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エンタメの面白さをグラフにしてみた

 昨日のnoteで、エンタメ小説の面白さを感覚的な言葉で表現してみた。

 ことはエンタメ小説に限らず、映画やドラマ、演劇など、ストーリーを扱うエンタメ全般にいえる話かもしれない。

 今日は、昨日のnoteに書いた「ストーリーの盛り上がり度」を試しにグラフ化してみた。

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序 破  序 破  序 破  序
破 急 急 序 急 序 破  序 破
 序 急 急 序 破  序 破 
急 急 急 急 急 急 急 急 急 序

「世界のナベアツ式ストーリーの盛り上がり度」である。

 各個の数値に根拠はなく、あくまで私の感覚的なものでしかないが、全体で400枚の長編なら、こういうふうな按配になる。
 最初のポイントは、約30枚で訪れる最初の「急」。この最初の盛り上がりは、続く60、90枚あたりで訪れる「急」よりも高くなる。最初のインパクトがやはり肝心だからだ。ミステリなら、最初の30枚あたりまでで死体が転がるなど、魅力的な大きな謎が提示されるのが理想だろう。60、90枚で持ち上がる謎は、最初の謎よりは小さかったり、最初の謎に付随する、カテゴリーが下の副次的な謎であるかもしれない。

 そして120~130枚、230~240枚あたりで訪れる「急急」が、全体の起承転結でいえば「承」に当たる部分。ジャブ・ジャブ・ストレートを繰り返していたところに「右フック・左ストレート」や「ストレート・左アッパー」を織り交ぜるようなイメージである。この辺の緩急はあくまで一例であり、波があっていい。

 300~390枚までは全体の「転」。ひたすらラッシュを打ち込むイメージで、加速度的に盛り上がっていきたいところ。

 気をつけておきたいのが、これはあくまで私が考える「ストーリーの盛り上がり度」の理想形であって「主人公の幸福度」のグラフでは決してないということだ。
 エンタメというのは因果なもので、読者が感情移入する主人公が不幸であればあるほど、乗り越えるべき壁も高くなり、物語が盛り上がる。
 とはいえ幸福度の動きは作品によってまちまちで、最初に大きな不幸(親兄弟を殺される、社会的地位が失墜するなど)が起こることもあれば、ほんの少しずつじわじわと不幸が迫ってくることもある。一概に理想をグラフ化することはできない。
 それに、不幸の度合いも大きすぎると読者に飽きられてしまいかねない。病気、貧困、差別……「生きづらさ」は小説が真摯に向き合って描くべきテーマではあるが、やり過ぎると手の内を透かして見られる。純文学の芥川賞にしても『蹴りたい背中』『蛇にピアス』から『推し、燃ゆ』のあいだにどれだけの文学的な「進歩」なるものがあったのか? と正直、思ってしまう。

 あなたの大事な主人公なら、彼/彼女の不幸よりも幸福をこそ考えてあげるべきだろう。

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