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赤えんぴつin武道館の話

※ネタバレなし

赤えんぴつin武道館へ行った。

赤えんぴつというのは、バナナマン扮する"四畳半フォークデュオ"のことで、バナナマンの単独ライブでは必ず「赤えんぴつ」というコントがあって、ライブハウスで歌っている設定で、実際にオリジナルソングも披露する。

バナナマンを好きになったきっかけは、2010年頃の約14年前。お笑いが好きだった友人から「バナナマンのラジオが面白いから聴いて」と言われ聴いたことが始まり。そこからDVDを借りてコントを見始めたら、それはそれは綺麗に沼に嵌った。特に好きなコントは「a scary story」「wind chime」「先輩とオマエ」…いや、挙げたらキリない。当時はラジオを聴くたび、食事から生き方まで、設楽さんに影響されすぎた生活を送っていた。

前置きはさておき、バナナマンの単独ライブは毎年夏に行われ「死ぬまでに行けたら奇跡だな」くらいにチケットが取れない。200人程度の劇場で開催する単独は、毎年かなりの倍率。それが武道館の規模になったからといって倍率は変わらない。だけど、だけど、今回ばかりはこんな私にも奇跡の神様が微笑んでくれたのだ!

一般発売でのチケット獲得。

こんな奇跡があるだろうか、奇跡の神様。感謝申し上げます。チケットが取れた12月23日。色々と忙しない師走。何がなんでも2月10日まで健康で生きていかなければならない。もう翌日は病気になったっていい。いや、やっぱりなりたくない。できれば一生健康がいい。

そして常に喉を潤すことを怠らず、健康のまま迎えることができた2月10日。



日本武道館。

1万人規模のライブは久々で、人が沢山いるだけで胸が高鳴る。皆、同じ気持ちを持って各地からやってきたのだ。

「赤えんぴつに会える!」

座席は2階席の東南エリア後方。前もって座席表を確認したら、決して近いわけではなかったけれど、高鳴る胸をそのままに、いざ武道館入場。入った瞬間、熱風が吹いた。ここにもう今年の夏が始まっていた。客席の熱気は凄まじい。

少し早く着いて、ステージ下手にあるデジタル時計は17:40に点灯。そわそわしていた。1分1分がものすごく長く感じた。

そして開演。

ステージ下手のデジタル時計は、
21:05に点灯していた。

え?3時間経ったの?

一瞬で終わっていた。

全てが、もう全てが、どうしようもなく楽しくて、ドキドキして、ワクワクして、笑って、泣いた。かけがえのない3時間だった。昼から何も食べてなかったけれど、なぜかお腹がいっぱいだった。何も要らない。これがライブのパワーだと思い知った。

席を離れても、階段を降りても、武道館を背にしても、ずっとずっとよちよち歩き。ああ、このライブで幼児退行してしまったか。退場規制なんて、いつのことだったか。人、人、人。九段下駅までの長蛇の列も不思議と嫌じゃない。そういえばゆずのライブで横浜アリーナへ行った時の帰りも、こんな感じだったと思い出したりして、バチバチにライトが照らされた夜道でさっきまでの空間を反芻する。

ライブの後半で、わたしはこんなことを心の中で叫んでいた。

「夢をありがとう!」

普通に言うと小っ恥ずかしいフレーズが、心の内側からメラメラと燃え上がり言葉となって心の中で爆発したのだ。本当に夢を見ているようだった。けれど、ありがたいことにそれは現実だった。

赤えんぴつの曲はもちろんどれも素敵で、森山直太朗さんが提供した曲もあったり、わたしが参加した日はchelmico、三浦大知さん、乃木坂46、トータス松本さんというゲスト出演の追加公演だったこともあり、ほぼフェス、文字通りフェスティバルだった。

このライブから3日経った今でも「もう一回観たい」と嘆いている。まだ心の中で「夢をありがとう」と叫んでいる。燃えて、燃え切って、煙を出して、最後の煤まで、全てが愛おしかった。



こんなライブを、いつか。

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