ラジオで採用されるための傾向と対策
なんのことかはさておき、ここ半年ほど聴いているラジオにメールを投稿するようになって、はや3ヶ月が経ちました。
ラジオを聴いていると、みなさん面白いことばかり書いていて、いわゆる常連の「ハガキ職人」には敵わないし、そもそも倍率が高すぎてどうせ読まれやしないだろうと諦め半分に思っていたら、これまで12回投稿したうち、3回も読んでいただく僥倖に恵まれました。
打率にすれば.250。
本当に有難いことです。
今回は、この四半期に投稿を続けてみて、なんとなく得たラジオメールの傾向と対策を覚え書き程度に綴っておきたいと思います。
(1)1年分のバックナンバーを聴く
投稿を始めるにあたって、私はまず、過去1年分のバックナンバーを聴くことにしました。
移動時間、残業中の納品待ち時間、自宅での作業中など「ながら聴き」でとにかく放送を聴き、メールの傾向や読み上げ時間の感覚などを自分なりに分析していきました。
あまり真剣に聴き入らないのがコツといえばコツで、意識の片隅に引っかかった採用メールの共通点や番組自体のカラーなどを、べつに書き出したりしなくてもいいので、なんとなく雰囲気で頭のなかに入れておきます。
過去の例を知っておく――というのは、ラジオに限らず、あらゆる分野において有効な手段だと思われます。
受験だって、過去問を解いたりしますよね。
小説を書きたいならば、最低でも100冊は小説を読んでおくべきでしょう。ただ、100冊を超えたくらいからは、もう数を競うようなことはしなくてもいいと思います。それだけ読めるようになれば、読む習慣が自然とついているはずですし、アウトプットする基礎的な土台は既に整っているはずです。思う存分アウトプットすることで、インプットするより学べることは多くあるはずですし、アウトプットしきったら、またインプットしたくなる波が訪れるはずです。
私の場合、趣味の競馬を始めたときも、1年ほど一切お金を賭けずに観戦することで、予想の仕方や傾向などを少しずつ覚えていきましたし、資金管理のシミュレーションもできました。やたらと専門用語が多く、新聞ひとつ読むのにも知識を要求してくるうえに、下手に手を出すと大火傷を負うのがギャンブルです。すぐに実践したい気持ちをグッと堪えて、1年くらい堪え抜く忍耐があったほうが、のちのち有利になるはずです。
(2)倍率が高そうなところには手を出さない
番組内で出される大喜利コーナーなどの「お題」は、誰もが手軽に書きやすいため、倍率が少し高めになると思われます。同じ話題=同じ土俵で戦わなければいけないぶん、よっぽど面白いエピソードトークなどにつなげられない限りは、付け入る隙はなかなか生まれないかもしれません。
私の場合、そういった「お題」系は避け、採用されたのはすべて普通のお便り、いわゆる「ふつおた」です。
ふつおたにも傾向はあって、たとえば、ラジオ番組はある意味でパーソナリティーの広告塔としても機能しています。そのため、そのパーソナリティーにとってのタイムリーな話題――たとえば新曲をリリースしたとか、テレビドラマに出演したとか、そういったものがあれば、ファンとして感想を送ると読まれやすいかもしれません。とはいえ、誰もが考えることではあるので、やはり倍率は少し高めではないかと推測します。
できれば自分の土俵、自分でしか書きえないエピソードを紹介して、話を広げられるのがベストだと思います。
(3)送るのは放送翌日
放送作家になったことはないので日々のルーティンがどうなっているかは判らないのですが、毎週決まった曜日に放送される番組だと、私の場合は放送翌日にメールを送ることにしています。
放送当日はオンエアまで気の抜けない作業があるかもしれませんし、オンエアが終わったらひとまず気が抜けて、本腰を入れて仕事に取り掛かるようなイメージは、あまりありませんよね。打ち上げに行くことだってあるかもしれません。また、放送直後というのは「お題」系が出された直後でもあり、「忘れないうちに」と比較的メールが多く届くのではないかと勝手に推量しています。
企画会議の準備をし始めるのが放送翌日以降とすれば、翌日に送っておけば俎上にのぼりやすいのではないかと考えます。生放送でなく事前収録番組の場合は、あまり遅くなってしまうと、その週の放送に間に合わないことがあるかもしれません。
(4)放送作家が削りやすいように書く
放送作家になったことはありませんので想像でしかありませんが、やや長文のメールの場合は、尺の都合上なのか、一部カットされて読まれることがあるかもしれません。
実際、私も3回中1回は、一部が省略されて読まれました。
そのためメールを書く際には、放送作家が削りやすいように「新聞記事方式」を意識します。
どういうことかというと、最初の文・段落に「最も読まれたい内容・結論」を書き、続く文・段落に「できれば読まれたい内容・その理由」を書き、さらに次の文・段落には「べつに読まれなくてもよい内容・補足など」を書く……というように、段階を踏んでいくということです。
大事なことから先に書いていって、後ろにいくほど補足的なディテールに終始する。こうすることで、必要に応じて後ろから切っていけば、破綻なく読めるような文章にしていきます。
新聞記事は、編集の途中で別の大スクープが入ってきて急遽紙面を空けるというような事態をあらかじめ想定して、短い段落ごとに「大事なことから」順に書かれているといいます。こうすることで、紙面が予定より狭くなった場合にはお尻からバッサバッサと切るだけで、ベタ記事にでも収まるわけです。試しに、手近な新聞記事を読んでみてください。読みもの系の記事は別として、事件や事実を報じる記事であれば、どこで切っても、一応は記事として成り立つように書かれているはずです。
「全部が全部大事だよ! 溢れる熱い想い、丸ごと伝えたいんだよ!」
というのも、ファン心理として痛いほど判ります。
判りますが、そこはグッと堪えて、なるべく文章が短く簡潔になるように、無駄をどんどん削っていったほうがよいでしょう。
こう分析してしまうとなんだかお勉強みたいで、本来の熱情を伝える自由さとは、かけ離れているように感じられるかもしれません。
が、番組制作側のことを考えて自分なりに制約を設けながら、なおも短い文字数で精いっぱい熱意を伝えていくというのはとても面白い挑戦ですし、文章力も磨かれます。
なにより、自分のメールを読みながら推しが楽しそうに笑ってくれているのを聴くと、あらゆる語彙を失ってしまうほど嬉しいものです。
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