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とても参考になる11箇条

 小説家のわかつきひかる先生のnoteが、小説家を目指す多くの方々にとって参考になると思うので、ご紹介します。

 キリよく10箇条かと思いきや、よく見ると7がふたつあるので、全11箇条の金言です。これは官能小説に限らず、すべてのエンタメ小説に援用できると思われます。
 応募したい媒体の先行作品を読むべし、冒頭30枚でもいいから模写すべき、とは私も過去に書きましたが、全編書き写すとは、やはりプロになる方の努力は並々ならぬものですね。

 興味深いのは5番の「換骨奪胎」の部分。

5.一番嫌いだと思う小説のあらすじを、おもしろくなるように書き直してください。元がピンヒロインならヒロイン三人に。ビッチキャラがむかつくと思うのなら、ビッチキャラを清楚キャラに。4で書いたあなたの好みを反映させてください。元と全く違うあらすじになるところまでとことん変えてあなたの好みのあらすじにします。これを換骨奪胎と言います。

 これは目から鱗でした。面白いプロットを書くために、かなり効果的な近道だと思います。いつか私自身も真似してみたい手法ですね。

 じつは、編集者目線から見ると、この部分も重要です。

略歴に糖尿病とか鬱病とか病歴を書かないでください。誤字がなく、ビジネスマナーがわかっていることを示すことで、あなたは投稿作の上位5%に入ることができます。

 話題は逸れますが、実際に懸賞企画を担当してみると、自分の苦労話や貧乏話、不幸話が縷々書かれている応募はがきが、本当にたくさん見受けられます。
 最近ではTwitterの「前澤お年玉」企画で、リプライの欄が不幸自慢大会になっていると揶揄されたりもしています。

 私自身は文学賞の選考にかかわったことがありませんが、伝え聞く限りでは、文学賞でもこれと同様の現象が少なからず見られるようです。少しでも目に留めてほしいというアピールでしょうか。

 しかし残念ながら、公募は懸賞ではありません。ビジネスでいえばコンペです。受賞作だけの一発屋に終わらず、ビジネスパートナーとして末長く健筆を振るえる作家を主催者側は求めています。ゆえに、病歴などはむしろマイナスな情報となってしまうでしょう。

 ちなみに官能小説に限ると、わかつき先生のマーケティング分析も興味深いでしょう。

 たしかに読み捨てが前提のエンターテインメント文庫においては、駅売りは看過できない市場です。
 ただ、これは駅ナカ書店の文庫の棚担当のアルバイト店員さんから伝え聞いた話ですが、タイトルに「痴漢」「電車」のワードが入っている官能作品は、棚に出されることすらなく返品の対象になる場合もあるようです。もちろん編集者や営業担当者が製作の段階であらかじめ気にかけるべき事項ですが、実際に棚に並べてくださる書店員さんの反応や心情を慮ることを、書き手自身が怠ってしまっては、いい結果に結びつく確率をむざむざ下げていることになります。推してくださる書店員さんと出会えるかは、こればかりはご縁なので運の要素も多分にあるのですが、配慮が行き届かなければ、確率自体は下がってしまうと考えられます。

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