【職人行脚4人目@広島】株式会社晃祐堂 取締役社長 土屋武美 さん「他社と喧嘩したくない」
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【職人行脚4人目@広島】株式会社晃祐堂 取締役社長 土屋武美 さん「他社と喧嘩したくない」

2021,9,8 ワタナベ

広島行脚4人目に突入です!
今回お会いしたのは、熊野筆を製造する株式会社晃祐堂の取締役社長 土屋武美 さんです。

なぜ、今回土屋さんにお会いしたかったかと言いますと、『「伝統工芸品✕AI」で「熊野筆」の技術伝承を支援』という記事を見つけた事がきっかけでした。

これまでたくさんの職人とお会いする中で、様々な要因で職人仕事をAI化するのことは難しい、とお話を聞くことが多々ありました。
それを聞いていたため、私は「伝統工芸 x AI」が可能なのか!?と興味を持った次第です。

そこで、「是非会いたいです!」と連絡をしてインタビューする機会をいただき、今回土屋さんに新しいことに挑戦し続ける理由をお聞きする事ができました!!

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「他社と勝負したくない、喧嘩は嫌いなんです。」

〜株式会社晃祐堂 取締役社長 土屋武美 さんのお話。〜

「芸術性と工業性の両立」

書道筆と化粧筆の両方やっていますが、この2つは同じ筆でも世界が違います。書道筆は書き味を重視するような芸術家肌の方が多い。そのため、芸術性の高い製品と言えます。化粧筆はどちらかというと工業製品になります。極端な話ですが、お客さまは毛の部分を重視するより、壊れないもので、規格が同じであれば問題ないという見方になります。

そうなると、つくり方の意識を変えないといけないわけです。職人は「いいものづくり」を追求する、一方でこだわり過ぎるとコストが上がってしまう。どこまでこだわるか、というクオリティーコントロールに難しさがあります。

その問題をどうにか解決できないかと考えた時に、AIだったら公平に判断しできるのでは、と思い取り入れてみました。
やり方としては、1つの事象をAIに判断させるためにサンプルが1,000個ぐらい必要ということでした。実際に活用しようと思うと、うちの製品アイテムがおよそ3000アイテムあり、その全てのサンプルを取ると思うと、気の遠くなる話で・・・現状では全てAIに任せるということは難しいという事がわかりました。

しかし、この取り組みをきっかけに取材をたくさんしていただき、「他の会社がやらないことをうちはやってる」という社員のモチベーションアップに繋がりました。

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「地域の繁栄と会社の繁栄はイコール」 

自社ブランド「KOYUDO」を立ち上げた最初の一年くらいは売上が100万円程度でした。「いいもの」をつくっているのですが、「いいもの」だから売れるというわけではありません。「KOYUDO」というブランドの認知がなかったのです。
お客さまは「わけのわからない物」は買いませんので、ブランドに対する信用度を上げる作業をしなければなりません。そういった場面で「熊野筆」という地域ブランドを使わせてもらうことによって、お客さまの信用を掴んでいく事ができました。

時間かかりますが、地域の繁栄と自社の繁栄は同じくらい重要です。地域の繁栄があり、「熊野筆」という知名度があるから、僕らのものが売れて、たくさんの人がここに足を運んでくれるわけです。

見学や体験ができる「化粧筆工房」を熊野の地域の入り口に建てたのも、熊野の繁栄の一端を担うためです。

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「みんながハッピーになるものづくり」

熊野筆という産地は、江戸後期から180年続いています。産地の歴史がある中で、うちの会社はまだ創業創業50年も経っていない、比較的新しい会社です。
書道筆は創業時からつくっていますが、化粧筆は製造を初めて15年程度です。化粧筆をつくる会社の中でも新しい方なので、その中で他の会社と同じことをしていては値段勝負になってしまいます。そうすると産地内で喧嘩になってしまいます。

歴史がない中で、今このように成長してこれたということは、この産地の他社がやっていない新しいことを、積極的にやってきたからです。
そうしなければ、お客さまに選ばれない、わかってもらえない、そして市場で目立ちません。

それと大事にしている事が、一緒にお仕事する相手の「柄が良いこと」。喧嘩が嫌いということもあるのですが、会社の理念が、「ものづくりを通して世の中に笑顔と喜びと勇気を与える」こと。うちの社員は筆が好きでここで働いていますから、みんながハッピーになるものづくりしかしないと決めています。

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「職人とはブランドであること」

その職人がブランドになって会社全ての経済が成り立ってるという形が、僕の考える理想の職人像です。それは、職人の地位を高める事ができるくらいPRできる人です。うちの会長は伝統工芸士に教えるくらいの技術を持っているので、会長を自社のブランドとして見せていきたい、と計画しています。

一方で、うちの製造方法は社内で分業という形で行っているため、一つの製品を一人でつくりあげるということは少ないのです。そのため、職人ではなく、基本は製造の社員という認識です。

職人という言葉は、「何かのスペシャリスト」というイメージがあります。社内にスペシャリストはもちろんいると思うのですが、全員が全員職人という会社だと、その分ブランドを持っているということになり、会社としては見せ方が難しいと思います。

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株式会社晃祐堂
https://www.koyudo.co.jp/
〒731-4229 広島県安芸郡熊野町平谷4丁目4-7
TEL: 082-516-6418
営業時間/9:00~17:00 ※日・祝日を除く
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