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<中国>不法侵入は珍しくないし不法でもない話。

中国で働き始めて約4年。
大体年に二回、長期の休みがあってその度に私は帰国している。

これは二度目の長期休暇を終え、再び中国に戻った時の話。

▽不法侵入の痕跡


約1ヵ月ぶりの我が家は違和感に溢れていた。

まず、全体的にタバコの臭いがする。非喫煙者である私の部屋ではあり得ない事態だ。たった今誰かが吸ったタバコの残り香、というレベルではなく壁や床板に染みついたような臭いだったのだ。

他にも何かおかしなところはないかと部屋を歩き回って見つけた3つの違和感。
①シャワールームの床にタバコの灰が落ちていた。
②休暇前にしっかりビニール袋に入れて(ホコリ除けのため)戸棚にしまっておいたはずの食器が外に出ていた。
③キッチンシンクに置かれたフルーツナイフ。

染みついた臭いといい食器といい、泥棒に入られたというよりは誰かが住んでいたといった方がおそらく正しい。しかも多分おっさん。ヤニ臭いおっさんに決まっている。

▽割とよくある(ただし中国に限る)

職場に問い合わせたところ、「鍵は大家さんと職場が管理しているので、他の人が入るということはないですよ」とのこと。

待て。
大家さんと職場の人間なら入れるってことじゃねえか。

この時点で周りの中国人に対する信用は皆無だったので、それ以上問い詰めることはせず、在中国仲間に聞いてみることにした。

中国歴4年の日本語教師「私も入られてたよー!先輩に相談したら『あの人達すぐ入って来るから』って言ってた」

中国歴2年半の駐在員「休暇明けの電気料金がえらい高かったことは何回かある」

中国歴1年未満の駐在員「タバコかぁ……俺自身喫煙者だからわかんね(笑)」

入られてる人結構いた。

だから、そういうことらしい。普通なんだってさ。特に外国人にはほぼ人権ないし仕方ないか、と考えることにした。

他の国ではこんなことなかったのに。もしかして運が良かっただけか?
念のため他の国にいる友人たちに聞くと、「ありえない!」「訴えられないの?」といった反応だった。そうか、やっぱりありえないよね。

中には「泥棒や強盗ではないならよかったんじゃないの?」と聞く人もいたが、目的がはっきりしない分、知らない人に自分の家で勝手に生活されるというのも十分恐怖だった。

▽でもせめて反攻はしたい。

どうせ職場に聞いても本当のことは教えてくれないと分かり切っていたが、だからといって引っ越すこともできない私はせめて何かこっちからやってやろうと思った。

それが人型の護符。

といっても折り紙で作ったインチキ人型護符である。それの中心に「死」と大きく書いたものを次の休暇の際に部屋中に設置した。
そして部屋を出る時に玄関ドアにも1枚挟んでから帰国した。

効果はあった。

まず、玄関ドアに挟んでおいた護符はなくなっていた。誰かがドアを開けたということだが、部屋の中の護符は動いていなかった。もちろん食器もきちんと戸棚の中にあったし、部屋は臭くなかった。

私の勝ちだ。

根本的な解決ではないけど、もし同じようなことで不安な思いをしている人がいたら是非お試しください。
撃退できるはず。

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