●たとえあまり売れなくても、価値のある本を作る
日本で電子書籍と言えばコミック
「たとえあまり売れなくても、価値のある本を作る。そのために先ず、他の本で十分な売上を作ること。」
これは韓国出版業界で5本の指に入る図書出版「キョル」の代表、キム・ジェミンの言葉。
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といっても劇中挿話。出版社を舞台に、本を作る人々の物語を描いたロマンチックコメディ、韓国ドラマ『ロマンスは別冊付録』の最終話に登場する台詞です。ドラマには「僕らは人生という年輪を刻む美しい木だ」、など本好きの心を惹きつけるフレーズがちりばめられています。
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(韓国ドラマ『ロマンスは別冊付録』)
ただこの台詞、一年という会計年度の中で成績をあげ、ゴーイングコンサーンとして生きていく中で、「出版」の意義をも追い求める、世界の出版人が掲げるモットーでもあるでしょう。
そして第13話の最後には主人公のチャ・ウノが大学の講義で学生たちに
「小説と言えば紙の本でしたが、最近は電子書籍が流行しています。大衆文学を見下していた純文学の作家たちも電子書籍について勉強するなど努力をしているようです。」
と語る場面も登場します(チャ・ウノは出版社の創立メンバーにして作家兼大学教授という設定)。
ちなみに売上金額等のデータ紹介はありませんでしたが、2019年10月28日のNHK「 ニュースウオッチ9」で桑子アナウンサーが、「実は、電子書籍がすでに一つのジャンルとして定着している国が、韓国なんです。」と話していました。
(読書に変化が… - 特集ダイジェスト - ニュースウオッチ9 - NHK https://www9.nhk.or.jp/nw9/digest/2019/10/1028.html )
日本で電子書籍と言えばコミック、となります。韓国含む世界の様子とは少し異なるコースを、日本は歩んでいるようです。
(ブログ転載記事です:たとえあまり売れなくても、価値のある本を作る | ちえのたね|詩想舎 https://society-zero.com/chienotane/archives/8891
※JPG画像はブログ記事でご確認ください。画像が見れると楽しいですよ。 )
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■関連URL
●新型コロナで読書文化も変化…オーディオブック・電子書籍が人気=韓国
https://news.yahoo.co.jp/articles/a113e1062030bf3dd5692b8fcf74c22c246c7146
増加したのは「オーディオのジャンルは乳・児童カテゴリーだ。在宅勤務の拡散により子どもの保育時間が増加した利用者らがオーディオを選んだ」。
●韓国発の漫画配信アプリ「ピッコマ」 日本で急成長
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cc904fa790cb53b603c6dae3a498cf6043ad328
「ピッコマの成長のかぎは韓国型ビジネスモデル「ウェブトゥーン」にあると分析。日本の漫画市場は紙の漫画とそれをデジタル化したデジタルコミックが主流であるのに対し、ピッコマがデジタルコミックだけでなくモバイル用に制作したウェブトゥーンを配信していることなどが成長をけん引した」。日本市場はコミックを投入すれば成功する、海外企業でも。
(「ピッコマ」に見る、韓国系企業が漫画アプリに強い理由(3ページ目) | 日経クロステック(xTECH) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00086/00068/?P=3 )
●ロックダウン中のイギリス人がたくさん買ったもの 紅茶とクッキーと本
https://www.bbc.com/japanese/53549329
出版社ブルームズベリーによると、本の販売部数は昨年の2割増で、売上額も28%増を記録した。そのうち、紙書籍の売上額は前年同期の9%増で、電子書籍の売上は前年同期比63%増だった。
日本のようなコミック主導での変化でない点がポイント。「レニ・エド=ロッジ著「Why I'm No Longer Talking to White People About Race(私がなぜ白人に人種について話すのをやめたか)」がこの数週間ずっと売り上げトップにある。」
●上半期の出版物売り上げ 電子出版28%増 在宅時間増えたことも | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200728/k10012535681000.html
2020年「1月から6月にかけての紙の出版物と電子出版の売り上げの合計は、推計で、前の年の同じ時期より202億円、率にして2.6%多い7945億円となりました」。コミックが立役者。
●TRC電子図書館サービス 5月貸出実績は前年同月比526%、3カ月連続の大幅増 https://www.bunkanews.jp/article/218955/
臨時休館・業務縮小する公共図書館が相次ぎ、また小中学校や高校も多くが休校となるなか、子どもから大人まで外出せず自宅から利用できる 「電子図書館サービス」に注目が集まり、数多く利用されるように。
●「データ所有型電子書籍」で電子書籍に紙の本の良さを取り戻す
https://media.dglab.com/2020/08/13-gaudiy-01/
「データ所有型電子書籍」は、「パブリックチェーンであるイーサリアムを利用」して刊行される。
具体的には、イーサリアム上で発行されるNFT(Non-Fungible-token:イーサリアム上で発行される代替不可能性を持つトークン)として、唯一無二の形で個々の電子書籍を発行する。唯一無二ゆえ、ダウンロードするときに、「ユーザーが持つ公開鍵で暗号化して『データの所有』と『不正コピー防止』を可能に」。
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