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錫師に聞く!〜跡を継ぎ、次の時代へ繋ぐ原動力とは何なのか?〜

2021,5,19 ミドリヘッドワタナベ

ご無沙汰しております。更新が久しぶりになりましたのは最近、弊社の新規事業立ち上げに奔走しております。内容を言いたいけど、まだ言えない。早く皆様にお披露目したい。もうちょい先になると思いますが、お楽しみに。ふふふ。(言えないのに、書きたいこの気持ちをお察しくださいませ。)

前回まで


さて、前回は、株式会社滝製紙所 の和紙職人 瀧 英晃さんにお話を聞きました。襖や、ホテルや店舗等での内装材として使われる中間商材としての和紙製造している立場からのお話をうかがいました。

そこからわかったことは、

●最終製品をつくるばかりがベストな解決策ではない!
●自社の強みを客観的に通訳してくれるパートナーを探している!
●全く形を変えて新規参入は返って勝ち目が見えない!
●産地文化を残すために、今の時代に必要とされるシーンへ!

社会の状況によって生まれた需要があり、需要に対する人々の行動があり、その行動を続けることによって習慣となり、結果文化となる。
今必要なことは、時代を捉え、職人がつくっているものを需要とマッチさせ、人々の行動をつくることなのかもしれません!!

ご紹介〜錫師 中村圭一さん について〜

そして今回の職人!
埼玉県川口市に工房を構え、錫製品をロクロ挽きの技術で製造する 錫光 当主 中村圭一さんににインタビューをさせていただきました。
(私は、埼玉出身のため勝手にお話しする前から親近感を抱いております。)

コロナのためオンラインインタビューです。↓

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錫という金属で器を鋳造し、成型にロクロ挽きの技術を駆使し、美しい滑らかな面が生まれる。そこへ槌目や模様を描いたり、漆で着色をしていく。
主に酒器や茶器などの製品を製造されています。

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ジャジーなミュージックが流れる中、ロクロ挽きをする中村さんの姿がかっこいいので、ニッポン手仕事図鑑さんの動画もぜひご覧ください。↓

さてさて、なぜ中村さんに話を聞いたかといいますと、最終製品を製造する職人のお話を聞きたかったから、というのと、以前ご協力いただいたアンケートに熱い想いをたくさん書いていただき、これは直接お話を聞かねば!となったのです。

インタビュー〜最終製品を製造する職人の思い〜

前回のインタビューから疑問が浮かび上がりました。
中間商材を製造する職人と、最終製品を製造する職人では考えていること、課題と思っていることが違うのではないか!?
それを解析するためにも、ディープにお話をお聞きます。

それでは早速お話を聞いてみましょう!

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仕立屋と職人(以下 仕立屋)>早速ですが、錫光さんの主な取引先はどちらになるんでしょうか?

錫光 当主 中村圭一(以下 中村)(※敬称省略させていただきます)>先代が50歳の時に、勤めていた錫工房から独立したんです。取引先を持っていて独立したわけではなくて。そんな中、見つけたのは百貨店さんの仕事でした。そうして、百貨店さんの取引から始まったんですけど、現在も9割は百貨店さんとの取引です。問屋さんに卸すことはあまりないですね。
催事場での販売会や、売り場の特設コーナーで実演しながら販売しているので、そこでお会いするお客様が最終の取引相手になります。

仕立屋>そうなると、エンドユーザーとコミュニケーションをとる機会は多そうですね。

中村>そうですね、自分でつくって、自分で売って、お客さんの反応を聞いて、それを反映するということをしています。

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(↑写真:以前石井が中村さんのワークショップに参加した際の、錫を溶かす工程)

仕立屋>つくる上で悩んだ時や考えたことを共有するのパートナーはいらっしゃるんですか?

中村>工房外で異業種の職人と交流がある方だと思うんですけど、つくるアイテムが近い人は話しにくい部分が多くて、つくるものが全く違う人だと話が合わなかったり。商品開発まで話が進む相手はなかなかいないですね。

これまでデザイナーとの協業もいくつかやっています。
自分だけでつくっていると、どうしてもつくりやすいものになってしまったり、見た目が偏ってしまうんですけど、デザイナーと話すと面白いアイデアが出て来る自分の中にある既存の枠をはみ出してくれるきっかけがあると、どうつくろうかと考えていくようになります。

仕立屋>新しいアイデアを商品にされているとのことですが、そういった商品をどんな人に売っていき、何を伝えていきたいとお考えですか?

中村>主な技術はロクロ挽きで、それを踏襲していることです。商品のどこかにロクロ挽きの技術を入れていきたいと考えています。
ロクロ挽きという技術を錫という素材に施すのがうちの伝えたい技術で、昭和40年が生産のピークで、そこから職人が減ってきてしまって、現在はこの技術ができる職人は全国でも20名ほどしかいないんです。

それまでは記念品などに錫が使われ認知されていたんですけど、その認知しされている層は、現在ご高齢になってきているという現状があるんです。やっぱり、これからは若い人にも知ってもらいたいと思っています。どうやったら伝えていけるかは試行錯誤しています。

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(↑写真出典 : https://tokyoteshigoto.tokyo/studio/suzukou/)

仕立屋>よく巷では「文化継承をしていかなくては」と耳にすることが増えてきまして、若者に知ってもらいたいとおっしゃる中村さんが思う「文化」や「文化継承」とはどういう意味だと思われますか?

中村>文化を意識し始めると、えらいことをやっている気がしてしまうし、生活の中で使うものをつくっているから、「文化」というとハードルが上がってしまうって。意識しない方がいいかなとも思う部分もあるんですけど…

錫のロクロ挽きの技術は1000年以上前からの技術なので、それを自分が継承しているという意識もあります。

錫は密閉性が高く、錫の茶筒はお茶っ葉がシケないんですけど、これはロクロ挽きだから成せることでもあって、歴史的意味づけと機能的表現が両方あるとお客さんに伝えやすくなるな、と考えています。

しかし、ロクロ挽きの何がどういいのかという継承されるべき理由を説得力を持って強く言えないというところもあり...この技術が今の時代に合っているのかというのもうまく言語化できていないんです。

仕立屋>お話を聞かせていただいていると、中村さんが錫のロクロ挽きの技術を残さなければ、という強い思いが伝わってくるんですけれども、その原動力って何でしょうか?

中村>親父の背中を間近で見ていたからだと思います。
親父は「現代の名工」に認定されたり、「黄綬褒章」を受賞したんです。隣で見てたから、製品をどこまでつくり込むかということがわかるんですよね。

その技を自分が見てきたから責任があると思っています。
身近に見ていた親父の技術、これを伝えていくのが大きかもしれません。

実は娘がこの仕事に興味を持ち始めてくれて、造形表現する学部のある大学に入学したんです。内心喜んでいるんですけど(笑)
でも、娘の道を私が決めたいわけではなく、いきたい道へ行けば良いとも思っています。

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(↑写真出典 : https://tokyoteshigoto.tokyo/studio/suzukou/)

考察〜職人によって課題は違うのか!?〜

中村さん、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。職人としての思いも聞きつつ、最後にはお父さんの一面も見ることができました。

お話からわかったことは、

●お客さまの声を直接聞いているため、すぐ製品づくりに反映できる。
●既存の枠を越えるアイデア持つ人材との協業は、いい刺激となる。
継承されるべき理由を言語化し、お客さまへ伝えたい。
●工芸品のハードルを上げず、
生活の中で使うものをつくっている。

ということでした。

それでは、中間商材を製造する職人と、最終製品を製造する職人では考えていること、課題と思っていることが違うのではないか!?というところについて見てみましょう。

違うところでいえば、
取引相手が問屋さんか、最終消費者によってフィードバックを製品へ反映するスピードが異なるというくらいに思えます。

むしろ共通点の方が多く見受けられました。
①自社の強みや継承される理由を客観的に言語化していきたい
②生活の中で使用する、現在に合った製品を製造したい
③相談できたりアドバイスをもらえる良きパートナーやがいると良い

といったところです。

これまでのまとめ〜職人文化人類学と特効薬について〜


職人文化人類学は、「長期的な部分に対して成果を出していこう」というものでした。
しかし、「長期より短期で結果を出さないと先が見えない。」から職人文化人類学よりも前にやる事がある!(下記の図のNEW Businessと書いてある部分です。)ということに気がついたのです。

しかし、「ただ売れていけばいい」という話ではないはずだ、それでは実際に職人に現状を聞いてみよう!という事でインタビューを続けてまいりました。

ご協力いただいた職人の皆さま、本当にありがとうございます!!

名称未設定のノート (1)-1 2

そこで、お話を聞いて現状見えてきた部分を整理しました↑

NEW Businessを職人文化人類学でサンドウィッチしました。
いきなり短期成果の出る特効薬を使う前に、その前に職人と一緒に客観的な視点で現状を把握し、その技、その歴史にあったマイルストーンを置きます。
これは職人文化人類学でカバーできる部分だと考えます。
そして、これを行うことで①自社の強みや継承される理由を客観的に言語化していきたいという部分をサポートする事ができます。

それを持って、収益を上げるための事業を組み立てます。
この事業はもちろん②生活の中で使用する、現在に合った製品を製造する事になります。職人がつくっているものを需要とマッチさせ、人々の行動をつくっていきます。
(この事業についてはそろそろ記事を書き始めたいと思っておりますので、今はまだ深く掘らないでください。ふふふ。)

この事業の結果やフィードバック、DNA抽出した情報などを、職人文化人類学にアーカイブしていき、次世代へ繋げるために還元できる仕組みを整えます。③相談できたりアドバイスをもらえる良きパートナーとしての職人文化人類学という存在になる事が重要です。

これが一連の流れとして繰り返されていった結果、文化と経済が循環し職人が新たなSHOKUNIN像へアップデートされていくと考えます!

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さて、毎度長い記事になりますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
次からは特効薬となる事業について徐々に話していけたらと思います。

最後になりましたが、錫光 中村さんのつくった錫製品は下記のURLからご購入いただけますので、ぜひご覧ください。
https://www.takumi-suzukou.com/

錫光
〒333-0822
埼玉県川口市源左衛門新田300-31 
Tel 048-296-4028
Fax048-296-4097

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伝統工芸の世界に挑む仕立屋と職人のシャカリキストーリー。 「職人」を世界の「SHOKUNIN」へ!!