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ニュートンリンゴの蕾。なぜ引力は幾何学で証明されたのか。

勤め先の金沢工業大学1号館には、アイザック・ニュートン卿の庭園にあったリンゴの木の子孫が植えられている。

夕方行ってみると赤いつぼみが顔を出していた。

これがいずれは、花となり、

リンゴになり、

引力で落ちる。
毎年のことだが、撮っていて楽しい。

さてこの万有引力だが、『自然哲学の数学的諸原理』、所謂『プリンキピア』というアイザック・ニュートンの記念碑的著作で記されたことは有名だ。

この初版本2冊を、金沢工業大学は所蔵している。

拡大すると、


写真の上はLONDINIの文字の下が2行なのが英国版、下の3行のものは友人のハレーが大陸で出版したものらしい。ロイヤルソサイエティが出版費を出すという話が無くなったための逸話だそうだ。


初版本(もちろんラテン語)を開くとわかるのだが、実は数式が出てこない。図形ばかりなのである。ニュートンの運動の3法則も言葉でさりげなく出てるだけだ。中学の数学で幾何学の公理が突然出てくる、あれに近い感覚で登場する。
でもこの言葉があってこそ、現代の先端テクノロジー「はやぶさ」も宇宙からサンプルを持ち帰って来られる、まさに自然哲学だなあ!!

またニュートンといえば微積分学の発見者の一人としても知られているが、『プリンキピア』では万有引力の証明は微積分学を使わず、ユークリッド幾何学を使って証明していることが初版本を観るとわかる。

当時最先端の学説を、自身で生み出したばかりの最新の数学では無く、紀元前の歴史を持つ、その意味では長い間信頼もされ、誰もが難癖をつけられない、ユークリッド幾何学で証明しようとしたこところに、ニュートンの面白さがある。

プリンキピア初版本の内容については金沢工業大学の山口敦史教授による解説がある。
これを機会にニュートンの世界観に触れてみられてはいかがだろう。
↓↓
【第1回】ニュートン『プリンキピア』
確立された近代科学の方法論
刊行当時をたどってわかる偉大さ
https://kitnet.jp/backup/article/4/a4.html


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