。変拍子が過ぎる曲だけど「サイレン鳴り響いて気が狂っていたんだ」のところすごく聴きやすかった。原曲よりもギターが元気で、國光さんの暴れ方も派手になってきてたのもあって、ちゃんと生で見てるんだなって思いが強くなった。
SEが短く暗転してからすぐメンバーが出てきたのもあって、ライブに来たんだって気持ちにあまりなっていなかったのだけれど、この曲で地に足が着いたのか我に帰ったのか、大好きな人たちが演奏している空間とうまく波長を合わせられた気がする。
ピアノの動き方がすごく特徴的な曲だけど、生で聴く三島さんの音の粒立ちのよさとか、ギターのコードとか、生で聴くと音のバランスがすごくよかったのが印象的。鎌野さんの「パパとママは間違えた」のところ、微動だにしない歌い方と相まって鳥肌が立った。

三曲目、映画
サウンドクラウドで聴くときとライブでは曲の印象が少し違った気がした。
原曲は歌詞が聞き取りやすいくらいメロディラインが前に出てくるけど、ライブだと楽器が前に出てきていて激しい感じの曲調になっていた。
曲終わりで言う國光さんのありがとうがとても刺さった。こちらこそだよってずっと思っていた。

四・五曲目、新曲
飯田さんがステージ上に。もう『楽園の君』なのかと思って物足りなさを1人で感じていたらMC。感謝を伝える國光さん。グールの石田スイさんにもありがとうと言っていた。すべてのきっかけになったのだと伝えていた。

この日のために新曲を用意してきたとの話に湧く観客。そんな贅沢なことあっていいんですかと思った。2曲もこの日のためにっていう嬉しさでテンションがさらに上がった。

最初にに披露した方は珍しく四つ打ちを取り込んだ曲だった。開かれた曲調で、cinemaとの曲作りの影響をちょっと感じた。國光さんは客席向きながらギター弾いていてかっこよかった。

2つ目の方は多分なんだけどクイズをしていたって歌詞があったはず。関係あるのかないのか分からないけれどcabsのワンマンライブのタイトルがquizだったから、あぁちょっとづつ音楽の世界に戻ってきているのかなと思った。石田スイさんとの対談で、物語を終わらせることの尊さを語っていたのもあって、Österreichとして第2部というか、新たなスタートを切った日に立ち会えたんじゃないかという気がした。

六曲目、楽園の君
この日最後の曲。原曲のギターリフを繰り返す終わり方ではなくて、anschlussの最後みたいな刻みが早くなる終わり方だった。全員の感情が爆発していてとても綺麗だった。
聴いている間はもっといろんなことを思っていたはずなんだけど、気づいたらアウトロになってるくらい圧倒されて聴き入っていた。ただただいい曲だった。

最後に
ライブに行って本当によかったと思う。ライブは生物とか口で言うのは簡単だけど、実感するのはとても難しくて、チケット取る段階で予定を考えるめんどくささに負けてしまうことがたびたびある。けれど今回のÖsterreichのライブは本当に見られてよかった。メンバー全員の顔がちゃんと見えて、音がバランスよく聴けてバンドの演奏と気持ちをちゃんと受け取れたなって感じがした。あの空間でなければ感じられない感動と喜びがちゃんとそこにあった。
暴れながらギターを弾く國光さんを見て、やっぱりこの人の音楽は最高だなと改めて思ったし、鎌野さんの澄んだ歌や飯田さんの柔らかいギタボ、三島さんの強く動くベースを見て残響が好きでよかったと思えた。

あんまりしゃべらない?TKがMCで始めてのライブを見られる機会はそうないとか、國光さんがちゃんと会場に来てくれてよかったとか優しく触れていてバンド間の関係が見えて対バンの良さを感じたし、観客のおかえりって気持ちがライブハウス内にあってとても居心地がよかった。

願わくばいつかワンマンをやってほしい。
ひびのあわもベルファストも聴けなかったからね。

今までのことと、これからのことがどっちも見えてとても素敵なライブでした。


#オストライヒ #ライブ #日記 #エッセイ

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