ユニークな人。

2019年8月5日。LINEに新しいグループができた。

グループ名は、

「かたぬき(仮)」

年号が令和に変わってからまだ間もない頃、加納裕、ユサマチ、下町ノ夏の3人は上野の居酒屋にいた。マスクはせず、距離も近く、いつも通り、居酒屋が繁盛している。茄子の揚げ浸しを頬張りみんなで旨い旨いと唸っていた。元々ライブでお互いに交流のあった3人だったけど、なぜかこの3人が集まった。この時は意味が分からなかった。

居酒屋では珍しい駄菓子がメニューにあって、3人は昔懐かしい「型抜き」を頼んで黙々と始める。賑わっていた店内が3人の空間だけ静まり返る。そして私だけ型抜きに成功し、駄菓子セットを貰った。そしてよもやま話を積みに積み上げながら、最後「3人でなんかYouTubeでカバー曲やりたいっすね!」と、その言葉を山頂にしっかりと乗せて夜の上野を後にした。

「かたぬき(仮)」と題されたグループラインに、やりたい曲が溢れかえった。あの時代を彩った平成のJ-POPたち。そして上野よもやま会の翌日、なんとユサマチさんが歌詞を共有してくれた。えっ?もうオリジナルソングですか?まじシゴデキやん。どした?話聞こかのテンションで、加納さんも「天才か」とシンプル脱帽返信。そこから加納ユサマチコンビの速さったらすごい。もう曲が出来ていた。

タイトルは「ワンナイト・ランデヴー」

数日色々とやり取りしていき、ユニット名決めたいですね〜という流れから色々案を出していた中、急にポンと出たものがあった。


当時のLINE


いいじゃん!みんなのアルファベット!iは愛を感じる?なにそのロマンチストは!そんな人だったの?!加納さん!と言わんばかりの私。数日揉んだのち「UNiK(ユニック)」に正式決定。

音楽を始める時、いや、何かを始める時はいつもノリだ。自分がその時それに対してノっているかどうか。理由なんてない。その時に冷静に考えず、とりあえず面白そうなことはやってみる。ダメならダメで、経験値になる。また次を頑張ればいい。楽しめばいい。そうやって私が作られている。もちろん、怪しいものには手をつけない。

3人ともゆずが好きで、ゆずの話になるととにかく泣くほど笑う。なぜか面白い。曲が良い歌詞がいいライブがいいと言う話なのに面白い。UNiKの活動以外にも、3人で弾丸箱根日帰りツアーにも行った。とにかく仲が良い。7月、つりあやめちゃんの企画ライブに呼んでいただいた時のリハも、音楽には真剣に取り組みつつ、リハで泣きながら笑って歌って、自分たちのボイスメモを聞き返して電車で噴き出したり。とにかく、音を楽しんだ。

あの時なんで集まったか分からなかったけど、今は分かる。この人だから人生を彩ってくれる、この人だから理解してくれる、そして、一緒に面白いことが出来る、笑える、泣ける。そんな人間性を二人に感じたんだと思う。そしてそれが自然と吸い寄せられた。最後面白ければなんでもいい、というお笑い大好きっ子にとって大事な芯の部分。とにかく笑えれば、最後に笑えれば。だ。

UNiKは、私を原点に戻してくれた。バンドやソロで活動をしてきたけれど、ギターと声のハーモニーのシンプルな構成で作り出す音楽が私はやっぱり大好きだし、歌は人間が生み出す最大の楽器だ。重なり合う声を届けていくことが、こんなにも素晴らしい。そして、それを受け取ってくれる人がいる。ただの仲良しこよしじゃなく、音楽には3人とも真剣だ。それぞれ音楽で苦しい思いをして来たからそこ分かり合えた音がUNiKにある。

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